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■遺産

2019/04/10

遺産の評価方法について

相続税は、相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた額に対してかかる仕組みになっています。そのため、相続税額を計算するためには、相続財産がいくらになるかを求めなければなりません。
しかし、相続財産の中には現金や預貯金などの金額で表しやすいものだけでなく、不動産や株式などの金額で表すのが難しい財産も含まれています。このような財産は、相続税の計算をするために「評価」を行い、財産の価額を決める必要があります。

今回は、遺産の評価方法について、遺産の種類ごとに詳しくご説明していきます。


現金・預貯金の評価方法

現金は、被相続人が所有していた現金の額面金額で評価します。

預貯金については相続開始の日の預金残高から、解約した場合に支払われる利息を加えた額で評価されます。
ただし、普通預金の場合は利息の額はそこまで高くないため、実務上は預金残高を評価額としても問題ありません。
一方で、定期系の預貯金の場合は利息が高いケースもありますので、預金残高+(利息−源泉所得税)で計算された金額が評価額となります。

株式の評価方法

株式の評価方法は、上場株式と非上場株式とで異なります。
上場株式の評価方法

上場株式とは、証券取引所で売買されている株式のことです。上場株式の価格は日々変動しているため、次の4つのうち1番低い価額で評価します。

・相続開始日の終値
・相続が発生した月の最終価額の平均額
・相続が発生した月の前月の最終価額の平均額
・相続が発生した月の前々月の最終価額の平均額

終値については、口座を開設している証券会社に直接問い合わせる方法が最も現実的です。手数料はかかりますが、残高証明書を発行してもらうことで、正確な数値を知ることができます。
また、平均額はネットで得た終値をもとに自分で計算することもできますが、日本証券取引所のサイトにある月間相場表で簡単に平均額を知ることができます。

非上場株式の評価方法

非上場株式には市場価格がないため、会社の財務状況から株式の評価額を算出する必要があります。株式の評価方法は会社の規模によっても異なり、大会社に分類される会社の場合は、「類似業種比準価額方式」によって株式を評価します。類似業種比準価額方式とは、事業内容が似ている上場企業の株式の株価を基準に株価を評価する方法です。
また、小会社の場合は「純資産価額方式」で株式を評価します。純資産価額方式とは、会社の全ての相続税評価額を算出して株価を評価する方法です。
中会社の場合は、「類似業種比準価額方式」と「純資産価額方式」を併用して株価を評価します。

建物の評価方法

被相続人が建物を所有していた場合は、固定資産税評価額×1.0で評価します。固定資産税評価額はその建物が建っている地域の役場で調べることができます。
その建物が賃貸物件である場合は、「固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)」で評価します。

例えば、賃貸アパートの固定資産税評価額が5,000万円で、借家権割合が30%、賃貸割合が70%のケースを考えてみましょう。この場合、賃貸アパートの評価額は5,000万円×(1−30%×70%)=3,950万円となります。

土地の評価方法

土地の評価方法はその土地のあるエリアによって異なり、「路線価方式」または「倍率方式」のどちらかで評価します。
路線価とは、その道路に面する土地1㎡あたりの評価額のことです。路線価方式の場合、土地の評価額は「路線価×土地の面積」で求めることができます。
また、倍率方式とは路線化が定められていない土地の評価額を計算する際に利用される方法です。倍率方式では、「固定資産税評価額×倍率」で評価額を求めます。
なお、路線価と倍率は国税庁のホームページでご確認ください。

例えば、固定資産税評価額が1,500万円で倍率が1.2倍の土地を相続した場合、土地の評価額は1,500万円×1.2=1,800万円となります。

生命保険の評価方法

生命保険金は、被相続人が死亡したことにより支払われるため、被相続人が死亡時に所有していた財産ではありません。そのため、本来であれば相続財産には含まれない財産です。
しかし、その保険料を被相続人が支払っていた場合は、被相続人の死亡をきっかけに財産が受取人に移動するものであるから、相続財産として扱われるのです。このような財産を「みなし相続財産」といいます。

ただし、受け取った生命保険金全額が相続税の対象となるわけではありません。生命保険金には「500万円×法定相続人の数」で計算される非課税枠があります。したがって、生命保険金から非課税枠を差し引いた額に対して相続税が課税されます。

例えば、法定相続人が妻と長男、次男の3人の場合で、被相続人が支払いをしていた生命保険金4,000万円を長男が受け取ったケースを考えてみましょう。この場合、生命保険金の非課税枠は500万円×3人で1,500万円ですので、4,000万円から1,500万円を差し引いた2,500万円が生命保険金の評価額となります。

死亡退職金の評価方法

死亡保険金とは、被相続人が死亡したことによって勤務先の会社から支払われる退職金のことです。これも被相続人の所有していた財産ではありませんが、本来であれば被相続人が取得しているはずだった財産であると考えられるため、相続税の対象となります。
死亡退職金の評価方法は、生命保険金と同様、受け取った金額から「500万円×法定相続人の数」を差し引いて算出されます。

3年以内贈与の評価方法

被相続人の死亡前3年以内に贈与された財産は、相続財産に加算されます。つまり、相続税の課税対象となるのです。
加算される贈与財産の評価額は、贈与税が課税されたかどうかにかかわらず、贈与時の評価額で算出します。
例えば、評価額が1,000万円の土地を贈与し、2年後に被相続人が亡くなったケースを考えてみましょう。死亡前3年以内の贈与ですので、この土地の評価額1,000万円が相続財産に加算されてしまいます。しかし、相続開始時の評価額が1,500万円になっていたとしても、相続財産に加算されるのは贈与時の価額1,000万円です。

ゴルフ会員権の評価方法

多くのゴルフ会員権には取引相場があり、譲渡可能な預託金制であるため、相続財産として扱われます。
ゴルフ会員権の評価額は、相続開始日の取引価格の70%で計算されます。

書画・骨董品の評価方法

書画・骨董品の評価は、骨董品や美術品を取り扱っているお店や専門家に依頼して行います。その品が本物かどうかや、保存状態で価値を判断しますが、ある程度は鑑定をする専門家の権威や信頼度によって評価が変動します。1人の専門家のみに依頼をして評価額を高く見積もられると、相続税の金額にも影響が出てしまいます。
そのため、鑑定料が多くかかったとしても、複数の専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。

まとめ

今回は、遺産の評価方法について遺産ごとにご説明しました。
一言に遺産といっても、不動産や預貯金、骨董品まで様々な種類が存在します。また、評価方法も遺産の種類によって異なるため、遺産の総額を計算しようとすると、かなりの時間と手間がかかってしまいます。
不安な点がある場合は、相続の専門家への依頼をご検討ください。

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