■相続
2021/04/10

相続スケジュール
① 死亡日から7日以内
・死亡診断書の取得
亡くなった方の死亡の判断を行なった医師が死亡診断書を記入し、発行します。死亡診断書とは、人の死亡を医学的・法律的に証明するものですので、死亡診断書がないと火葬や埋葬ができなくなり、年金受給などが継続されることになります。
また、亡くなった原因が事故や自殺などの場合は、死亡診断書ではなく「死亡検案書」が発行されます。
死亡診断書や死亡検案書は、その後の手続きで必要になりますので、コピーを取っておくと良いでしょう。
・死亡届の提出
死亡届とは、そこに記載された人が亡くなったことを証明するための書類で、死後7日以内に亡くなった方の死亡地か本籍地の市区町村役場に提出する必要があります。死亡届が提出されると、被相続人の戸籍と住民票に死亡の記載がされます。
死亡届は主に市区町村役場や病院等に備えられており、死亡診断書と一緒になっています。医師が記入した死亡診断書を確認したら、死亡届の欄を届出人が記入して役所に提出します。死亡届の届出人になれるのは、親族、同居人、家主、後見人など、被相続人と関係のある人のみです。
・火葬許可証・埋葬許可証の取得
亡くなった方を火葬場で火葬し、墓地等で埋葬するためには「火葬許可証」と「埋葬許可証」が必要です。一般的には、死亡届を提出した際に窓口で火葬・埋葬許可証が交付されます。
死亡届を提出しなければ、火葬や埋葬ができません。被相続人の死亡から7日以内の期限を過ぎてしまうと、5万円以下の過料がかかってしまいますので注意しましょう。
② 死亡日から10〜14日以内
・年金受給停止の手続き、年金受給権者死亡届の提出
被相続人が年金受給者だった場合、厚生年金であれば死亡日から10日以内、国民年金であれば死亡日から14日以内に年金受給の停止手続きを行わなければなりません。この手続きは被相続人の住民票に記載のある住所地を管轄する年金事務所に「年金受権者死亡届」を提出して行います。この手続きを行うことで、被相続人への年金の振り込みが停止されます。
また、未払いの年金がある場合は、被相続人と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができますので、同時に給付の請求もしましょう。
・国民健康保険証の返却
被相続人が亡くなった場合、死亡後14日以内に国民健康保険証を返却しなければなりません。返却の手続きは、被相続人の住所地の市区町村役場で、国民健康保険証とともに「国民健康保険資格喪失届」を提出して行います。
また、被相続人が75歳以上の場合は「後期高齢者医療資格喪失届」を提出します。
・介護保険の資格喪失届
被相続人が65歳以上、または40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた場合は、死亡日から14日以内に「介護保険被保険証」を返却しなければなりません。返却の手続きは、被相続人の住所地の市区町村役場で介護保険被保険証とともに「介護保険資格喪失届」を提出して行います。
・住民票の抹消届、住民票除票の申請
住民票の抹消は、死亡届の提出によって自動的に処理されるため、特別な手続きは必要ありません。被相続人が抹消された住民票は「住民票の除票」と言い、主に不動産の名義変更や相続税の申告の際に必要になります。
・世帯主の変更届
被相続人が世帯主であった場合は、被相続人の住所地の市区町村役場に「世帯主変更届」を提出します。
ただし、残された世帯員が1人だけの場合や、残された世帯員が15歳未満の子とその親権者のみの場合は世帯主変更届を提出する必要はありません。
③ 死亡日からなるべく早く
・健康保険証の返却
被相続人が会社員で健康保険に入っていた場合は、死亡日から5日以内に「健康保険証の返却」をしなければなりません。一般的には、被相続人が勤務していた会社が行う手続きですので、ご不明な点は勤務先にお問い合わせください。
・遺言書の調査と検認
被相続人が亡くなったらなるべく早く「遺言書」が残っていないかを調査しましょう。公正証書遺言であれば公証役場、自筆証書遺言であれば法務局や自宅の机などで見つかる可能性があります。考えられる場所は隅々まで探しましょう。
見つかった遺言書が自筆証書遺言であった場合は、家庭裁判所で「検認」を行います。検認とは、遺言書の形状や状態を確認するための手続きで、検認をしなければ遺言の内容通りに相続手続きを実行することができません。
