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■専門家インタビュー

2021/09/17

悲しみも苦しみもあなたの傍で寄り添い見守ります。

今回は税理士法人トゥモローズの代表税理士・行政書士の角田壮平さんに、これまでにあった相続の事例についてお聞きしました。

相続の手続きをいざするというとき、「自分の環境、状態が特殊すぎてどこに相談すればいいかわからない」「こんな状況じゃもうどうすればいいかわからない」など複雑な気持ちを抱えていらっしゃる方も多いと思います。
税理士法人トゥモローズは相続税務が全体業務の9割と相続専門税理士事務所の中ではトップクラスの事務所です。
多くの案件の中から角田さんの印象に残っている相談事例をお聞きしました。


聞き手: それではよろしくお願いいたします。


角田さん:こちらこそよろしくお願いいたします。


聞き手:業界の中でもトップクラスで相続税務の業務割合が多いですが、これまであった印象的なご相談や思い出に残っている事例などありますか?


角田さん:う~ん。そうですね、色々ありますよ

相続はやはりその人その人でドラマがあるじゃないですか。

だから思い入れはどれも強いですね。


聞き手:そうですよね。ご相談に来る方はみなさん大切な方を亡くされていますから。


角田さん:はい。その中でも例を挙げるとしたらこういうご相談がありましたね。

お母さまが亡くなられて、お子さんは長女(姉)、長男(弟)の二人でした。
長女は自立して生活をしていて、ご実家との連絡頻度は少なかったそうです。
一方、長男はご実家でお母さまとずっと二人暮らしをされていました。
遺産の相続になり、長男はずっと家に寄り付かなかった姉がなんで遺産を貰えるんだという気持ちを持っていて、逆に長女は弟がお母さんに連絡させてくれなかった、意図的に私を部外者にしていたのに、なんでそんな奴が遺産を貰えるんだといった双方の思いがぶつかっていました。

聞き手:ご姉弟それぞれ思いが強かったんですね。

角田さん:まあ、これもよく状況を見てみると、長男はご自宅で過ごされる時間の多い方で少しお母さまに当たりが強い傾向がありました。
感情的な側面をお持ちだったんです。だから長女だけが悪いといったわけでもなく。
もちろん考えなければならない問題はそれだけではないですが、ご家族の関係性というのは本当に複雑だと感じました。

聞き手:そうだったんですね。どちらか一方の気持ちだけを聞くと、どうしても先入観などで判断してしまいそうですが、ちゃんと相続する権利がある方お一人おひとりのお話をしっかりと聞かれているんですね。
ちなみにそれはどうやって解決に導かれたのですか?

角田さん:詳しいことは守秘義務があるので申し上げられませんが、納得するまでひたすら話を聞き、対話をし続けました。

聞き手:時間がかかるとは思いますが、やはり思いを語りきってもらってご自身で納得してもらうのが最善なのかもしれませんね。
それぞれの状況がどうであれ、姉弟がこの時点ですれ違い続けるのは亡くなったお母さまも浮かばれないですし。

角田さん:ご家族の状況、それぞれの人生がどうであれ、どちらも悲しい気持ちは持っているんです。
なので、そこの気持ちの面でも折り合いをつけていくことを相続業務以上に大切にしています。

聞き手:とても素晴らしい姿勢だと思います。
相続の手続きをされる方のご家族の形はそれぞれあるかと思いますが、角田さんが今までご相談を受けてきた中で一番印象深い相談はどういったものでしたか?

角田さん:これは、元々セカンドオピニオン的にご相談を受けていた事例です。
お父様が亡くなって、お母さま、長男(兄)長女(妹)が相続人でした。
お父様が亡くなったときは他の税理士さんに相談されていて、長男が私に電話で「この税理士さんはこう言っていたんですが角田先生はどう思われますか?」といったご相談を受けていました。

聞き手:セカンドオピニオンもされているんですね。

角田さん:はい。やはり不安が大きい手続きですからね。人に話すだけでも安心される方は多くいらっしゃいます。
それで、お父様の手続きが一通り終わり、長男の方から「次の母のときはぜひ角田先生にお願いしたい」と一度妹さんと一緒に事務所にご挨拶に来てくれました。

聞き手: とても丁寧な方ですね。そしてそうやって指名で頼んでくれるのは嬉しいですよね。

角田さん:そうですね、ただもう会えなくなってしまったんです。

聞き手:というと、なにがあったんですか?

