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■専門家インタビュー

2022/01/14

遺言の有無で状況は大きく変わる! 相続手続きのために必要な準備とは?

今回は「遺言」をテーマに、「藤原友 行政書士事務所」代表の藤原 友さんにお話を伺いました。


遺言がない場合、どんな問題が起きるのか? 相続手続きのためにあらかじめできることとは?
 相続問題に悩む方にとって参考になるお話を、藤原さんが経験された実例を交えながら語っていただきましたのでぜひご一読ください。

藤原友行政書士事務所紹介ページはこちら!

聞き手:本日はよろしくお願いいたします。

藤原さん:こちらこそ、よろしくお願いいたします。

聞き手:藤原さんは、どのようないきさつで遺言・相続に特化した事務所を立ち上げられたのでしょうか?

藤原さん:実は、祖父が亡くなったときに身内が相続問題で揉めたことがあるんです。
後に相続について勉強し、当時のいざこざは遺言があれば避けられたことがわかりました。
その後、祖母が愛用していた洋裁台を事務机にして遺言・相続を扱う行政書士事務所を開業することになり、縁のようなものを感じたことを覚えています。予防法務の観点から、このままでは将来的にいざこざが起きると予想されるときに、そうならないための手段を知っていただきたいと考えています。

聞き手:立ち入ったことをお聞きして恐縮ですが、藤原さんのお身内の相続問題について、お話しいただける範囲で教えていただけますか?

藤原さん:まず前提として、祖父には遺言がなかったので相続人同士で話し合って遺産分割協議をすることになりました。
この相続人というのがやや複雑なのですが、祖父には同居している次女がいました。これが私の母です。
そして、別居している長女は前妻との子どもでした。

聞き手:その場合、長女も次女も相続権があるという認識でよろしいでしょうか?

藤原さん:おっしゃる通りです。ただし、配偶者である私の祖母がすべて相続してしまうと、祖母の死後に長女には相続権がありません。
長女としては、祖父が亡くなった時点で相続分をもらっておかなくては困ります。それで、争いのような感じになってしまったんです。

聞き手:遺言があれば、その争いは避けられたわけですね。

藤原さん:そうです。祖父が生きているうちであれば本人の思いを遺せたはずですが、突然亡くなったのでそれは叶いませんでした。遺言で遺産分割の内容をある程度定めておけば、もう少しやりようはあったと思います。

聞き手:こうして実際の例をお聞きすると、遺言の重要性がよくわかります。

藤原さん:基本的に、遺された者はできるだけ故人の意思に沿おうとするものです。
また、遺言通りに遺産を分けることになるので納得感が違います。相続のさまざまな事例を目の当たりにして思うのは、法律よりも納得感のほうが大事だということです。
もちろん遺留分(各法定相続人が最低限もらえる割合)を考慮した上で遺言を作っていただくのは大前提ですが、どうしてもうまく分けられないこともあるでしょう。それでも、遺された法定相続人のみなさんが納得できる内容になっていれば、話がまとまりやすいのではないかと思います。

聞き手:より納得感を高めるために、生前に遺言の内容を相続人に伝えることもあるのでしょうか?

藤原さん:オープンな関係なら、遺言作成時に内容を伝えておくほうが良いとは思います。
ただ、やはりご家族によって関係性はそれぞれですから、伝え方は検討しなくてはならないと思います。
聞いた話では、ご家族を集めて遺言の内容を伝える「遺言式」のようなことを行っていらっしゃるケースもあるようです。

聞き手:今伺ったようなトラブルを回避するためにも、遺言作成も含めて相続のことは専門家に相談したほうがいいのでしょうね。

藤原さん:そうですね。相続対策の三本柱としてよく言われているのが、節税対策、分割対策、手続き対策です。相続対策イコール相続税対策というイメージの方もいらっしゃると思いますが、税金対策であれば税理士さんにご依頼いただければ、適切に処理をして相続税を少しでも節税できるようにシミュレーションしていただけると思います。

聞き手:残る二本の柱、分割対策と手続き対策についてはいかがですか?

藤原さん:そこを担うのが行政書士の役割です。極端な話、相続財産が不動産のみで相続人が3人いる場合に、家を売ってお金に換えて等分するしかないと考えることもあるでしょう。
あるいは、ご本人が亡くなった後、ご自宅には奥様が住み続けて欲しい場合もあります。実際の相続でどういう問題が起き得るのか、あらかじめ想定し、対処の方法を決めて準備しておくことで不安はなくなるはずです。
そういう不安がある場合は行政書士までご相談いただければ、きっとお役に立てることがあるかと思います。

聞き手:具体的にはどのような対策を取るのでしょうか?

藤原さん:ぜひご活用いただきたいのは、遺言とエンディングノートです。ご家族の関係性によっては、先ほど申し上げたような「遺言式」を開くのも一つの手だと思います。
また、最近問題になっているのがいわゆるデジタル遺産です。
自分なき後にパソコンの中身をどうするかについて決めておくと良いでしょう。
また、オンラインでのFXの取引アカウントがある場合などは、エンディングノートやパソコンのテキストファイル等にログインIDやパスワード等を記録しておくことをおすすめしております。

聞き手:本日はたいへん勉強になりました。貴重なお時間をいただきありがとうございました。

藤原さん:こちらこそ、ありがとうございました。



はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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