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■お役立ちコラム特集

2021/07/08

相続税の速算表の使い方|計算シミュレーションが簡単にできる

自分が支払うことになる相続税がどのくらいなのか、具体的な金額を知りたいという方に紹介したいのが速算表です。
相続税は累進課税という特徴を有しているため、表を使うことによって簡単に大まかな数字を求めることができます。

正確な数字を知りたいという人は、自分に関係してくる税率だけではなく、計算のもとになる財産の額についても知っておかなければいけません。
今回の記事では、相続税の速算表の見方とそれを使うために必要な前提知識について詳しく解説します。

そもそも相続税の速算表とは?


誰かが亡くなりその財産を受け継ぐことになる際には、その財産に対して必ず相続税というものがかかります。
実際にどれくらいの金額がかかるのかというのは、残される家族の人数や財産の金額に応じて変わってくるので、個人個人がしっかりと計算しなければいけません。

そこで、国税庁が発表している相続税の速算表と、それを具体的にどのように使って計算すれば良いのか、以下で詳しく解説します。

国税庁による相続税の速算表と相続の制度概要


現在国税庁の公式ホームページにおいて発表されている、相続税の速算表は以下の通りです。




具体的な金額がどのくらいであるのかということについては、速算表から大まかな残すことになる財産の金額を当てはめて、以下のように求めることになります。

実際にかかる相続税の金額=相続人が取得した遺産の金額(基礎控除計算後)×税率-基礎控除額

もっとも、これだけでは、相続の対象になる財産や基礎控除というのがどういったものか分かりません。
これらに関しては、以下で詳しく解説します。

相続の対象になる財産とは?


まず前提条件として相続税というのは、相続の対象になる財産というのが存在しなければかかりません。
では相続の対象になる財産というのは一体どういったものなのでしょうか。

例えば相続の対象になる財産というのは、一般的な人々がイメージするもので例を挙げてみると、株式・債券・不動産・預貯金といったものです。
他にも近年ではインターネット上に存在している証券口座にある外国為替や、仮想通貨といった本人にしか存在を把握しきれていない財産も存在するので注意が必要になります。

こういった、いかにも相続の対象になりそうな財産というのを「プラスの財産」と言いますが、常にプラスのものだけが受け継がれるというわけではありません。
被相続人が残した莫大な借金や、公共料金の未払費用、未払税金、慰謝料・損害賠償金といった「マイナスの財産」というのも受け継ぐことになります。

プラスになるものだけ受け継いで、マイナスになるものだけは引き取らないということはできないので注意してください。
受け継いだ財産のプラスとマイナスを合わせて、総合的な金額がどのくらいなのかによって相続税の具体的な金額を求めることになります。

このように相続の対象になる財産というのは、プラスからマイナスになるものでまで千差万別であり、一概に自分の家が無関係とは言い切れません。

基礎控除について


上記で紹介した計算式に基づいて考えると、取得することになる遺産の金額を明確に導き出したら、次に基礎控除額というのをマイナスすることになります。
基礎控除とは、人間が最低限度の生活を行うにあたって必要な金額に対しては税金をかけないという考えから生まれたものです。

つまり相続においても、相続で受け継ぐことになる財産から最低限度の生活を行うにあたって必要な金額を差し引くことにより、 税金の額というのを求めることになります。

基礎控除額については、上記の速算表にも明記してありますが、受け継ぐことになる金額に応じて変わってくるので注意が必要です。
自分がどのくらいの財産を受け継ぐことになるのか、もしくはどれくらいの金額を残そうとしているのかを大まかに導き出して、そこに該当する基礎控除額を引いてみましょう。
基礎控除額の計算式については以下の通りです。

3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)

速算表を使って実際に相続税を計算してみよう


それでは実際に速算表を使用して、相続税がどのくらいなのかというのを計算してみましょう。
実際に正確な数字を導き出すにあたっては、まず、遺産の総額を計算し、その後、遺産から基礎控除額を引き、実際の総額と各自の税金の額がどのくらいなのか計算するといったステップで計算を行っていくことになります。

遺産の総額を計算する


まずは遺産の総額を計算しましょう。上記でも少し触れましたが、遺産というのはプラスになるものだけではなく、借金には未払の税金・慰謝料・損害賠償金などマイナスのものがあることを忘れてはいけません。

ここでは仮に、プラスとマイナスを合わせて合計2億円あったとしましょう。
これが元になる遺産の総額なので、まずはこれを忘れないでください。

遺産から基礎控除額を引く


残すことになる財産の総額がはっきりと分かったら、次に遺産から基礎控除額というのを聞かなければいけません。
基礎控除額の計算式については、以下の通りです。

3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)

ここでは法定相続人が4人いるとしましょう。法定相続人が4人いると仮定し、上記の計算式に則って計算すると、 控除額の総額は5400万円になります。
基礎控除額の総額である5400万円を、遺産の総額2億円から引いてください。

遺産総額2億円-基礎控除額 5400万円=1億4600万円

注意して欲しいのが上記の「遺産総額-基礎控除額」で導き出した金額に対して、そのまま決められている税率をかけてはいけないということです。

次に法定相続人で分割した場合の金額について、それぞれどのくらいなのかというのを導き出し、最後にその金額に対して税率をかけて計算するという過程が必要になります。

各自の税金の額がどのくらいなのか計算する


例えば、上記の計算式で具体例とした法定相続人が4人である場合、配偶者とその子供3人といった形になると思います。
配偶者と子供では、どのくらい財産を受け継ぐことができるのかと言う「法定相続分」というものが法律によって決められており、それぞれ配偶者が1/2、子供も1/2となっています。

つまり1億4600万円を法定相続分に則って計算すると、配偶者が7,300万円、子供がそれぞれ2,430万円(端数省略)となるのです。
ここまできたらようやく速算表を使って計算することができます。

配偶者の場合
遺産総額7,300万円×税率30%-基礎控除700万円=1,490万円(相続税の金額)

子供の場合
遺産総額2,430万円×税率15%-基礎控除50万円=314万5000円(相続税の金額)

このように単純に速算表を使用して計算するのではなく、複雑な過程を経て求めることができるので、間違いないよう注意してください。

不安な時は事前に計算をしておこう


今回は相続税の速算表の使い方を実際に紹介してきました。
単純に速算表を使用して計算するのではなく、正確に金額を求めるにはいくつかのステップを踏む必要があります。
もっともこの計算を行うだけで、大まかではありますがどのくらい相続税の金額がかかるのかということを求めることができ、事前に準備をすることが可能です。

将来相続が発生することで、相続税の金額がどのくらいなのか知りたいかたや、漠然とした制度しか分からず不安になっている方は一度計算してみてはいかがでしょうか。
どのくらいの金額が必要になるのか明確にすることができ、事前にある程度心構えをすることができます。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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