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■専門家インタビュー

2021/10/22

家族信託の賢い使い方について

今回は岡田綜合法律事務所代表弁護士の山口 正德さんに、家族信託の賢い使い方について聞いてきました。


一族のものを確実に一族に残す、また、渡したくない相手に財産がいかないように、と様々なこと ができるのが家族信託です。
 必ずしも円満な状態の家族ばかりではないかと思いますので、もし自分の遺産をしっかりと守りたいとお考えの方はご一読ください!

岡田綜合法律事務所紹介ページはこちら

聞き手: よろしくお願いいたします。
まず、家族信託とはどういったものなんですか?

山口さん:受託者という、財産の管理を任される方が親族であるケースを家族信託と読んでいます。
受託者が銀行・信託会社ではない民事信託に分類されます。
私は、信託を通常の財産の管理処分から特定の財産を切り出して別扱いにしてしまう制度だと考えています。
倒産隔離機能や相続財産から外せるという、信託財産の独立性が注目されています。

聞き手: 例えばどういったことができるんですか?

山口さん:例えば、お父さんがご自宅を持っているとします。そのまま何もしないでいれば、いずれお父さんが弱って後見を受けて、後見人が管理して、お父さんが亡くなった時に相続、その後相続人が遺産分割をします。遺言を作ってお子さんに相続というのが多いケースでしょうか。
ですが、自分が死んだときに誰に相続するか、そこから先お子さんがどうその財産を使うのかといったことは、自分が弱ってしまったら事実上もうコントロールすることが難しくなってしまいます。
そこをコントロールする方法がないかと言われてきた中、信託が出てきました。
こういう管理をしてほしいとか、亡くなった後にそれを実現できるのが信託です。
財産をどう管理していくのかを決めることができるので、お父さんがたとえ弱った後、亡くなった後でもお父さんの意志が受け継がれます。

聞き手:自分の財産を自分の意志でどうしたいかをあらかじめ決めて、それが亡くなった後も守られるのはいいですね。

山口さん:そうですね。なので、例えばしかるべきときに孫に財産を渡すこともできるんです。
典型的なものとしては、マンションの家賃収入があり、家族にずっと家賃収入が配られるようにしたいという思いから信託を作られる方が多いです。
最初は自分が利益を得て、自分が亡くなって、奥様がなくなって、子どもが亡くなって、孫につないでいきます。財産を通常の資産承継の流れから切り出して、その後の管理と承継は信託を使えば自由に設計ができます。

聞き手:信託は言ってしまえば自分が死んでから100年後まででも財産の行く末を考えることができますが、気を付けなければいけない点はどういったことがありますか?

山口さん:やはり財産を預かる人の選定ですかね。財産を預かる人は自分の利益を追求してはいけないんです。
受託者は受益者の為に預かっているだけですからね。
ですが受託者は暴走することもできるんです。なので、信頼できる人が見つからなければ必ずしもやらなくていいとは思います。
ただ、自分が亡くなった後、パートナーが認知症になってしまう可能性もあるので、その予防としてやられる方もいますね。
成年後見などと違い、家庭裁判所の監督もないですし、商事信託といって、銀行や信託会社が受託者なら金融庁が監督しているので、まずトラブルは起こらないです。
一方、家族信託の場合、公的な監督者はいないんです。
中には、誰に残したいということよりも、あの人には渡したくないからという理由で信託をする方もいらっしゃいます。

聞き手:渡したくない人へ自分の財産が渡らないようにするんですね。

山口さん:はい。前あったケースですと、奥さんには障害をお持ちのお子さんがいて、別れた旦那さんの元には新しい奥さんとのお子さんがいます。
やはり、障害を持っているということでいつまで生きていけるかわからなく、またお子さんは独身で子どももいません。
自分が亡くなり、その後、子どもが亡くなった後、財産が別れた旦那の元へ、あるいは、別れた旦那の再婚先の子どもに渡るのはどうしても避けたいとのことでした。
自分の財産は自分の子どもの為に潤沢にお金を使っていきたいということで、信託を設定して、受託者となる一般社団法人も作り、しっかりとお子さんへの給付を確保したうえで、お子さんが亡くなった後は親族へ財産が受け継がれるようにしました。
このように、ある程度は希望に沿った財産の流れを作ることができます。

聞き手:財産を守るという面でも信託はいい選択なんですね。
また、財産をどう守るかということは、渡したくない人もはっきりさせておく必要があるんですね。

山口さん:そうですね。信託を考えるときはよーく人を選んでください。
あとは、信託の相談先を選ぶ際なんですが、やはりいいことだけを言っているところもあるので、しっかりと知識をつけて質問をすることが大事です。
契約書にある情報1つをとっても、「これはどういう意味か、信託法のどの条文と関係があるのか」といったことを聞くと、ボロが出てくる場合もあるかと思います。
そういった場合は気を付けてもらいたいです。

聞き手:信託を取り扱うところも増えてきたからこそ誇大な宣伝をするところも出てきたんでしょうね。
しっかりとしたところを探していったら、岡田綜合法律事務所に頼むという選択になるかと思います。
本日は貴重なお話を聞かせて頂きましてありがとうございました。

山口さん:こちらこそありがとうございました。

この記事を読んで山口さんの事務所が気になった方はぜひこちらの事務所紹介ページをご覧ください


はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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