■お役立ちコラム特集
2021/07/08
ゴルフ会員権の相続税評価の方法と相続の流れ
一昔前まではゴルフ会員権というのは、非常に財産的価値の高いものであり、多くの人が将来的な利益を得るために所有しているなど、株式的な役割を有している時もありました。
購入した時代に比べるとゴルフ会員権の平均価格も落ちてはいますが、それでもまだ100万円近くするところもあるなど、資産として非常に価値の高いものになります。
そのため相続税の計算・申告を行う際には、ゴルフ会員権がどのくらいの価格なのか評価額をしっかりと調べなければいけません 。
今回は、ゴルフ会員権の相続税評価と相続の流れについて詳しく解説します。
そもそも何故ゴルフ会員権が相続税の申告対象になるのか
ゴルフに関して詳しくない人にとっては、そもそもゴルフ会員権が相続税の申告対象になるかわからないかもしれません。
ゴルフ会員権というのは、ゴルフ場によってその価格も様々ですが、高いところは100万円以上の価格が付くなど、現在でもいまだに資産的価値を有しているものの一つです。
一度権利を購入すると、割安の料金でホールを回ることができるだけではなく、ビジターの人で混み合う土日であっても優先的に予約ができるなど、様々なメリットがあります。
そのため高い資産価値を有しており、相続税の申告対象になってしまうのですが、一概に全ての会員権がそれに当てはまるわけではありません。
会員権によっては、入会する際に預ける預託金を返してもらえなかったり、そもそも会員権が譲渡できない契約になっていたりと、ゴルフ場によって様々です。
例えば、プロの大会などで使用されている人気のあるゴルフ場の場合は、その資産的価値も高く非常に高額で取引されている場合もあります。
そのため相続税におけるゴルフ会員権の取り扱いにおいては、以下のようなものの場合、財産的価値がなく相続税の申告対象にならないと覚えておきましょう。
● 株式の所有を必要としない
● 譲渡することができない
● 入会の際に預けた預託金を返してもらえない
● ゴルフ場施設を利用できるだけのもの
逆に言えば、上記に当てはまらないゴルフ会員権の場合は相続税の申告対象になる可能性があります。
ゴルフ会員権の相続税評価の方法について
相続税の申告をする時に、いったいどのように評価をすれば良いのでしょうか。
評価をするにあたっては、取引相場がある場合と、取引相場のない場合の2通りのケースが存在します。それぞれ順番に詳しく解説します。
取引相場がある場合
取引相場がある場合に関しては、以下のような計算式で評価を行うことになります。
被相続人が亡くなった時における一般的な取引相場×70%+相場以外のお金(入会の際に預けた預託金など)=評価額
まず基準となる日が「亡くなった時点」ということは注意しなければいけません。
これは国税庁によって定められていることなので、自分の都合が良い日にちに操作してしまうと法律に触れてしまう可能性があります。
必ず基準となる日を確かめて、その取引価格をもとに計算しましょう。
取引価額に関しては、売りと買いの中間価格になります。
基準日となる日に売りと買い両方がなかった場合には、その前後の日を調べて一番近い日程の価格を参考に評価額を求めることになるので注意してください。
また、多くのゴルフ会員権に当てはまることですが、 入会する際に預託金として別にお金を払っている場合があります。
こういった預託金付のゴルフ会員権の場合、ゴルフ場をメンバーとして利用することができる会員権だけではなく預託金返還請求権というものが付されており、 一定の財産的価値があるため、株式のように市場で売買取引が行われているのも特徴です。
そのため預託金があるかないかもしっかりと調べて、ある場合にはその価格も加え相続税の申告を行いましょう。
取引相場がない場合
そもそも取引をされることが前提で会員権を発行しているゴルフ場もありますが、それとは正反対に取引や相続が許されていないケースも存在するので注意が必要です。
相続したゴルフ会員権を調べても相場が出てこない場合、そもそも取引することが規約なので禁じられている場合があります。
そういったケースの場合は、相続税の申告をしなくて大丈夫なことも多いです。
もっとも1つ注意しなければいけないのが、ゴルフ会員権と株主会員権が同一になっている場合になります。
国税庁によると、こういった種類のものについては、 株式の価額によって評価をしなければならないと決められているので注意してください。
しかしゴルフ場を運営している企業によっては、株式上昇などをしておらず、市場での価値が全く分からないという場合が多々あります。
