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■遺産

2019/04/10

上場株式・国債・投資信託の評価法

相続税の計算をする際、相続財産の総額がいくらになるかを計算しなければなりません。しかし、相続財産の中には現金や預貯金などの金額で表しやすい財産だけでなく、不動産や株式などの金額として表しにくい財産も含まれています。このような財産は「評価」を行い、その評価額を財産額として計算する必要があります。
では、財産の評価はどのようにして行うのでしょうか。

今回は、相続財産の中でも上場株式・国債・投資信託の評価方法に焦点を絞ってご説明いたします。


上場株式の評価方法

上場株式とは、金融証券取引所に上場されている株式のことです。上場株式の相続税評価額は、以下の4つのうち最も低い価額となります。

・相続開始日の終値
・相続が発生した月の最終価額の平均額
・相続が発生した月の前月の最終価額の平均額
・相続が発生した月の前々月の最終価額の平均額

また、所有している上場株式が複数ある場合は、その株式ごとに最も低い価額で評価します。

上場株式の評価例

例えば、4月10日に被相続人が亡くなり、株価が以下の通りであったとします。

・「4月10日の終値」=5000円
・「4月の最終価額の平均額」=5600円
・「3月の最終価額の平均額」=4200円
・「2月の最終価額の平均額」=3900円

この場合、4つの価額のうち最も低いのは3900円ですので、相続税を計算する上でこの上場株式は1株あたり3900円で評価します。100株持っている場合は、3900円×100株=390万円となります。

終値や平均額の調べ方

終値については、口座を開設している証券会社に直接問い合わせる方法が最も現実的です。手数料はかかりますが、残高証明書を発行してもらうことで正確な数値を知ることができます。
また、平均額はネットで得た終値をもとに自分で計算することもできますが、日本証券取引所のサイトにある月間相場表で簡単に平均額を知ることができます。

相続開始日の終値がない場合

被相続人の亡くなった日が土日・祝日等で取引がない場合は、終値がありません。この場合は「相続開始日に近い日の終値」を相続開始日の終値とすることができます。
例えば、4月10日土曜日に被相続人が亡くなった場合は、その前日の4月9日金曜日の終値を評価額とし、4月10日が日曜日であった場合はその翌日の4月11日月曜日の終値を評価額とします。

新株の割当、配当の支払いがある場合

上場株式は株価が公開されているため、簡単に評価額を計算することができますが、新株の割当や配当の支払いがある場合は、評価方法に注意が必要です。
株主には定期的に、新株割当や配当などの恩恵を受ける機会があります。この恩恵を受ける権利が与えられる日のことを「基準日」といい、基準日に恩恵を受けるためには、それまでに株式を購入しておく必要があります。しかし、実務上、株式は購入した3営業日後に引き渡されるため、基準日に間に合わずに株式が持つ権利を受け取れない場合もあります。これを「権利落ち」といいます。
一般的に、新株の割当や配当の支払いが行われる日が近づくにつれ、株価は下がっていきます。そうすると、相続財産である株式の評価額にも支障が生じてしまうのです。
そこで、権利落ちの日から基準日までの間に相続が開始した場合は、権利落ちの前日の終値で評価をすることになっています。

国債の評価方法

国債とは国が資金を調達するために発行する債券のことです。発行主体が国であるため信用性は高いですが、その分利息がかなり低く設定されています。また、個人でも購入することができ、これを「個人向け国債」といいます。
個人向け国債は、相続開始日に中途換金した場合に取扱機関から支払いを受けることができる価額により評価します。計算式は以下の通りです。

個人向け国債の相続税評価額=額面金額+経過利子相当額−中途換金調整額

「額面金額」とは文字通り額面金額です。ただし、個人向け国債には証書がないため、各金融機関から送られてくる取引明細書で金額を確認しましょう。
「経過利子相当額」とは、その時点で換金をした場合に受け取れるであろう利息の金額のことです。実際に利息を受け取る場合は20%相当額が税金として引かれてしまいますが、この場合は差し引かれる税金のことは考えません。
「中途換金調整額」とは、満期を待たずに途中で換金した場合の違約金のことです。原則は直前2回分の利子相当額となります。

