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■お役立ちコラム特集

2021/06/22

車の相続に必要な税金と名義変更の流れ

不動産などの財産を相続する際は税金がかかってくるけれど、自動車を相続する時に税金はかかってくるのか、と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
今回は、自動車を相続する際にかかってくる税金と実際に自動車を相続する際に必要な手続き、特に複雑な名義変更を詳しく解説します。

自動車も相続税が必要になる


自動車を相続した時も、不動産や預貯金などと同じように相続税対象です。
ここではまず、相続税について解説します。

相続税ってなに?


相続税とは、亡くなった人である被相続人の財産を受け継いだ時に、受け継いだ人である相続人にかかる税金のことです。
相続税がかかってくるパターンは下記の3つに分けられます。

まず1つ目が「相続」であり、遺言などがなく、生前の段階で財産の相続人を決めていないもの。
2つ目が「遺贈」と呼ばれるもので、生前に遺言書があり、誰に財産を相続させるのかを決めているものです。
3つ目が「死因贈与」と呼ばれる、生前に契約書で誰に財産を相続させるのかを決めているものとなります。

相続順位のルールについて


財産を相続される場合、受け取れる権利がある範囲(法定相続人)と優先順位があります。
また、それぞれのケースによって、受け取ることができる相続(法定相続分)が変わります。

優先順位に対する法定相続人と法定相続分は下記です。

・ 第一順位:配偶者、子などの直系卑属(法定相続は配偶者、子ともに1/2)
・ 第二順位:配偶者、親などの直系尊属(法定相続は配偶者:2/3 直系尊属:1/3)
・ 第三順位:兄弟姉妹(法定相続は配偶者:3/4 兄弟姉妹:1/4)

自動車を相続する際の考え方


相続税が必要かどうかは、自動車以外のものを含めた遺産総額が基礎控除額以下であれば、相続税は必要ありません。
この基礎控除額は下記の計算式で求めることができます。

3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

基礎控除額は、法定相続人が1人の場合は3,600万円、2人の場合は4,200万円と多くなるにつれて金額は多くなります。
遺産総額の中に自動車の価値を入れる必要があるため、自動車の価値の算出方法を理解する必要があります。自動車の価値は、死亡日の時点の取引価格で評価されます。
評価は中古車販売業者の査定、またはインターネットで車種と状態が近い自動車の買取価格から評価します。

自動車を相続するための流れって?


故人が持参していた車を相続することになったら基本的には、まず現在の自動車の名義人を確認することから始まり、次に誰が自動車を相続するのかを決めます。
そして最後に自動車の名義人を相続する人に変更する。といった順番で相続が行われるのです。

1.現在の自動車の名義人を確認する


自動車を相続するにあたってはまず、現在の車の所有者である名義人を確認。
名義人は自動車検査証の所有者欄に記載されているため確認します。
ローンを組んで自動車を購入している場合や、自動車をリースで利用していた場合は、所有者が名義人ではなくローンを組んでいる金融機関やリース会社が名義人です。

もし、ローンがまだ残っている場合は、ローンを引き継ぐ必要があり、基本的には返済を引き継いで返済するか、相続した遺産でローンの一括変更を行う、または自動車自体をローン会社に引き渡す、もしくは相続を放棄すると言った形で返済します。

上記の返済方法で注意点は、自動車をローン会社に引き渡す場合、価値が自動車を処分するために必要な価格にすら満たない場合は不足分の一括で返済する必要があります。
自動車は財産としてプラスの価値を持っていますが、ローンが残 っている場合はマイナスの価値になる可能性があるため注意が必要です。

2.誰が自動車を相続するのかを決める


自動車の名義人が故人であることが分かったら、次に誰に相続するのかを決めます。
相続人が1人だけの場合、遺言書で自動車の相続について記載されている場合はその人が相続人です。
しかし、相続人が複数になる場合は、相続人全員で話し合って財産の分け方を決める遺産分割協議を行います。

3.自動車の名義人を相続する人に変更する


遺産分割協議で誰が自動車を相続するのか決まったら、名義変更の手続きを行います。
名義変更は複雑なので後述します。

自動車の名義変更について詳しく知ろう


自動車の相続は、いつまでに名義変更する必要があるなどの決まりはありません。
しかし、道路運送車両法では、自動車の所有者が変更した場合、15日以内に手続きを行う必要があるとなっており、手続きを行っていなければ、売却することができないなど不都合なため早めに名義変更しておくことが重要です。

自動車の名義変更は基本的には、名義変更するために必要な書類を準備することから始まり、運輸支局で名義変更の手続きを行います。
その後、車検証を受け取り、自動車税・自動車取得税の申告を行う形となります。

1.名義変更するために必要な書類を準備する


名義変更するために必要な書類は非常に多くの種類があります。
そのため、事前に必要な種類を入手し、記載してから手続きを行います。
自動車の名義変更をするためには下記の書類が必要です。

・ 車庫証明書
・ 故人の死亡が分かる戸籍謄本または除籍謄本など
・ 自動車検査証
・ 遺産分割協議書
・ 相続人全員が記載している戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書
・ 自動車の新たな所有者となる相続人の実印
・ 自動車の新たな所有者となる相続人の印鑑証明書

上記の中で、車庫証明書は、自動車の置き場所が同じであれば準備する必要はありません。
また、管轄する運輸支局が変更する場合は、名義変更手続きするためにナンバープレートも必要になります。
もし、自動車の査定額が100万円以下の場合は、遺産分割協議書ではなく、遺産分割協議成立申立書でも手続きできます。

2.運輸支局で名義変更の手続きを行う


必要書類が準備できたら、その書類を持って運輸支局に行き下記の3つを作成します。

・ 自動車税、自動車取得税申告書
・ 手数料納付書
・ 申請書

上記の3つの書類が作成できたら、登録手数料の支払いを行うために、名義変更に必要な印紙代を購入し、手数料納付書に貼ります。
これらの全ての種類が準備できたら窓口で提出します。

3.車検証を受け取る


提出した書類が全て受理されると、新しい車検証を受け取ることができるので、記載された内容に間違いがないか確認します。

4.自動車税・自動車取得税の申告を行う


最後に、運輸支局の内にある税申告窓口に、自動車税・自動車取得税申告書と新しく受け取った車検証を提出します。
もし、自動車取得税がかかる場合は、その場所でどれくらいの税金が必要なのかが計算されるため、その金額を納付します。
ナンバープレートを変更しない場合は、税金を納付して手続き終了です。
ナンバープレートの変更を行う場合は、ナンバープレートを返納後、新しいナンバープレートを購入して、車に装着する必要があります。

車の相続に必要な税金と流れを把握してスムースに


今回は自動車を相続する際に、かかってくる税金と名義変更を行う流れについて解説しました。
自動車は他の財産と同じように相続税がかかってくる場合があります。
相続税は自動車以外の財産を合わせて価値が基礎控除額以上になった場合にかかってくるので注意が必要です。

また、自動車の名義変更を行う際は、さまざまな書類を用意する必要があるとともに、自動車の相続手続きが終わった際に自動車税・自動車取得税の税金が必要になることにも注意しておきましょう。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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