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■お役立ちコラム特集

2021/07/08

相続人不存在の遺産の行方―手続きの流れと登記の方法

親兄弟など親族のような近しい人々がいない場合に、相続人がいないまま亡くなってしまう人も少なくありません。
今後超高齢化社会を迎える日本では、人口減少・未婚率の増加などを考慮すると、相続人不存在での状態でなくなってしまう人が増えていくことが予想されており、生前から自分の死後財産はどうなるのか明確に決めておかなければなりません。

今回の記事では、相続人が不存在の場合における遺産の行方や、必要な手続きの流れ・登記の方法について詳しく解説します。

そもそも相続人不存在とは?


相続人不存在とは、言葉のとおり親や兄弟のような近しい人(=法定相続人)が存在していないことを指します。

具体的には以下の2通りです。

● 配偶者(夫もしくは妻)・血族(親・子供・兄弟姉妹など)にあたる人が存在しない(=法定相続人がいない)
● もしくは相続権を主張できない何らかの理由がある

それぞれ順番にどういうことなのか解説します。

法定相続人がいない


法定相続人がいないケースとは、夫や妻、子供だけではなく父や母といった血縁関係がある兄弟姉妹なども存在しない場合です。
ある人が亡くなった場合、日本の民法において「誰がどういう順番で相続をするのか」というのはあらかじめ決められています。

その人が亡くなったことにより生活に影響が出る「配偶者と子供」が最優先で相続人となり、その後父や母、兄や妹といった順番になっているのです。
こういった法律上決められている相続人が存在しない場合、相続人不存在となります。

相続権を主張できない何らかの理由がある


相続人不存在というのは、必ずしもこういった相続人が存在しない場合というだけではありません。
相続権を主張できない何らかの理由がある場合、もしくは相続権を放棄する場合などもこれに当てはまります。

例えば、ある人が亡くなったとしてその人に息子しか相続人がいなかったとしましょう。

しかしその息子は、生前多額の借金を押し付けてきたり、違法行為を唆してきたりすることにより、故人に迷惑をかけてきたにもかかわらず、相続で遺産を受け取るのは虫の良い話に感じる方も多いのではないでしょうか。
こういった場合、日本の法律では相続させないよう「欠格・排除」という制度が定められており、以下のような方法によって、特定の個人に対し相続の権利をなくさせるということも可能です。

● 欠格…執拗的に暴力を振るって自分に有利な遺言を書かせたりした場合など
● 排除…亡くなる前に裁判所へ、相続人の不当行為などを伝えることによって、相続の権利を失わせることについて認めさせた場合など

また、亡くなった人が多額の債務を抱えており、相続人が満場一致で相続放棄をするという場合も相続人不存在のケースに該当します。

相続人不存在の場合遺産はどうなるのか?


亡くなった後のことはいえ、相続人不存在のケースでは自分の財産がどうなるのかということを知っておかなければいけません。

想定されるケースとしては以下の3パターンが考えられます。

● 国の所有になる
● 特別縁故者に受け継がれる
● 生前に遺言書を作成していた場合、その遺言書において指定された人へ受け継がれる

それぞれ順番に詳しく解説します。

国の所有になる


生前に遺言書を作成していなかったり、特に他人と付き合っていたりもしていなかったという場合には、残された財産を全て国のものへとなってしまいます。
そういったケースはほとんどないのではと考える方も多いかもしれませんが、実は近年これに該当するケースが増加しているのです。

現在では50歳児での未婚の割合が「約3割」にも昇るといわれている日本において、 法定相続人が存在しないまま亡くなるという人が増えつつあります。

毎年財産が残っているにも関わらず、それを受け継ぐ人がいないためそのまま国の所有になるということが多発しており、毎年総額にしておよそ500~600億円にも昇るなど、相続人不存在のケースというのはそこまで遠い話ではありません。
何もしなければ国の所有になるということと、そういったことは多発しているということは頭の片隅にいれて覚えておきましょう。

特別縁故者に受け継がれる


私たちの社会生活において近しい人間というのは、必ずしも配偶者や子供といった存在だけではありません。
老後の世話を全て取り行ってくれた人や、籍を入れることなく長い人生ともに連れ添ってきたパートナーというのも近しい人間に該当します。

