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■専門家インタビュー

2022/02/02

相続対策と専門家を選ぶ注意点について

今回はノースブルー総合法律事務所代表、國安耕太さんにお話を聞いてきました。

「はじめての相続」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!


ノースブルー総合法律事務所紹介ページはこちら!


聞き手:相続対策というと、遺言書が一番に思い浮かぶ方も多いと思いますが、実際どうなのでしょうか?

國安さん:遺言書を作りたいという相談で事務所へいらっしゃる方がいますが、その方にとって遺言書を作ることが本当にベストなのかどうかをしっかりと考える必要があります。

聞き手:それはどういうことでしょうか?遺言書があると万能なイメージがありました。

國安さん:遺言書は自分が亡くなった時の財産の分配しか書けないので、次に発生する相続や財産の承継については一切残せません。要望としては書けますが、法的効力がないのです。

聞き手:具体的にはどういうことでしょうか?

國安さん:例えば、夫が再婚の場合で、前妻との間に子どもがいるとします。この夫が亡くなった場合、相続人は後妻と前妻の子の2人になります。このときに、まずは後妻に相続させ、後妻が亡くなったときに前妻の子が相続して欲しい、という要望があったとしても、遺言書ではそれを実現することはできません。上述のとおり、遺言では、次に発生する相続や財産の承継についての指定には法的効力がないからです。
ただ、遺言書では対応できないとしても、民事信託等の他の制度を組み合わせることで、目的を達成することができることもあります。弁護士から自分の状況に合わせた提案をしてもらってください。

聞き手:なるほど。相続や制度で何がベストかは、人や状況によって変わるということですね。

國安さん:はい。相談者も弁護士も、一つの制度にこだわらず、どのような制度がベストなのかをよく検討してみてください。例えば、一部の財産についてのみ民事信託を組み、その他の部分については遺言書で取り決めておく、といったことも可能です。
相続サイトなどでは、まずは「遺言書に取り組みましょう」と書かれていることがあり、それはそれで間違いではないのですが、遺言書だけでは足りない部分が出てくることも確かです。自分にとって何がベストか、きちんと相談できる専門家だと良いですね。

聞き手:士業を選ぶ基準などはあるのでしょうか?

國安さん:弁護士でも色々な方がいて、民事信託をよく知らない人や使ったことのない人もいます。相談者のニーズやどういう思いで相続を考えているのかを深堀りしていかないと本当の解決にはならないので、きちんと話を聞いてくれる士業の方を選ぶ必要があります。そして、できる限り、実際に会ってみることをお勧めします。

聞き手:たしかに、HPだけだと雰囲気が伝わらないですよね。

國安さん:実際に会ってみて初めて合う合わないが分かると思うので、会っていないのに「この人しかいない」と決めつけるのはあまり好ましくないように思います。相談を進めていく中で、合わないなと思った場合は、別の弁護士に相談してみることも検討すべきです。必ずしも最初に相談した弁護士に頼まないといけないわけではありませんので。

聞き手:自分に合う人、そして専門性のある人を探すことが必要ですね。

國安さん:弁護士の専門性は、医師のように明確な専門性があるわけではなく、「自称」で名乗ることもできるので注意が必要です。相続専門や交通事故専門と名乗っている人であっても、本当にそうなのかは分からないということです。最終的には相談者が直接話をして、自分の話をちゃんと聞いてくれる相手かどうか、質問に的確な答えが返ってくるかどうかをしっかりと見極めてください。

聞き手:弁護士と相談者の相性は本当に大切なのですね。

國安さん:そうですね。テレビなどで見る法律相談番組でも、1つの問題に対して弁護士の意見がバラバラですよね? あの番組を見ていると、法律は必ずしも答えが1つではないことが分かりますよね。弁護士の見解について自分がどこに賛同できるのかを判断してください。
また、実際に相続対策で使う申請の手続きをするときも、リスクもきちんと説明し、それでもサポートしてくれる人を探すべきですね。

聞き手:よく分かりました。

國安さん:何事も判断するのは相談者自身なので、専門家に判断を丸投げしてはいけません。相続対策は、基本的には自分がどうしたいかです。会社を経営している人であれば、どうやって会社を残していきたいかを考えてください。人に任せてしまうと上手くいかないことが多いものです。

聞き手:今後相続対策を考えている方にアドバイスをお願いします。

國安さん:相続を通して、本当に自分が何をしたいかなどの要望を率直に話してほしいです。自分の意見を言いづらく隠していると、その隠していることのせいで全てが根底から覆ることがあります。裁判や調停でいきなり不利になることもあります。弁護士には不利なこと含め、隠し事をしないで全て打ち明けてください。

聞き手:なるほど、わかりました。ありがとうございます。



はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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