今回は吉田賢一郎税理士事務所代表、吉田賢一郎さんに、相続のときに必要な対策についてお聞きしてきました。

「はじめての相続」だけの特別なインタビューです。
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聞き手：吉田さんは約４０年間、相続の調査をされてきましたが、事前に対策しておいてほしいこととかありますか？

吉田さん：そうですね。相続人が困るのは、大体納税資金がないときです。
特に、不動産ばかりあると、納税資金を用意していないケースが多いですね。
例えば、１億円の現金が相続財産のケースと１億円の不動産が相続財産のケースがあったとします。
どちらも納税額は同じで、現金なら納税額を相続財産の中から支払うことが出来ますが、不動産の評価額が１億円で現金がない場合、納税資金のために不動産を売却しなければいけない場合も出てきます。

聞き手：できるだけ生前対策で納税資金は確保しておくのがいいんですね。

吉田さん：そうですね。後は相続人たちが争っているケースもよく見てきました。
多くのケースを見ていると、分ける財産が多いと争いは少なく、逆に分けられる財産が少ないと、権利を欲しがって争いに発展するケースが多かったです。
それぞれ言い分はあるのでしょうが、傍から見ているとやはりあまりいいものではありませんでしたね。譲れない部分はあるんでしょうが、理性を忘れてまで財産争いをしていると、亡くなった方も浮かばれないな、と思います。

聞き手：より多くの方に知ってほしい相続に関する知識などはありますか？

吉田さん：お父さんやお母さんなど、次に亡くなることが予想されている方の具合が悪くなってくると、相続人の方はその方の財産の管理をするようになるかと思います。しかし、その時に悪さをする方も一部いらっしゃいます。
税務署はそこまで見ていないだろうと高を括って直前になってお金を沢山おろす方もいますが、銀行口座やお金の動きは全て調べますので、あまり変なことはしないほうがいいと思います。

聞き手：吉田さんはＨＰで「納税義務の適性な実現」を図ることを前提にとおっしゃっていますが、どのような思いからでしょうか？

吉田さん：まさしく、今お話したことですね。過度な節税対策は税務署の目につきます。
正式な手続きを踏んで、必要な対策を必要なだけすることが税務署からの指摘をなくす一番安全な方法です。
たまに脱税とまではいかなくても、グレーゾーンを目指される方もいます。
ですが、税務署は預金の動きだけでなく財産調査も１件1件厳しくチェックしています。
また、相続は税金のことだけ考えればいいわけではありません。
相続人同士で争うこともあるので、トータルでさまざまなことを考える必要があります。

聞き手：全ての人に当てはまる対策のパターンなどはないんですね。

吉田さん：そうですね。財産の構成によって考えられる対策は違ってきます。
一概に「こうですよ」とは言いづらいですね。また、なるべく二次相続のことまで考えておくほうがいいと思います。なぜなら、相続で争い多いのは兄弟間なんです。
一次相続のときはまだお父さんかお母さんどちらかがいるのでそこまで争いに発展することはありませんが、二次相続は相続人が兄弟だけですので、小さいころからの鬱憤や因縁が表面に出てくるケースが多いですね。

聞き手：生前対策を考える方は、納税資金があるかと、相続人の争いが起きないかをしっかりと確認して、必要であれば早めに専門家に相談がいいんですね。
本日はありがとうございました。

吉田さん：こちらこそありがとうございました。



はじめての相続編集部
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