1. トップ
  2. コラム一覧
  3. ■専門家インタビュー
  4. 兄弟相続は親子間の相続とどう違う? 行政書士に聞く、相続手続きの気になるポイント

■専門家インタビュー

2021/12/24

兄弟相続は親子間の相続とどう違う? 行政書士に聞く、相続手続きの気になるポイント

今回は「兄弟相続」をテーマに、「行政書士法人優総合事務所」代表の東 優さんにお話を伺いました。


散り散りになった兄弟でも相続ができるのか? 兄弟相続の手続きの進め方、行政書士と弁護士の役割の違いなど、興味深い内容について語っていただきましたのでぜひご一読ください。

行政書士法人優総合事務所紹介ページはこちら!

聞き手:本日はお忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

東さん:こちらこそ、よろしくお願いいたします。

聞き手:東さんは相続関連の事例に多数携わられてきたと伺っています。相続というとさまざまなケースがあるかと思いますが、東さんが特に多くご経験されてきたのはどのようなものでしょうか?

東さん:僕らの事務所で特に多いのは兄弟相続です。ご兄弟のお一人が亡くなり、お子さんもおらず、相続人であるご兄弟が全国各地に散らばっているとか、場合によっては交流がなくて、どこにいるのかわからない方がいるような事例です。各地に拠点がある僕らの強みを発揮しやすく、お客様にもご満足いただいています。

聞き手:東さんの事務所は対応エリアが広いので、まさに適任と言える事例ですね。兄弟相続の手続きはどのように進めていくのでしょうか?

東さん:まずは各地からスピーディーに戸籍を取り寄せて相続関係図を作成し、残高証明を取得して財産目録を見える化していくことになります。
兄弟相続は戸籍収集の段階から大変ですが、相続人は誰でどこにいるのかというところから僕らが調べていきます。

聞き手:財産目録はどうやって作成するんですか?

東さん:通帳だけではなく郵便物などの遺品を調べたり、銀行関係の資料を取り寄せたりして手がかりを探します。
ご相談に来られた方も知らなかったような財産を探し出し、遺産分割協議前に状況を整えるのは、僕ら行政書士が得意とする領域です。いわば、遺産分割協議の調整役といったところでしょうか。

聞き手:遺産分割協議が円滑に進むようにコーディネートをするということですね。

東さん:おっしゃる通りです。法定相続割合を前提に相続人同士で話し合っていただくためにコーディネートして遺産分割協議をまとめ、最終的には遺産分割協議書を作成するのが行政書士の役割です。
そのために相続人に相続関係図、財産目録というエビデンスを提示し、しっかりとご説明をして情報をお伝えします。
行政書士というと代理人として遺産分割の放棄を迫るかのように誤解を受けることもありますが、そういった非弁行為は一切いたしません。

聞き手:弁護士とは役割が違うということですね。

東さん:そうですね。遺産分割協議に弁護士が介入すると、かえって話し合いがもつれることもあります。特に日頃交流がなかったようなご兄弟ですと、弁護士からいきなり書類が届くと驚いて喧嘩腰になってしまうこともあるんです。
僕ら行政書士が調整役として入ることで、円滑に手続きを進められた事例は非常に多いです。

聞き手:相続はデリケートな問題ですから、専門家の介入の仕方にも注意を払わなくてはいけないのですね。

東さん:そうですね。相続をきっかけにご兄弟で紛争になってしまうような事例はやはり弁護士が適任ですし、しっかりと情報共有して内容を承知していただき、揉めることなく相続手続きを終わらせたいということならば僕ら行政書士の出番です。

聞き手:東さんが関わるのは、遺産分割協議書の作成までですか?

東さん:実際には、預貯金の解約や払い戻しまで手続きを代行することも少なくありません。
また、不動産登記などは司法書士と連携して進めていきます。
突き詰めれば、僕らの事務所が目指しているのは相続手続きにおけるお客様の負担をできる限り軽減することです。兄弟相続に携わることが多いのも、やはり専門家が入らないと当事者の負担が大きいからなんです。

聞き手:それまで疎遠だったのに突然相続のことを知らされて、重荷に感じる方もいらっしゃるでしょうね。

東さん:どうしてもそういうケースも出てきます。そこをどう知らせるかも僕らの腕の見せ所で、結果的には経験に基づくノウハウが必要になってきます。

聞き手:親子間の相続と兄弟相続はどのように違うのでしょうか?