このような会員の場合、上場企業の中から評価対象とすべき企業を選んだ上で、様々な角度から財務分析を行い評価額や一株ごとの株式総額を割り出すなど、専門的なやり方をしないと評価をすることができません。
こういった場合の会員権を相続してしまった場合は、できるだけ税理士など専門家に依頼して評価してもらう必要があるでしょう。
申告しなければいけないにもかかわらず、面倒くさそうだからと放置してしまうと、最悪脱税として見られてしまう可能性もあります。
意図せず犯罪になってしまわないように、しっかりと申告を行いましょう。
ゴルフ会員権を相続する際に注意したいポイント
ゴルフ会員権を相続する際に注意したいポイントとしては、以下の通りです。
● 相続が許されていない
● 共有することができない
● 会費などが未払いになっている
相続が許されていない
運営している企業によっては、権利の相続や譲渡を一切許していない場合があるので注意しなければいけません。
こういったところの会員権の場合、本人の死亡によって資格が失われるという契約になっている可能性もあります。
まずどのような規約になっているのか、相続や譲渡に関する特別な契約がされていないのかなどしっかり確認しておきましょう。
本人死亡に伴い資格が失われる場合のものについては、その時点で価値もなくなります。そのため相続として申告する必要もありません。
共有することができない
いくつかの財産と同じように、ゴルフ会員権に関しても共有持分を決めて相続しようとする方もいますが、ほとんどの場合で共有することができない契約になっているので注意しなければいけません。
確かにゴルフ会員権を相続して、家族間で共有の扱いにすれば、それぞれがいつでも疲れると言うメリットがあります。
しかしそういったことを禁止しているゴルフ場がほとんどなので、名義変更を行う際には誰か一人の単独名義にしなければいけません。
会費などが未払いになっている
本人死亡に伴って、使用していた口座などが止まってしまい、会費などが未払いのままになっている可能性も十分あり得ます。
こういった場合には、相続をしたほうが代わりに支払わなければいけないので、場合によっては大きな出費を伴うことも少なくありません。
売却してプラスになることばかりを想像しがちですが、会費が滞納されているというケースも多いため、事前にしっかりと調べておきましょう。
ゴルフ会員権の相続の流れ
相続をする際には、以下のような流れで行うことになります。
1. 金銭的価値があるか確認する
2. 相続することができるか確認する
3. 名義変更など相続の手続きを行う
それぞれ順番に詳しく解説していきます。
金銭的価値があるか確認する
まずはそのゴルフ会員権が金銭的価値を有しているか確認しましょう。
相続というシーンにおいては、それが申告対象になるかならないかでは大きな違いが出てきます。
単純に忘れてしまった場合はともかくとして、故意に隠してしまうと法律に触れる可能性もあるので注意してください。
金銭的価値があるかどうかは、インターネットで簡単に調べることができます。
もしインターネットに情報が出回っていない場合は、直接問い合わせてみるというのもおすすめです。
相続することができるか確認する
相続することができるか確認するというのも非常に重要です。
場合によっては相続することが許されておらず、被相続人が亡くなった時点で、その財産的価値を失わせている場合もあります。
そういった場合には相続税の申告にも必要ないため、問題ありません。規約や契約内容などがいまいちわからない場合は、直接ゴルフ場に問い合わせてみてください。
名義変更など相続の手続きを行う
会員権を相続できるものであった場合、必ず名義変更を行い相続の手続きをしておかなければいけません。
名義変更が行われないまま放置していると、 被相続人のものとして取り扱われてしまう可能性があるので注意しましょう。
ゴルフ会員券も立派な財産
今回はゴルフ会員権の相続低評価の方法と流れについて詳しく解説しました。
相続という分野において、あまりゴルフ会員権は話題に上がりませんが、立派な財産として相続できるものです。
将来的に財産として相続させたいと考えている場合は、事前にどういった扱いになるのか、今回紹介した流れをあらかじめ知っておきましょう。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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