角田さん:実は、ご自身で命を終わらせる選択をされました。
お母さまの相続より先に長男の方の相続の手続きを行うことになったんです。

聞き手:それはとても苦しい気持ちになりますね。

角田さん:あるとき妹さんがお見えになりました。
兄の部屋に、角田先生の写真がA4サイズくらいに引き伸ばされたものが貼ってあって、自分になにかあったときには角田先生を頼ってほしいと残されていたそうです。

聞き手:それだけ角田さんはその方から信頼されていたんですね。
でもその書置きがあるということは、長い間悩みを抱えて過ごされていたんですね。

角田さん:そうだったみたいです。
その方は、元々人生の多くの時間をご自宅で過ごされていて、またご家族との時間を大切にされていました。
でも、真面目すぎるがゆえに生きづらさを感じていたようです。
私は彼が生きているうちに何もしてあげることが出来なかったことが悔しくて・・・。

聞き手:色々と頼ってきてくれた方の最後がご自身の選択でとなると、やるせない気持ちが強くなりますよね。
それでも、その方にとって角田さんは最後の最後まで頼れる、信頼できる専門家として映っていたんですね。

角田さん:そんなに信頼してもらえるのはこの仕事をしていてとても嬉しいことです。
けど、決めてしまう前に電話の一本でもくれていたらと思います。

聞き手:相続のお仕事は常にどなたかが亡くなられることからはじまりますが、このようなお話をきくと、より残された方のお気持ちがどれほど辛いものか考えだけでも胸が締め付けられます。

角田さん:そうですね。私たちは残された方のお話を元に故人の方がどういった人生を送ってきたのかを想像しながら仕事をしていきます。
受け止める側の度量も試されるのが相続の仕事です。
あとは、そうですね。
もう一つ例を挙げるなら、喧嘩した後に亡くなってしまった方のご相談はやはり残された方の悔いが大きいですし、ご相談のときも印象深いものがあります。

聞き手:喧嘩した後に仲直りができないままということでしょうか。

角田さん:そうです。とあるご夫婦のお話ですが、旦那さまと奥様の二人暮らしでお子さんはいらっしゃらないご家庭でした。
ある晩、喧嘩をしてしまい、奥様はお酒を沢山飲まれていたそうです。
その後、奥様はお風呂に入られました。普段から長風呂を楽しまれる方だったのですが、その日は2時間たっても出てこなかったそうです。
旦那様もお風呂に見に行こうかと思われたそうですが、喧嘩したばかりということもあって、声をかけずに眠ってしまわれて。
そしたら翌日、昨日と同じ場所にいる奥様の姿を見つけられました。

聞き手:それはもう一生その光景も昨晩からの状況も心に深く残りますね。

角田さん:はい。また、このお話をお聞きしたのが初回相談のときだったんです。
初めてお会いするのに全て話してくださって。
やはり誰かに話したかったのかとか、私に話すまでどれだけこの思いを抱えていたのかと思うと本当に胸が痛いです。

聞き手:相続は本当に人の死と密接ですよね。
でも、それだけお話ししてくださるというのは、角田さんが持っている安心して任せられる雰囲気や丁寧な言葉選びがお客様に伝わっているのだと思います。

角田さん:そうですかね。だといいんですけど。
相続を専門にしているとやはり日々こういった壮絶なお気持ちをダイレクトに受け止めていくことが多いですし、だからこそ事務的に作業するのではなくて、一件一件大切に仕事をしなくてはならないと思います。
また、手続きをしている間は忙しくて悲しみが少し落ち着くんです。
やはり亡くなったことを実感するのは相続の手続きが全て終わってからになります。
私たちもそのタイミングでお電話したりしますが、折角作り上げた関係性があるので、もし何かあったら、なる前でもお気軽にお電話していただけると嬉しいです。

聞き手: 手続きが終わって実感してからがやっと悲しみと向き合っていく期間になりますよね。
辛いことを思い出させてしまったので申し訳ないのですが、こういった専門家の方の経験をお聞きできるのはとても貴重な機会ですので、お話しいただけてとても有難いです。
ありがとうございました。

角田さん:いやいや。こちらこそありがとうございました。

税理士法人トゥモローズ
今回インタビューさせて頂いた角田壮平さんが代表を務める、相続専門の税理士事務所です。
詳しくは税理士法人トゥモローズの事務所紹介ページをご覧ください。

税理士法人トゥモローズHPはこちら

はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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