東さん:親子間の場合はどうしても距離感が近い分、相続人同士で言いたいことを言い合ってトラブルになりやすいです。一方兄弟相続の場合は、被相続人の方に子どもがいなかったり全員亡くなっていたりとさまざまなケースがあります。
そういった経緯でご兄弟が相続人になった場合は「ありがたい話です」ということが多く、意外とトラブルになりにくい印象です。代襲相続で甥や姪が相続人になった場合もそうですね。

聞き手:人間関係がある意味希薄な方が、相続はうまくいきやすいのですね。

東さん:そうですね。手続き自体は兄弟相続の方がいろいろな意味で大変ではありますが、そういった違いはあるかなと思います。
調整役として入る行政書士の力量にもよるかもしれませんが、僕が見てきた限りではそういう印象です。

聞き手:本日は大変勉強になりました。お忙しい中、ありがとうございました。

東さん:こちらこそ、ありがとうございました。



はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

この記事の関連記事

女性に寄り添う相続専門税理士が教える、相続発生前にできること

今回は、久保順子税理士事務所代表の久保順子さんに「女性に寄…

今回は、久保順子税理士事務所代表の久保順子さんに「女性に寄…

元国税調査官の税理士が教える!税務調査対策のポイント!

今回は、元国税調査官である稲川善文税理士事務所代表の稲川善文…

今回は、元国税調査官である稲川善文税理士事務所代表の稲川善文…

まずは話してみることから。アットホームな相続事務所

今回は司法書士・行政書士菅井事務所、菅井之央さんにお話しを伺…

今回は司法書士・行政書士菅井事務所、菅井之央さんにお話しを伺…

若手税理士の視点でみる「相続」

今回は新宿税理士事務所代表、坂根崇真さんにお話しを伺ってきま…

今回は新宿税理士事務所代表、坂根崇真さんにお話しを伺ってきま…

札幌遺産相続手続き専門代行所について教えてください!

今回は札幌遺産相続手続き専門代行所(行政書士 千田 大輔 行…

今回は札幌遺産相続手続き専門代行所(行政書士 千田 大輔 行…

親が死んだらどうしよう!?  一般社団法人OSDよりそいネットワークについて

今回は、野口敏彦弁護士が副代表をしている、「一般社団法人OS…

今回は、野口敏彦弁護士が副代表をしている、「一般社団法人OS…

不動産に強い税理士が教える生前対策について

今回は渡邉優税理士事務所代表、渡邉優さんにお話を聞いてきまし…

今回は渡邉優税理士事務所代表、渡邉優さんにお話を聞いてきまし…

こんなことまでできるんです! 相続手続き代行の専門家に依頼できることとは!?

今回は遺産相続手続まごころ代行センター代表、嶋田裕志さんにお…

今回は遺産相続手続まごころ代行センター代表、嶋田裕志さんにお…

人気記事ランキング

女性に寄り添う相続専門税理士が教える、相続発生前にできること

今回は、久保順子税理士事務所代表の久保順子さんに「女性に寄…

元国税調査官の税理士が教える!税務調査対策のポイント!

今回は、元国税調査官である稲川善文税理士事務所代表の稲川善文…

まずは話してみることから。アットホームな相続事務所

今回は司法書士・行政書士菅井事務所、菅井之央さんにお話しを伺…

若手税理士の視点でみる「相続」

今回は新宿税理士事務所代表、坂根崇真さんにお話しを伺ってきま…

札幌遺産相続手続き専門代行所について教えてください!

今回は札幌遺産相続手続き専門代行所(行政書士 千田 大輔 行…

不動産に強い税理士が教える生前対策について

今回は渡邉優税理士事務所代表、渡邉優さんにお話を聞いてきまし…

こんなことまでできるんです! 相続手続き代行の専門家に依頼できることとは!?

今回は遺産相続手続まごころ代行センター代表、嶋田裕志さんにお…

負債物件はどうすればいいの?

今回は、株式会社ファースト不動産鑑定代表、古家一郎さんにお話…

元国税OB税理士の目線で見極める、いい税理士の見分け方

今回は新百合ヶ丘相続税理士事務所【しんゆり相続・しんゆり相続…

時間や労力を惜しまずに、お客様と真摯に向き合う姿勢

今回は、司法書士法人花沢事務所の花沢良子さんにお話をうかがい…

人気記事ランキング

相続簡単資料ダウンロードはこちらから