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■専門家インタビュー

2021/11/26

不動産屋さん視点からみる不動産の相続について

今回は株式会社リビングコンシェルコンサルティング事業部 部長代理 、山本 計幸さんに不動産屋さん視点からみる不動産の相続についてお話を伺ってきました。


「はじめての相続」だけの特別なインタビューです。ぜひご覧ください!

山本さんのお仕事についてはこちらをご覧ください!

聞き手:まず初めに山本様の普段のお仕事について、簡単にご説明お願いいたします。

山本さん:私は不動産会社に所属しておりまして、現在はリビングコンシェルという不動産屋に所属しています。弊社は3店舗ありまして、町の不動産屋さんとしては多少規模のある会社かと思います。
会社のメイン事業は売買の仲介業務、賃貸物件の管理業務と、セクション事に分かれていますが、私が所属しているのはコンサルティング事業部となります。
具体的な業務内容は、土地の有効活用と、空き家の悩み相談をお客様からいただき、活用方法や解決方法をご提案しています。

前職で、財閥系の大手不動産会社に勤務しており、土地の有効活用や不動産の組み換えを提案する部署におりました。
そこでの業務内容としては、賃貸アパートや介護施設などの建築的な不動産の提案業務が多いのですが、お客様は一般の方が多いので、相続の相談などのコンサルティング的な内容が不随している事が多く、いずれは自分がコンサルをして、悩んでる方のお悩みをフロントで解決する立場になりたいと思っていました。

アパートの建設や土地売却など不動産をメインに扱いつつ、様々な視点でお客様の課題を見れることができるコンサルティングの仕事がしたいと考え、前職を退職して現在勤務しているリビングコンシェルに転職しました。

転職先の社長を元々知っていたので、コンサルティングの部署を作ってもらい、現在そこで不動産のコンサルティング業務を担当しています。業務内容としては、お客様から相談をいただいて、最初に私がお話を聞きます。その内容からどんな不動産の活用方法が良いかアドバイスさせて頂いております。
例えば、相談に来た方の物件で、売却した方が良いのなら、売買の部署と連携し、賃貸する方がよければ賃貸の部署と連例します。リフォームして活用できるなら、リフォームの部署と連携し、建替えた方が良ければ提携先の会社数社でご提案をしております。

私の方がフロント業務を担当することで、中立公平な立場でお客様にご提案できています。不動産会社であれば、自分のお仕事を優先して「売却しましょう」とお客様に提案するのが普通ですが、私たちの会社では、お客様を第一に考えて色々な方法でご提案することを心がけています。

聞き手: 不動産の相続で皆さんが抱えるお悩みはありますか?

山本さん:お客様からの相談で多いケースは、昔、親が買ってしまった地方の不動産をどうにかしたいと言う案件ですね。そのような案件は私の方で売却活動をして、どうしても売却できない場合は寄付をしたり、お金を払ってでも処分したい土地は、協力してくれる専門業者に相談して解決したりします。
今ある負の遺産を次の世代に残したくないというのが、ほとんどのお客様のお悩みですね。

聞き手:ご年配の方の親御さんたちは、地方の不動産よくお持ちという傾向があるんですね。

山本さん:昔、原野商法という不動産売買の商材がありました。何もない山をこれから開発するので、今後、値段が上がるから投資として買った方が良いと言うものに便乗した人が結構いますね。
バブル時代だったので、実際に地方で開発された物件も多くあり、富裕層が土地を投資目的等で購入していました。その土地、今はどうなっているかというと、タダ同然の値段で、固定資産税だけが掛かっていることが多いです。
また、実家が広かったり、実家が流通しにくい場所だったり、実家の近くに土地が空いていたから、将来を見越して親が買ってしまったけれど、活用する予定がないという相談もあります。
このままだと負の遺産となってしまうので、精査しておきたいという方が多いです。

聞き手:地方に不動産を持っている方がやっておくべきことや対策はありますか?

