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2021/07/08
相続税の2割加算とは?なぜなのか知らないと損をするかも
相続税の2割加算の制度は、少し入り組んでいるので節税をするつもりが思わぬ税負担となってしまわないよう、きちんと把握しておくことが大切です。
この記事では、相続制の2割加算の対象となる人や、節税できる方法はあるのかなどについてご紹介します。
相続税には2割加算の制度がある
相続税の2割加算とは、相続税法第18条で規定されている相続人の中における特定の人に対して、相続税が2割加算される制度です。
では、どんな人が対象とされているのか具体的に見ていきましょう。
相続税の2割加算の対象となる人
相続税の2割加算の対象となる人は、被相続人の配偶者と一親等の血族以外の人です。
具体的には、以下の人が該当します。
・ 祖父母
・ 兄弟姉妹
・ 甥・姪
・ 孫
・ 内縁の夫・妻
・ 遺言により遺産を受け取ることになった第三者
相続税の2割加算の対象にならない人
相続税の2割加算の対象にならないのは、以下に該当する人です。
・ 配偶者
・ 子ども(養子縁組も含む)
・ 父母
実子でなく連れ子であっても、養子縁組をしていれば一親等の血族になります。
また、配偶者の父母も一親等の血族になるので、2割加算はされません。
相続税の2割加算制度の目的とは?
相続税の2割加算制度は、課税の不公平さをなくし相続税の負担の均衡を図る目的で設けられています。
例えば、一般的に被相続人の遺産は、子から孫へ相続するのが順当で、2回にわたり相続税が課税されます。
しかし、もし子を飛ばして孫に相続した場合は、相続税の納税を1回免れることになるので、税額が加算されるのです。
また、被相続人の遺産の相続は、遺された家族の生活を保護するためのものという面もあるので、被相続人と血縁関係が近い人と遠い人では差をつけるべきと考えられています。
そのため、二親等や三親等の血族などには、相続税が2割加算されることになっています。
孫の場合の2割加算について
相続税の2割加算されるかどうか注意しておきたいのが、孫への相続です。
孫への相続は2割加算の対象になる場合と対象にならない場合の両方があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
養子になった孫は2割加算の対象になる
本来、養子は「子」として扱われ一親等の血族になるので、相続税の2割加算の対象ではありません。
ただし、養子になった孫への相続は、例外的に2割加算の対象になります。
甥姪などの親族や知人などよりも、直系血族である孫は養子にしやすい面があるため、養子の子と同様に2割加算の対象外としてしまうと、2割加算の回避の目的で孫を養子にする人も出てくる可能性が考えられます。
それを防ぐために養子になった孫への相続においては、2割加算の対象と定めているのです。
子を養子にしたケースと混同しないように気をつけましょう。
代襲相続の孫は2割加算の対象にならない
被相続人の子がすでに死亡している場合は、その子(被相続人の孫)に相続権が移り、孫が被相続人の財産を相続することになります。
これを代襲相続といい、この場合における孫に対しては2割加算されません。
代襲相続をする孫は、「被相続人の子の立場にいる一親等の血族」と考えられているので、2割加算の対象外なのです。
相続税の2割加算の計算方法
相続税の2割加算分の計算は、以下のようにいたって簡単です。
・ 相続税の2割加算額=税額控除をされる前の相続税額×20%
なお、相続税額は、遺産の総額から基礎控除額「3,600万円+(600万円×法定相続人の数)」を差し引いて課税対象額を算出し、課税対象額に相続税率を掛け、課税対象額に応じた控除額を差し引いた金額です。
相続税の2割加算の節税は世代飛ばしが有効?