・相続人の確定
被相続人に遺言書がなかった場合、誰が被相続人の財産を相続できるのかを調査しなければなりません。相続人の調査は、被相続人の戸籍謄本を死亡時から出生まで順に取得し、身分関係を確認して行います。
被相続人に前妻との間の子どもがいたり、養子縁組をしている子がいる可能性もありますので、慎重に調査を進めましょう。
・被相続人の相続財産の調査
相続人の調査が終わったら、被相続人にどの財産がどれくらいあるのかを調査します。相続財産には不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
具体的には、被相続人の自宅に届いた郵便物やパソコンの中のメールなどを調べて、利用していた金融機関や不動産の固定資産税納税通知書などから財産を把握します。
・遺産分割協議
被相続人に遺言書がなかった場合や、遺言書に記載のない財産がある場合は「遺産分割協議」を行います。遺産分割協議とは、被相続人の財産について「誰が、何を、どのくらい相続するか」を相続人全員で決める話し合いです。
この話し合いは相続人全員の合意がなければ成立しないため、なるべく早く準備をしておきましょう。
④ 死亡日から3ヶ月以内
・相続放棄または限定承認
被相続人の財産を相続するか否かは、相続人側にも選ぶ権利があります。相続の方法には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つがあり、被相続人の財産構成や家庭環境によっても選ぶべき方法が変わってきます。
単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も全て相続する方法です。単純承認をする場合は特に手続きは必要ありませんが、限定承認や相続放棄をする場合は家庭裁判所で手続きを行わなければなりません。
限定承認とは、被相続人のプラスの財産の範囲でマイナスの財産を相続する相続方法のことで、相続放棄とは被相続人の財産を一切相続しない相続方法です。限定承認や相続放棄の手続きは「相続があったことを知ってから3ヶ月以内」に行う必要がありますので、被相続人に多額の借金がある場合などは早めに準備をしておきましょう。
⑤死亡日から4ヶ月以内
・被相続人の準確定申告
被相続人が個人事業を行なっていた場合や、不動産賃貸による所得があった場合には、相続があったことを知ってから4ヶ月以内に「準確定申告」を行う必要があります。
準確定申告とは、事業を行なっていた方が年度の途中で死亡し、確定申告を行うことができなくなってしまった場合に、相続人が代わりに行うことができる確定申告です。
準確定申告は時間のかかる手続きですので、あらかじめ税務署や税理士事務所に問い合わせるなど、早めの対応が求められます。
⑥ 遺産分割が決まったら
・遺産分割協議書の作成
遺産分割協議で「誰が、何を、どのくらい相続するか」が決まったら、相続人全員が協議の内容に合意したことを証明するために「遺産分割協議書」を作成します。
この遺産分割協議書は、不動産の名義変更や相続税の申告を行う際に必要になりますので、記入漏れの無いように作成しましょう。
・相続財産の名義変更
遺言書または遺産分割協議書の内容に沿って相続財産を分けていきます。名義変更が必要な財産には、不動産、預貯金、株式、公共料金、クレジットカードなどがあります。
被相続人が不動産を所有していた場合は、その不動産の所在地を管轄する法務局で登記を行うことができます。
また、預貯金や株式の名義変更は、利用していた金融機関ごとに必要書類が異なりますので、あらかじめ名義変更をする金融機関にお問い合わせください。
⑦ 死亡日から10ヶ月以内
・相続税の申告と納税
相続財産額が一定の額を超える場合は相続税が課税されるため、「相続税の申告・納税」の手続きをする必要があります。この手続きは、相続があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。
相続税がかからない場合は申告をする必要はありませんが、相続税の計算は複雑で難しいですので、不安な方は相続の専門家に依頼することをおすすめします。
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