■お役立ちコラム特集
2021/07/08
相続人の範囲はどこまで?配偶者や子供がいないと誰が相続する?
こういったケースの場合、相続の範囲はどこからどこまでになるのか理解しておくことが必要になってきます。
しかし、相続人の範囲について知らない方も少なくありません。
また、相続税申告の期限は決まっています。相続税申告期限を過ぎてしまうとペナルティが課されるため気を付けましょう。
今回は、相続人の範囲がどこからどこまでになるのか詳しくご紹介します。
相続税申告手続きを行う際に慌てないためにも、ぜひ早いうちに相続人の範囲について理解を深めておきましょう。
法定相続人とは
民法の第886条から第895条には、被相続人として、その遺産を誰が相続できるのか規定されています。
また、民法では相続人を法定相続人と呼び、法定相続人は相続を行える権利が与えられることとなっています。
ただし、被相続人が遺言書を残していた場合には、法定相続人以外の方にも遺産の贈与が可能です。
一方、被相続人が遺言書を残していない場合には、遺産分割協議を開いて遺産の分割方法について法定相続人皆で1つの意見としてまとめる必要があります。
法定相続人の相続分と相続人の順位
法定相続人の中には配偶者相続人と血族相続人の2種類があります。
また、順位や相続人の組み合わせ方次第では相続分が変わります。
この章では相続人の順位と、法定相続人の相続分について詳しく解説します。
法定相続分と順位による相続分
民法第900条では、血族関係にある相続人と、配偶者の相続人との法定相続分に関して取り決められています。
法定相続分とは遺産の取り分けのことです。
亡くなられた方が遺言書を残していない場合や、遺言書はあるが相続分の指定がされていない、もしくは不十分である場合などに、法定相続分は遺産分割の基準となる相続割合ともいえます。
配偶者は法定相続人に必ずなる
民法第890条によると、配偶者は必ず法定相続人となります。
そのため、相続する際に絶対的な権利を配偶者は持っています。
ただし、正式な婚姻関係である必要があるため、事実婚のパートナー・カップルや内縁の夫妻などは法定相続人とはなりません。
したがって、配偶者は、被相続人が死亡した際において、法律的には配偶者がたった1名のことをいいます。
たとえば、被相続人が死亡した場合に、離婚や別居などの揉め事が発生していたとしても、婚姻関係が成立・継続していれば、その配偶者は法定相続人と認められます。
ちなみに、その配偶者は必ず法定相続人とはなりますが、血族の中の相続人の中で、一番順位が高い相続人が相続するのが一般的です。
血族相続人の中で第一順位:子・孫
民法第887条の第1項では、被相続人の子供は法的に相続人の第一位となります。
第一位の血縁関係にある相続人が1名でもいるケースの場合は、第二位の相続人には相続の権利は与えられません。
子が複数人いる場合には、第一順位の権利を均等にして配分することとなります。
例えば、相続が生じたときに、子供が5名いるケースでは、第一位の血族としての相続人が5名いるので、それぞれ5分の1ずつ相続する権利を手に入れることとなります。
また、その子供が被相続人よりも先に亡くなってしまったケースなどの理由で相続権を失っていることもあります。
その際に、子にさらに子(被相続人の孫を指す)がいた場合には、孫が代わりに相続できるという代襲相続が生じます。
代襲相続の場合は、代襲相続人も第一順位の相続人として計算されるため、第一順位未満の相続人には相続する権利は与えられません。
血族相続人の中で第二順位:父母・祖父母
民法第889条の第1項1号では、父母、祖父母といった被相続人は、第2位の血族相続人となります。
そのため、第一順位の相続人が存在しない場合に相続する権利を手に入れることが可能です。
例えば、被相続人の父母・祖父母ともに生存している場合には、被相続人から見て親等が一番近い父母だけが相続人となり、祖父母には権利がないため注意する必要があります。
血族相続人の中で第三順位:兄弟姉妹
民法第889条の第1項2号では、相続人として認められた兄弟や姉妹は、直系卑属・直系尊属が存在しない場合に相続する権利を手に入れることができます。
ただし、相続人として認められた配偶者の兄弟姉妹や、義理の兄弟姉妹には、相続の権利は与えられません。
また、兄弟姉妹は直近のその世代に限定して、「代襲相続」が認められています。
そのため、被相続人の甥・姪も相続人になる可能性があります。
くある相続人範囲についてのFAQ
ここまで、相続人としてのその範囲についてご紹介しました。
ただし、隠し子や養子、まだ生まれていない胎児は相続に含まれるのか分からないという方も多いでしょう。
ここでは、よくある相続人の範囲に関するFAQについて詳しくご紹介します。
養子は相続人になることはできるのか?
「養子は相続人になることができるのか?」の質問に対する回答は、「できる」です。
血縁有無や年齢による差別はなく、皆が同様の割合で相続する権利を手に入れることができます。
そこで、養子も実子と同様に扱われます。
養子縁組とは、血の繋がりとは関係なく、役場に申請することで法的に親子関係とすることができることを指します。
例えば、幼稚園に通っているぐらいの子の親が病気で亡くなったために、育ての親と養子縁組する場合や、資産家の方々が相続税を節税するために養子縁組をする場合もあります。
なお、相続人の数が増えると、相続税は少なくなります。
養子縁組は、普通養子と特別養子の2種類です。
普通養子とは、実親との親子関係を継続した状態で、養親の子になることを指します。よって、実親と養親の両方の子として相続人となります。
一方、特別養子とは、実親との関係を失くして、養親の子となることを指します。
どちらのケースでも、養子縁組をした養親の子として相続人となります。
しかし、実親の子の立場がなくなるかどうかに違いがあります。
隠し子は相続人になることはできるのか?
「隠し子は相続人になることはできるのか?」の質問に対する回答は、「隠し子の認知があるかどうか次第。」となります。
隠し子とは、婚姻関係にない男女の間で誕生した子のことです。
隠し子が相続人になるかどうかは、認知次第によって異なります。認知とは、役場に届出をして自分の子として認めてもらうことです。
したがって、認知している場合には相続人になり、認知していない場合には相続人にはなりません。
認知の有無については戸籍を調査すればすぐにわかります。認知されていない場合、戸籍上に記載がないためです。
認知は被相続人が生存している内に役場に届出しなければなりません。
例えば、自身が認知されていない子と知った場合、認知の依頼を被相続人にすることが大切です。
胎児は相続人になることはできるのか?
「胎児は相続人になることはできるのか?」の質問に対する回答は、「できる」です。
お腹の中に赤ん坊がいる際に、夫が事故・病気などで亡くなった場合、胎児であったとしても、相続人として財産の相続が可能です。
また、血族の相続人としては、1位として胎児も扱われます。
「産まれていなくても、既に産まれたとみなす」という民法によって規定されていることが理由として挙げられます。
ただし、死産のようなケースでは、もとから相続人ではなかったと考慮されることになるので注意が必要です。
相続人の範囲について正しく理解を深めよう!
法定相続人の範囲については、民法によってきちんと規定されています。
まず、配偶者は必ず相続人となることが可能です。血縁関係の相続順は、「子・孫」→「父母・祖父母」→「兄弟・姉妹」となっています。
例えば、被相続人の子が相続することができる場合には、それよりも相続順位が低い方々は相続することはできません。
また、養子・隠し子・胎児なども相続人になるか疑問を抱く方も少なくありません。
当記事で解説しましたが、この他に相続人の範囲について不安や疑問がある方は税理士に相談してみることをおすすめします。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
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子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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