世代飛ばしとは、被相続人から子→孫の順番で相続するのではなく、1代飛ばして親から孫へ相続することをいいます。
世代飛ばしをすると相続税額が2割加算されますが、順当に相続するよりも節税になる場合もあります。
世代飛ばしが節税になることもあり
財産を順当に子から孫へと相続した場合、2回相続税がかかるのに対し、世代飛ばしの場合、相続税がかかるのは1回です。
この違いが2割加算でも節税になる理由です。簡単な具体例を挙げて節税効果の説明をしていきます。
順当に子から孫へ相続する場合
例えば、遺産総額が1億円で、子が1人・孫が1人のケースだと設定し、順当に親から子に相続した場合の相続税額を算出します。
まず、相続税の課税対象額は、遺産総額1億円−基礎控除額3,600万円(※3,600万円+600万円×1名)=6,400万円になります。
課税対象額6,400万円の場合は、相続税率30%・控除額700万円なので、子の相続税額は1,220万円(※6,400万円×30%−700万円)で、納付後に手元に残る金額は8,780万円です。
仮に子自身の財産はなく、相続した財産8,780万円を次の代である孫へ相続した場合、課税対象額5,180万円(※8,780万円−3,600万円)、相続税率30%・控除額700万なので、相続税額は854万円(※5,180万円×30%−700万円)となります。
よって、世代飛ばしをせずに孫まで相続した場合、合計2,074万円(※1,220万円+854万円)の相続税を納付しなければなりません。
世代飛ばしをする場合
世代飛ばしをして孫に相続する場合は2割加算となるので、相続税額は1,464万円(※1,220万円×1.2)となります。
よって、2割加算になっても世代飛ばしをすると610万円が節税できるということです。
ただし、法定相続人の人数や子が持っている財産額などによって世代飛ばしをした方がよいかは大きく変わってくるので、税理士にシミュレーションしてもらってから決めることをおすすめします。
2割加算でも世代飛ばしが節税となるケースとは
2割加算となっても世代飛ばしの相続により節税となるケースには、以下などが挙げられます。
遺産総額が大きい
遺産総額が大きい場合、世代飛ばしによる相続で節税になることが考えられます。
遺産総額がそれほど多くない場合は、順当に子→孫と相続しても基礎控除内に収まり、相続税の納付の必要がない場合も少なくありません。
一方、遺産総額が大きい場合は、当然ながら基礎控除内に収まることは難しく、基礎控除額を差し引いた金額は、相続税の課税対象になります。
課税対象の遺産額に比例して相続税率は高くなることから、遺産総額が大きい場合、親から子→孫に相続し、相続税を2回納付するとなると、相続税の負担がかなり大きくなります。
よって、世代飛ばしの相続の方が、高い節税効果が見込めるということです。
相続人が兄弟姉妹
相続人が高齢の兄弟姉妹の場合、近い将来に甥姪に相続することが考えられます。
兄弟姉妹、甥姪のどちらの相続においても2割加算の対象なので、世代飛ばしで甥姪に相続した方が納税の負担が軽減されます。
2割加算がない生前贈与で節税する選択肢もあり
孫や内縁の妻・夫などに財産を渡したい場合は、生前贈与をして節税するのも1つの選択肢です。
生前贈与の場合は、配偶者や一親等の血族以外の人であっても2割加算がされないので、納税の負担を軽減できます。
加えて、祖父母や父母などの直系尊属から20歳以上の子や孫などへ贈与する場合は、特例税率が適用されることになっているのもポイントです。
生前贈与は長い期間にわたって行われるので、生前贈与をする場合は、なるべく早めに動き出すことが重要です。
専門家に相談して相続税の節税対策を!
特定の相続人に対しては、相続税が2割加算されます。
なかでも孫への相続に対しては、加算の対象となる場合とそうでない場合があるので、正しく把握しておきましょう。
2割加算と聞くと、税負担が懸念されるところですが、世代飛ばしの相続や生前贈与をすることで節税になる場合もあります。
ただし、2割加算の制度は少しややこしく、相続人の人数や被相続人の子が自身の財産を有しているかどうかで、やっておくべき節税対策が変わってきます。
そのため、どのように相続すれば最善なのかを、早めに専門家に相談しておくことをおすすめします。
はじめての相続編集部
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