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■遺言

2021/04/10

遺言の取り扱いについて

遺言を作成したとき、遺言を見つけたとき、どのような取り扱いをすればよいか分からない方も多いと思います。

遺言には大きく分けて「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があり、それぞれ取り扱い方が異なります。特に、自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合は、「検認」という手続きを行う必要があるため、注意が必要です。

その遺言に合った保管方法や手続きを行わなければ、遺言が紛失してしまったり無効になってしまったりと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。適切な取り扱い方を身につけ、家族がトラブルに巻き込まれないように対策しましょう。

今回は、遺言の取り扱い方や保管方法について、詳しくご説明していきます。


自筆証書遺言は勝手に開封してはいけない

被相続人の遺品整理をしていたら「遺言書」と書かれた封筒が出てくることがあります。この遺言書は自筆証書遺言の可能性が高く、遺言書を見つけた場合、多くの方は中身が気になって開けてしまうかもしれません。

しかし、自筆証書遺言は勝手に開封してはいけないことが法律により決まっています。これは、自筆証書遺言の作成方法に深く関わっています。

自筆証書遺言とは、遺言者が本文・氏名・日付を自書して作成する遺言ですので、遺言の内容や存在を本人以外が知らないことが多く、確実なものではありません。したがって、自筆証書遺言を勝手に開封できてしまうと、遺言の存在を隠したり内容を書き換えたりする相続人が出てきてしまうのです。

そのようなことを防ぐために、自筆証書遺言を見つけたら家庭裁判所で「検認手続き」を行う必要があります。検認とは、他の相続人に遺言の存在を知らせ、その後の偽造・変造・滅失などを防ぐことです。

手続きを行う際は、家庭裁判所へ事前に問い合わせて、手続きに必要な書類などをご確認ください。

もし開封してしまったら

民法第1004条第1項によると、「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出し、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がいない場合は、相続人が遺言書を発見した後も同様とする。」とあります。

自筆証書遺言を見つけても検認をせず勝手に開封してしまうと、法律により5万円以下の過料が科される場合がありますのでご注意ください。

また、相続人の中には、遺言を勝手に開封し、自分の都合のいいように遺言を書き換えたり、わざと隠したりする人もいます。

例えば、被相続人には長男と次男がいて、長男は毎日遊び呆けていたが、次男は被相続人の老後に献身的に介護に努めていたというケースなどです。このような場合に、長男が被相続人の遺言書を見つけてしまったらどう思うでしょうか?「もしかしたら次男に有利な遺言内容なのではないか」と考えるかもしれません。

うっかり開封してしまった場合は5万円以下の過料で済みますが、わざと遺言を開封し、隠蔽・変造・偽造などを行った場合は、相続人としての権利を失ってしまいます。

遺言が勝手に開封されないための方法

相続人に遺言に関する正しい知識がないと、うっかり遺言書を開封してしまう可能性があります。そこで、遺言を作成する側が、勝手に開封されないための対策を取る必要があるのです。

では、具体的にはどのような対策をとればよいのでしょうか?

対策① 遺言を二重で封筒に入れる

1つは、遺言を二重で封筒に入れておく方法です。封筒を二重にすることで、相続人がうっかり封筒を開けてしまっても中からまた封筒が出てくるため、勝手に開封したことにはなりません。

その際、封筒に「この封筒は開けてはいけない。検認の手続きをすること。」などのメッセージを入れておくと、うっかり開封することもなく適切な手続きを踏むことができるのです。

家族がトラブルに巻き込まれないためにも、自筆証書遺言を作成する際は、このような配慮をご検討ください。

対策② 公正証書遺言で作成する

自筆証書遺言にこだわりがなければ、公正証書遺言で作成するのも有効な手段です。

公正証書遺言とは、作成に公証人と2人以上の証人が立ち会うため、最も安全性の高い遺言方法です。また、作成後は原本が公証役場に保管されるため、相続人が勝手に開封して改ざんする心配もありません。

自筆証書遺言の作成には細かいルールがあり、そのルールに従って作成しなければ、遺言の内容が無効になってしまいます。しかし、自筆証書遺言の性質上、遺言者本人で作成を行う必要がありますので、せっかく残した遺言が無効になってしまうケースも少なくありません。これらのリスクを考慮すれば、多少の費用がかかったとしても安全性の高い公正証書遺言で残すことをおすすめします。

遺言の保管方法

先ほどお伝えした通り、公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されるため、相続人は全国の公証役場から被相続人の遺言の有無を確認することができます。

しかし、自筆証書遺言にはそのような決まりがなく、遺言を作成した後は自分で保管場所を決めなければなりません。

従来、自筆証書遺言は被相続人の自宅や信頼できる家族、遺言の作成に携わった専門家などが保管することが多く、相続が開始した後に遺言を見つけられないケースも少なくありませんでした。

しかし、2020年7月に「自筆証書遺言保管制度」がスタートし、作成した自筆証書遺言を法務局に預けることができるようになりました。この制度の概要について次の項でご説明します。

自筆証書遺言の法務局保管制度とは

この制度は、せっかく作成した遺言を見つけてもらえないというケースや、勝手に開封されて内容を改ざんされる等のトラブルを防止するために制定されました。この制度を利用することによって、遺言の紛失・改ざん等を防ぐことができるだけでなく、遺言の存在を証明できるため「検認手続き」も不要となります。

相続発生後の家族の負担を考慮すると、自筆証書遺言を作成した際は、法務局での保管制度を利用することをおすすめします。

法務局保管制度を利用するための手続き

自筆証書遺言の法務局保管制度を利用するにあたって、事前に申請を行う必要があります。

まずは、遺言書を作成したら、保管の申請をする保管所を決めましょう。申請できる保管所は「遺言者の住所地」、「遺言者の本籍地」、「遺言者が所有する不動産の所在地」のいずれかを管轄する遺言保管所になります。

保管所を決めたら申請書を作成します。申請書の様式は法務局のサイトからダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

申請書に必要事項を記入した後、保管所に申請の予約を入れます。

当日は、以下の必要書類を保管所まで持参して申請を行います。

【遺言の保管申請に必要な書類】

・遺言書

・申請書

・本籍の記載がある住民票の写し

・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)

申請をして保管証を受け取ったら、手続きは終了です。なお、申請には遺言書1通につき3,900円の手数料がかかりますので、忘れずにお持ちください。

まとめ

今回は、遺言の取り扱い方についてご説明しました。

遺言の取り扱い方は、相続人だけでなく遺言者本人も気をつけなければならない問題です。特に、自筆証書遺言の場合は確実性や安全性が低いため、保管方法に十分注意する必要があります。遺言の作成に不安がある方は、公正証書遺言で作成するか、相続に詳しい専門家への依頼をご検討ください。

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