山本さん:そうですね。実家を相続した際に50%以上の不動産が空き家になっている現状があります。
少しでも、負担を軽減するとしたら、定期的に手入れをしてもらうことが有効です。
雑草が凄くて、売却相談時に何十万も費用が掛かるケースもありますし、残置物が多くてそれの処分費だけでも何十万も掛かったりします。
頻繁ではなくても、少しづつお時間のある時に手入れをして頂ければ、価値も少し維持できる可能性があります。

その上で、もし活用できるのであれば、賃貸物件として活用した方が、資産活用としても、ゆくゆくの相続対策としても有効ですね。
しかし、コンサルティングをする上で、相続税対策ありきで、賃貸事業をすることは良くないと伝えています。賃貸物件にすることは事業になりますので、相続税は関係なく、そもそも事業として成り立つ事が大切ですとお伝えしています。
もし相続される方が貸したいということであれば、市場を調査し、その不動産にあった、事業として有効と考える事業をアパート、老人ホーム、介護施設、資材置き場やコインパーキングなどを提案します。

聞き手: 相続されるご本人の意思を伺った上で事業をおすすめされるということですね?

山本さん:基本的には事業は30年~40年スパンで見るので、例えばその人が賃貸事業をやりたいと思っていても、それを引き継ぐ次の世代はどうなのかというのもあります。
ケースによっては、さらに下の推定相続人の方とも相談する必要があるのか?自分の代で終わる程度のものなのか?もご家族で考える必要があるかと思います。

聞き手:不動産屋と土地を寄付することもあるのでしょうか?

山本さん:遺言で、「実家の不動産をある団体に寄付したい」と書かれる方もいますが、実際その団体は不動産をもらってくれないこともあります。
不動産は手間がかかるのと、維持費の問題が出てくるので、基本的には現金化して寄付してくださいという形になってしまうケースが多いのが実情です。
ですから、遺言書の書き方を「不動産を売却して、その売却した金融資産を団体に寄付したい」ということを、きちんと明確に書いてあれば、相続人の方は、意思を継いで不動産を売却して、そのお金を寄付することはできます。
この様なコンサルをする前は、寄付は富裕層の人がやることだと思っていました。しかし、きちんとした団体や児童施設などは5万円や10万円という少額でも寄付を受け付けてくれますし、喜んでくれます。

聞き手:山本さんが不動産の仕事をされていてなぜ寄付に興味を持ったのでしょうか。何かきっかけはありましたか?

山本さん:不動産は日本の相続財産の中でも半分近くを占めていています。不動産は単純に割ることができないので相続で揉める人や、揉めてないにしても悩んでる人を見てきました。被相続人からすると、相続人に残してあげなきゃという義務感がありますよね。
そうすると自分の財産を好きなことに使ってないのではないか?と感じることが多くあります。
それであれば、相続人の人たちにある程度分配する資産が決まっていれば、最後に余った自分の財産を、慈善活動など良いことに使うと決める事で、決めた後の人生を気持ちよく送って頂き、生きがいに変わってくる事もあります。そういった人が少しでも多くなればと寄付活動の支援に携わっています。

有名な大きい団体は、専門のファンドレイザー(資金を調達する人)がおります。しかし、寄付を渡す側にはそういうシステムが今まであまりありませんでした。
例えば少年野球が好きな人が、少年野球の団体に寄付したいと思っても、それを相談する窓口がありませんでした。
また、今は良い活動をしていますが、その方が亡くなった10年、15年先にその団体が存続しているのかは分かりません。
また代表が変わってお金の使い方が変わる可能性もあります。そういった時に本当にこの団体に寄付して良いのかというのを見極めて寄付先を決める事も可能です。亡くなった方の想いがきちんと伝わる寄付のシステムとして波及していくと良いですよね。

聞き手:不動産で相続を考えられる方に対して何かメッセージなどはありますでしょうか?

山本さん:会社のコンセプトが「お客様の困ったをよかったにする住まいのコンシェルジュ」として業務をしております。
悩み事がある方の問題を解決しながら最終的に不動産をどうするかを決めていけるように、サポートすることを心がけています。
それには、私だけでなく税理士さんや弁護士さん、その他、専門性のある内容は、専門のプロフェッショナルと一緒に、ご相談に対してサポートできる体制でやっておりますので、空き家や実家などの悩み相談や活用方法について、お客様に寄り添った提案ができるように心がけておりますので、お気軽にご相談ください。



はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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