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■専門家インタビュー

2021/12/15

終活を始めるべき時期とは? 元気なうちから準備することが大切です!

今回は「終活を始めるべき時期」をテーマに、「シニア終活支援窓口」代表の久保和俊さんにお話を伺いました。


 いざ遺言書を用意しよう、家族信託をしようとしても、被相続人が自ら意志判断できる状態でなければ思うように進まなくなってしまいます。
久保さんが実際に携わった事例を交え、貴重なお話を聞かせていただきましたので、ぜひご覧ください。


シニア終活支援窓口紹介ページはこちら!



聞き手:本日はお忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

久保さん:こちらこそ、よろしくお願いいたします。

聞き手:「シニア終活支援窓口」は相続専門の事務所ということで、ご家族ごとにさまざまなケースがあるのではないかと思います。
実際にどういったご相談を受けられているのか、可能であれば実例も交えてお聞かせいただけますと幸いです。

久保さん:ご相談いただくみなさまに必ずお話ししている事例がありますので、そちらをご紹介したいと思います。
ちょうどコロナ禍に差し掛かる直前の2020年1月頃に、遺言書作成支援のご相談をいただきました。
被相続人であるお父様が70代後半、相続人であるお子様が50歳前後というご家族で、お子様からのご相談です。
ご自宅に伺ったところ事前の家族会議をされていなかったようで、お父様は納得できていないご様子でした。

聞き手:確かに、突然遺言書の話をされたら戸惑うのも無理はありませんね。

久保さん:そうですね。ただお父様も遺言書の必要性は感じていらっしゃったということで、お話をしていく中で徐々に前向きになっていただけました。
とはいえ急な話でしたから、3日後に改めて出直すことになったんです。すると2日後に息子さんから、お父様が緊急入院されたとお電話をいただきました。

聞き手:まさに急転直下の展開ですね。

久保さん:そうなんです。コロナの影響で面会もできず、ご本人と意思疎通が取れなくなってしまいました。
半年ほど経って転院された頃にはもう寝たきりで、正常な判断ができているのかどうかわからない状態になってしまったんです。
結果的に、お父様が遺言書を書くことはできませんでした。

聞き手:ご家族もやりきれないお気持ちだったでしょうね。

久保さん:この話には続きがあって、実は同じタイミングで別の方から家族信託のご相談を受けていたんです。
70代前半のお父様の財産を、後見になる前に息子さんが管理したいというご相談でした。
ただ、こちらのお父様もご相談の翌週に入院されて、意思疎通ができない状態になってしまいました。

聞き手:やはり、予想外のケースというのは起こり得るのですね。

久保さん:どちらの息子さんも「まだこんなに元気だから急がなくても」とおっしゃっていたので、つくづく何があるかわからないなと思います。
2組ともご相談があと1~2週間早ければ、何らかの形を取ることができたかもしれません。
今は大丈夫だと思っていても、明日はどうなるかわかりません。
急かすようなお話にはなりますが、思い立ったらなるべく早く進められた方がよろしいかと思います。

聞き手: 被相続人が認知症や寝たきりになってしまうと、もう打つ手はないのでしょうか。

久保さん:ご本人が正常に判断できているかどうかわからない状態で遺言書を書かせたとなると、本当にご本人の意思で書いたものなのかという紛争の火種になってしまうんです。
また、そういう状況下では後見制度を利用するぐらいしか手段がなくなってしまいます。後見制度というのは、ご本人の意思を反映するものではありません。
ご本人が何もできないから第三者が代わりにやってあげるという制度なので、遺言書を用意して円満な相続を目指すという本来の目的とはまったく違う話になってしまうと思います。

聞き手:代理人を立てるようなものですから、必ずしもご本人の意思が尊重されるわけではないということですね。

久保さん:そうですね。決して後見人につく司法書士さん、弁護士さんが悪いわけではありませんが、彼らは家庭裁判所のチェックを受けている立場上、踏み込めない領域があり、やむを得ず事務的な対応になりがちなんです。
ご家族を思うのであれば、後見制度を利用しなくても済むように準備しておくのが大切だと思います。

聞き手:先ほど家族会議のお話もありましたが、前もってきちんと話し合っておくことも大事なのでしょうね。

久保さん:おっしゃる通りです。もちろん専門家への相談が早いに越したことはないのですが、家族会議より専門家への相談を優先する方が多いようなんです。
専門家が入ればトントン拍子に進むように思えるかもしれませんが、最終的な結論を出されるのはご家族のみなさんです。われわれにはアドバイスはできても、そこまで深く立ち入ることはできません。
家族会議もそうですし、日頃の会話のついでに相続の話も少しずつしておいていただければ、いざ専門家に相談したときにスムーズにお話が進むのではないかと思います。

聞き手:ありがとうございます。行政書士というお仕事にあまりなじみのない方が多いと思うのですが、そういう方に向けてお伝えしたいことはありますか?

久保さん:私のように相続を専門にしている大抵の行政書士は、相談料をいただいていません。
弁護士さんには格や知識は敵いませんが、逆に言うと敷居は低いと思うんです。「無料相談なんて申し訳ない」とおっしゃる方も多いですが、日頃からお気軽にご相談いただければと思います。
その中でお役に立てることがあれば報酬をいただき、Win-Winの関係になれれば幸いです。

聞き手:街を歩いていても「無料相談」というのをよく見かけますが、遠慮なく利用してほしいということですね。

久保さん:おっしゃる通りです。相続関連の本を一生懸命読んだり、Web上でいろいろ調べたりする方もいらっしゃいますが、本を買うぐらいなら無料で相談していただいた方がよろしいかと思います。

聞き手:無料で専門家に相談できるというのは非常に心強いですね。最後になりますが、インタビューを読まれている方に伝えたいことはありますか?

久保さん:先ほどの事例の延長になりますが、昨年末に遺言書を書きたいとご相談をいただき、今まさに相続手続きを進めている方がいらっしゃいます。
実はその方は余命宣告を受けていて、昨年9月までしか生きられないと言われていたそうです。その方は、「自分がいざ死ぬとなったら、とてもじゃないけど遺言を書こうなんて気持ちにはなれなかった」とおっしゃっていました。
ただ、余命宣告を過ぎて11月に差し掛かった頃に「今、自分が生かされているのはなぜだろう」と考えたそうです。
そこで「死後のことをやれる時間を神様にもらったんだ」という答えに辿り着き、私に相談していただいたということでした。
そのように余命宣告を越えて生きていらっしゃる方というのは、非常に稀だと思います。お元気なうちから終活に手をつけていただき、万が一具合が悪くなったときにはそんなことは心配しなくていい状態にしていただければと強く願っています。

聞き手:素晴らしいお考えだと思います。本日は大変勉強になるお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

久保さん:こちらこそ、ありがとうございました。



はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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