■専門家インタビュー
2021/12/10
家主さん、地主さんの相続対策
家主さん、地主さんに必要な相続対策とは一体どんなことなんでしょうか?
「はじめての相続」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
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聞き手:家主さん、地主さんの相続対策についてどう思われますか?
鹿谷さん:一般の事業経営では将来ってなかなか読めないですよね。
ラーメン屋を始めても流行るかどうかわかりません。ところが不動産賃貸業の場合には一般的に家賃収入は安定していますし、支払利息や減価償却費といった経費はほとんど変動しませんので先を読むことはそれほど難しくありません。
逆に言えば、不動産賃貸業の場合には当初の計画の良し悪しで将来がほぼ決まるのです。ところが不動産経営を始めようとしている地主さんと話をしていると、ちょっと甘いなと感じることがあります。
聞き手:それはどういったところでしょうか?
鹿谷さん:例えば賃貸マンションを計画しているとしましょう。
すると、ほとんどの方は大手のハウスメーカーに建築プランを依頼するのです。もちろん大手の場合には間違いが少ないですし、知り合いに自慢もできます。ところが上場しているような大手の場合には人件費や家賃等の経費がどうしても高くなり、それが建築費に跳ね返ってくるのです。
もちろん資材などは大量発注しますので安くなりますが、それでもトータルとしては高くなります。
建築費というのは入居者からいただく家賃収入から返済していかなければなりません。
ご自分の所有している土地の立地条件が良く高い家賃をいただけるのであれば特に問題ありませんが、そうした土地はそれほど多くありません。
つまり立地条件に合わせて建設会社や建物の仕様を決める必要があるにもかかわらず、そうなっていないことがよくあるのです。特に知り合いの建設会社や設計事務所に依頼するときは気をつけてください。ついついカッコつけて建築費が高くなりがちです。
聞き手:そうですね。他にも金銭的に気をつけるところはありますか?
鹿谷さん:銀行からの借入金利や管理費、修繕費等、ほとんど全ての経費が対象となります。
先ほど不動産賃貸業というのは他の事業と比較して経営が安定していると言いました。
ところが諸々の経費が高いとそれほど利益が出ないばかりか赤字になることもあります。
不動産経営の損益構造は極めて単純です。家賃収入を増やし経費を抑えるというだけです。微分積分みたいな難しいことではなく、結局算数の足し算、引き算の世界なんですよ。建築費が億単位になると何が何やら分からなくなるのでしょうか。
聞き手:なるほど。それでは良い建設会社を選ぶコツなどありますか?
鹿谷さん:そうですね、よく勘違いされているケースとして「特命受注はよくない、競争入札すべきである」との思い込みです。
特命受注というのは最初から特定の建設会社だけに建築プランを依頼し、特に問題がなければその会社に発注するというものです。そして、もし気に入らなければ別の会社にプランを依頼します。
一方、競争入札というのは複数の会社から見積もりをとり、それらを相互に比較の上、最終的に一社に絞るというものです。
この方法は既に建築プランが決まっており基本的に工事費で優劣を比較します。国とか地方公共団体から補助金を貰って介護施設等を建てる場合によく行われています。
ところで最初に挙げた「特命受注はよくない、競争入札すべきである」との意見に対して皆様はどう思われますか。
ほとんどの方は競争入札に軍配を上げるのではないでしょうか。できるだけ多くの会社に参加してもらえれば、その中から一番条件の良い会社を選べると普通は考えるからです。
ところが私はお客様から土地活用の依頼があった場合、基本的に競争入札にはしません。
その理由は良い会社というのはそんなことをしなくても仕事がくるので競争入札に参加する必要がないからです。もし競争入札を条件にすると、こうした会社は最初から参加せず、資金繰りが厳しい会社や評判のそれほど良くない会社ばかりで競い合うことになるのです。
因みに良い会社とは、お客様の土地に相応しい建物を適正価格で建てられる財務状況の良い会社のことです。お客様の土地は千差万別ですから、良い会社もその時々によって異なります。
聞き手:競争入札が一般的だと思っていました。競争入札に参加しない会社もあるんですね。
鹿谷さん:また競争入札にすると、原則としてそれらの会社の内から一社を選ばなければならないのですが、特命受注であれば納得した上で決められるというのもメリットとして挙げられます。
聞き手:これまでお客様と接している中で早く相談に来て欲しかったことなどはありますか?
鹿谷さん:顧問先の場合にはその時々で必要な対策をアドバイスし実行のお手伝いをしているですが、新しくいらっしゃった方は何も対策されていない方が多いです。
何年か前に相談に来られた方のお父さんは既に97歳でした。
時間がないので急いでバタバタと実行に移していったのですが、残念ながら一部の建築プランは完成間際に亡くなられました。
聞き手:生前対策するにはギリギリですね! 他にはどのような方がいらっしゃいましたか?
鹿谷さん:大地主の方は昔のバブルの時に失敗した方が多いです。あまりにも高額なマンションを建て資金繰りがつかず土地ごと手放したとか、相続税を物納で納税すべきだったのに売却して納税しようとしたが思うような値段で売れなかった等々です。
こうした経験をされた方はそれがトラウマとなり、何でも用心深くなります。だからといって何もしなければ良くなることはありません。
聞き手:一般の方の相続に比べて資産家の方は色々大変なんですね。
鹿谷さん:はい、資産家の方は思いの外、苦労されています。
不動産を使った相続対策というのはどうしても金額が張りますので躊躇するのでしょう。慎重になるのは我々だって同じです。
長期にわたって専用ソフトを開発したのは少しでも間違いのない意思決定をしてほしいと考えているからです。先祖から受け継いだ大切な土地です。
実行する前に何度もシミュレーションし、やると決めたら大胆に実行する、というのがいいのではないでしょうか。
聞き手:大切な土地があるなら、早めに専門家に相談するのが大切なんですね。
本日はありがとうございました。
鹿谷さん:こちらこそ、ありがとうございました。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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