法律的には何の繋がりが無いにも関わらず、その人がなくなることによって多大な影響を受けるという場合において、法律では特別縁故者という制度を設けており、特別な手続きをしていれば財産を受け継ぐことが可能です。

まず特別縁故者と認められるためには、以下のような要件が必要になります。

● 亡くなられた被相続人と生計を共にしていた場合
● 被相続人と特別な関係を有していた場合
● 長い期間老後の介護などの活動を行ってきた場合

まず亡くなられた被相続人と生活を共にしていた場合というのは、内縁の妻などがこれにあたります。
次に被相続人と特別な関係を有していた場合というのは、わざわざ遺言書を作らなくても口約束でとりきめるほどの仲だったり、師弟関係にあったたりした場合などです。

こういった特別な関係を有していた場合、この特別縁故者が残された財産の分与に関して裁判所に申し立て、その後の調査によりどうなるかが決まります。

遺言書を作成していた場合


亡くなった後に、自分の残した財産が見ず知らずの他人に使われるというのが許容できない場合は、遺言書を作成しておくのが一番です。
生きている間に遺言書をあらかじめ作っておきさえすれば、どのような用途に使われるかというのを明確にすることができます。

自分が生きている間に関係があった人・団体などに財産を残したい場合、もしくは寄付なども可能です。

相続人不存在のケースにおける手続きと登記の方法について


仮に相続人が不存在のケースにあてはまる場合、以下のような手続きに沿って亡くなった後の財産管理の方法を決定します。

1. 相続財産管理人の決定
2. 債権申立に関する公告
3. 相続人捜索に関する公告
4. 特別縁故者に対して財産分与を行うことの申し立て

それぞれ順番にどのように行うのか詳しく解説します。

①相続財産管理人の決定


相続人が不存在のケースにあたる場合、相続財産管理人という人を決めなければいけません。
いくら生前親しかったからといって、残された財産を勝手に処分したり引き継いだりするということは許されていないので注意が必要です。

相続財産管理人を決めるにあたっては、生前被相続人に対してお金を貸していたり、財産を受け継ぐという約束をしていたりする「利害関係者」が裁判所に対して請求することになります。

②債権申立に関する公告


利害関係者から請求を受けた裁判所は、被相続人が死亡したことを官報で公告します。
これは2カ月間にわたって行われ、この間に他に利害関係者にあたる債権者や、相続することになっていた人などが存在しないか、名乗りを待つことになるのです。

③相続人捜索に関する公告


債権申立に関する公告を官報で行った後は、さらに相続人が存在しないかという相続人捜索に関する公告も行います。
この期間は半年となっており、この間に親や兄弟といった相続権を有している人が存在しないか再度確認することになるのです。

これで相続人が名乗ってこなかった場合は、相続人不存在であるということが裁判所により決定されます。

④特別縁故者に対して財産分与を行うことの申し立てと登記


相続人不存在というのが決定された場合において、特別縁故者が存在する場合は被相続人の財産を受け継ぐことができます。
この場合特別縁故者が裁判所に対して請求を行い、認められれば財産を得ることが可能です。
その際財産に不動産などが含まれていた場合は、特別縁故者名義で登記をする必要があります。

この登記に関しては、特別縁故者が単独で行うことができる場合と、他の共有者と共同申請をしなければいけない場合があるので注意が必要です。
例えば、ある不動産を被相続人が共有しており、特別縁故者がそれを受け継ぐことになった場合、 登記申請に関しては相続財産管理人と共有持分を取得した人で共同申請をしなければいけません。
不動産の場合においては、こういった登記という複雑な要素も絡んでくるので注意しましょう。

相続人がいない場合、国に帰属してしまう場合も


今回は、相続人不存在の場合、財産がどうなるのか手続きの流れと登記の方法について解説しました。
法律上定められた相続人に当たる人が存在していない場合、相続人不存在として財産が国に帰属してしまう場合などがあります。

すでに現時点で、相続人にあたる人が存在しないとわかっている場合は、自分の意図に沿った財産の使われ方ができるようにしっかりと遺言書を作っておきましょう。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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