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■お役立ちコラム特集

2021/06/23

相続税は何年前までさかのぼる?時効や時効を過ぎた分の遺産の行方

納付を忘れた相続税は、何年さかのぼることができるものなのでしょうか。
納付を忘れていた相続税があり、忘れた頃に通知が来るという方も少なくありません。
相続税には時効があり、その期間を超えると納税の義務はなくなります。
そのため、相続税が何年さかのぼることができて、時効はどのくらいの期間なのかを知っておくと安心です。
今回は、相続税をさかのぼって通知される期間についてご紹介します。

相続税は何年前までさかのぼる?


相続税は原則、10年前までさかのぼることが可能です。
10年前の遺産となると、既に忘れてしまっているという方は少なくないでしょう。
忘れた頃に税務署から通知がきて困ってしまうことのないように対策が必要です。

しかし、時効となる期間は各相続税によって細かく異なります。
自分が該当しているものがあるか、確認してみましょう。以下で1つずつご紹介します。

相続税申告の時効


相続税申告の時効は、相続が発生してから5年と定められています。
5年と規定されてはいるものの、「その期間ずっと税務署からの通知が届いていなかった場合のみ」という条件が付随しているので注意しましょう。

相続があった場合に、税務署から5年間通知がないということはほぼあり得ないので、あくまでも建前のような制度だといえるでしょう。
5年過ぎたら納税の義務がなくなりますが、基本的にはあり得ないことだと理解しておいてください。

また、相続税を支払わなければならないと知っていながら支払わなかった場合は、期間が7年に延長します。
故意に行われた悪質行為だと判断されてしまうので、十分に注意してください。

相続税放棄の時効


相続するものが債務のみだった場合は、遺産を放棄することができます。
相続するものは必ずしも遺産とは限らず、借金などの負債を引き受けてしまう場合も少なくありません。
相続税放棄の時効を知らずに過ぎてしまうと、故人が遺した負債がそのまま相続者にふりかかってしまうでしょう。

相続放棄の時効は、故人の死を知ってから3ヶ月程度となっています。
期限としてはかなり短いので、相続するものが発覚したら、すぐに対応をしてください。

しかし、借金の存在を知らなかったなどの場合は、3ヶ月を過ぎていても相続放棄が認められる場合があります。
他の時効に比べると比較的期間が短いので、忘れないように確認しましょう。

不動産名義変更の時効


不動産を相続した際には、不動産の登記登録を行う必要があります。
登記に関しての時効は設けられていません。比較的時間に余裕があるのが特徴です。
相続は行っているものの登記がまだという場合も、期間が定められていないので安心できるでしょう。

しかし、登記を変更しなければ土地を売却するなどの動きも当然できません。
土地を有効に活用するためにも、土地の登記登録は早めに行っておくのがよいでしょう。

生前贈与税の時効


生前贈与には年間110万円の控除額があるため、1年間で110万円以上の財産を受け取った際に発生するのが生前贈与税です。
例えば一括で200万円の現金を受け取ったり、1年間で小分けにしながらも総額110万円以上の現金を受け取ったりした場合などに生前贈与税が発生します。
意外と見落としがちな生前贈与税には、十分に注意してください。

時効は原則6年ですが、悪意があると判断された場合には7年になることもあります。
思い当たるものがあれば、時効を過ぎていないかどうか確認し納付を行いましょう。

遺産分割請求権の時効


遺産をどのように分配するか相続人同士で話し合うための遺産分割協議で、自分にも分割するよう請求する権利です。
1人の方が遺産を相続する場合などに用いられることが多いでしょう。
この権利には時効が設けられていないため、相続人が存命であればいつでも行使できる権利といえます。

さらにこの権利は、相続人が亡くなった場合、さらにその相続人の子どもが権利を行使することが可能です。
期限が設けられておらず相続人の親族にまで受け継ぐことができるので、思い当たるものがあれば遺産分割請求権の行使を検討してみましょう。

遺留分侵害額請求権の時効


遺留分侵害額請求権の行使は、故人が亡くなったことを知ってから1年間と期間が定められています。
故人の血縁者などゆかりの深い人物が、自分にある遺産分与を主張するための権利です。

遺言があった場合も、こちらの権利は消滅することはありません。
遺言があったからといって100%従わなければならないということではないので注意が必要です。
故人と近い関係にある遺族や近親者には、もちろん平等に遺留分侵害額請求権という権利が発生します。
金額に納得がいかないときに行使できる権利もこちらが該当するでしょう。

ただし、期間が1年間と短いので、思い当たるものがあれば、早めに行動を起こす必要があります。

相続回復請求権の時効


相続権を何らかの要因で侵害された場合に行使するもので、相続人が自分の権利を侵害されていると知った日から5年間と決められています。
間違った人物が相続人であるかのように振る舞っている際に、意見を申し立てるための制度と考えてよいでしょう。
自分の取り分を取り戻す遺留分侵害学請求権とは異なり、あくまでも権利を回復させるために設けられたものなので、どちらを適用すべきか、慎重に判断してください。

時効を過ぎた相続税はどうなるの?

時効を過ぎてしまった相続税はどうなるのでしょうか。
実際は税務署からの通知などが手元に届くので、気づかないうちに10年経過してしまったというケースはほとんどありません。

しかし、万が一に備えて時効を過ぎた相続税がどうなるのかを知っておいた方が安心できます。

ここでは、相続税の時効を過ぎてしまった場合のデメリットを解説します。
いざというときのために、知っておくとよいでしょう。

遺産を受け取れなくなる


相続税の支払い期限を過ぎてしまった場合、遺産を受け取れなくなってしまう可能性があります。
故人が遺族のために遺したものですから、滞りなくしっかりと受け取りたいところです。

10年の猶予があると思うかもしれませんが、さかのぼれる期間を過ぎてから気づいたというケースが多くあります。
気づいたときには既に遅く、相続税の納付はできなくなっているでしょう。
遺産を確実に受け取るためにも、故人が亡くなってから早めに手続きを行ってください。

相続税が増額してしまう


相続税が延滞金などで増額してしまうので、本来の相続税以上のペナルティが課されることになるでしょう。
年数が経過していればしているほど金額は大きくなるので、なるべく早めに対処したいところです。

相続税は現金のみでの支払いになるので、金額が大きくなってしまうと受け取ることも難しくなるでしょう。
期限をしっかり確認し、それまでに相続税分の現金を集めるよう努めてください。

刑事処罰に問われることがある


あまりにも悪質だった場合、刑事処分が下されることもあります。
刑事処罰は時間や労力がかなりかかるの、可能であれば避けたいものです。
罰金刑や税金額の加算だけで済むとは限らないので、十分に注意しましょう。

相続税は10年までさかのぼれる!しかし早めに支払った方がお得


相続税は10年までさかのぼることができます。
納税されていないという通知が手元に届くはずなので、10年の期間を超えてしまうというケースはかなり少ないといえるでしょう。


税務署からの通知を無視するなどの悪質な行為を行った場合には、罰則や罰金などの処罰もあるので十分に注意してください。
本来支払うはずの納税額よりも大幅に増額することが考えられるので、相続税は可能な限り早く申告、納付するようにしましょう。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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