また、国債には個人向け国債の他にも様々な種類があります。以下ではその他の国債について説明します。

利付国債の評価方法

利付国債とは、償還期限まで半年に1度のペースで利子を受け取ることができる国債のことです。利付国債の相続税評価額は、既経過利息が考慮されるので、以下の計算式になります。

利付国債の相続税評価額=相続開始日の終値+既経過利息の額

既経過利息とは前回の利払日から相続開始日までの利息のことをいいます。

割引国債の評価方法

割引国債とは、利子に相当する金額をあらかじめ額面から引いて発行される国債のことです。途中の利払いはありませんが、換金した際は額面金額をそのまま受け取ることができるため、発行価格と額面金額の差が利息に相当することになります。そのため、割引国債の相続税評価額は以下の通りです。

割引国債の相続税評価額=取引所が公表する相続開始日の終値

投資信託の評価方法

投資信託とは、投資家から集めたお金を1つの大きな資金にまとめて専門家に運用してもらい、その運用の成果として組まれた利益を投資家に還元するという商品です。
投資信託には以下の4種類があり、それぞれ評価方法が異なります。まずは、被相続人の保有している投資信託がどれに該当するかを確認しましょう。

・MRF(マネー・リザーブ・ファンド)
・外貨建MMF
・一般的な投資信託
・上場投資信託(ETE・REIT)

以下、それぞれ具体的に説明していきます。

① MRF(マネー・リザーブ・ファンド)

MRFとは、証券総合窓口専用の投資信託です。超低金利の現在では、未収分配金がほぼ0であるため、実務上は証券会社等の残高証明書に記載されている「口数」をそのまま相続税評価額としても問題ありません。
ただし、MRFに置かれている額が非常に大きい場合や金利が高くなった場合には、以下の計算式に当てはめて計算します。

MRFの相続税評価額=1口当たりの基準単価×口数+未収分配金−未収分配金に対する源泉所得など

② 外貨建MMF

外貨建MMFとは、米ドルや豪ドルなど格付けの高い外貨建ての短期証券に投資する投資信託のことです。
外貨建MMFの相続税評価は少し複雑で、以下の計算式に当てはめて計算します。

外貨建MMFの相続税評価額=1口当たりの基準単価×口数×売却時適用為替レート−譲渡益税+未収分配金−未収分配金に対する源泉所得税など

この場合の譲渡益税とは、実際に売ったか売ってないかにかかわらず、「相続開始時に売ったらいくらで売れるか」という考えで算出します。

③ 一般的な投資信託

一般的な投資信託の相続税評価額は、以下の計算式で求めます。

一般的な投資信託の相続税評価額=(1万口当たりの基準価格−信託財産留保額等の解約コスト)×口数÷10,000−譲渡益税

相続開始日が土日・祝日で基準価格が出ていない場合は、「相続発生前」の最も近い日の基準価格で計算します。また、外貨建MMFと同様、譲渡益税は相続開始時に売ったと仮定して算出します。

④ 上場投資信託(ETE・REIT)

上場投資信託は、名前に「投資信託」とついていますが、取引の方法は上場株式と全く同じです。そのため、評価額は以下の計算式で求めることができます。

上場投資信託の相続税評価額=株価×株式

株価も上場株式と同様に、以下の4つの中から最も安いものを使って良いことになっています。

・相続開始日の終値
・相続が発生した月の最終価額の平均額
・相続が発生した月の前月の最終価額の平均額
・相続が発生した月の前々月の最終価額の平均額

まとめ

今回は、相続財産の中でも、上場株式・国債・投資信託の評価方法に焦点を絞ってご説明しました。
相続税評価額は財産によって全く異なります。財産が多ければ多いほど評価も大変になってきますので、スムーズな手続きを実現するためにも、早いうちから評価についての知識を身につけておきましょう。

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