■お役立ちコラム特集
2021/06/23
相続税がかかるなんておかしい?日本の相続税が高い理由とは
故人が遺してくれたものなのに、それを受け取るために国にお金を支払うというのは、よく考えてみれば不思議なことに思えます。
故人と自分の間だけのやりとりではいけないのかと疑問に思う方は多いものです。
しかし、相続税をしっかり支払わないと罰金や罰則などを受ける可能性があります。
支払わなければバレないということはなく、多くのケースで税務署からの調査が入るでしょう。
日本は特に相続税が高いといわれている国なので、諸外国と比較すると不公平に感じます。できるのであれば、相続税は少なく済ませたいところです。
今回は、相続税がかかる理由と日本の相続税が高い理由をご紹介します。
相続事情が気になっているという方は、ぜひ参考にしてください。
相続税が必要な理由は?
故人の意思で遺してくれたものなのに、税金を納めるのには納得がいかないという方もいらっしゃるでしょう。
個人的なやりとりではいけないのかと疑問に思う方も少なくありません。
場合によっては50%以上を税金で徴収されることがあるので、損をした気分になるでしょう。
ただし、相続税が必要となるのには、もちろん明確な理由があります。
相続税が必要な理由を理解することで、相続税を支払うことへの不信感も少しは解消されるでしょう。
今回は、相続税が設けられている理由や、相続税が必要とされている理由をご紹介します。
相続税について知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
貧富の差をなくすため
相続税の納付を必要とする大きな理由が、「貧富の格差を解消するため」に取り決められた制度だということです。
この理由を掲げて相続税の必要性を説く方も少なくないでしょう。
以前の日本は、現在よりも貧富の差が大きいという問題を抱えていました。
お金持ちの方達に富が集中し、身分の低い方は働いても悲惨な状況から抜け出せない状況に陥っていました。
現代において、特にこうしてネットで記事を読む環境をお持ちの方であれば、あまりそういった状況を感じることはないかもしれません。
しかし相続税をなくしてしまうと、以前と同じように貧富の格差が広がってしまうと考えられています。
遺産相続は労働によって手に入れるお金ではありません。
働かずに手に入れることのできるお金になるので、税金をかけないと働かずにお金を手にする方が一定数生まれるでしょう。
そうなると資産格差は拡大する一方で、貧富の差も一切解消しません。
相続税を支払うことで、貧富の差異を減少させて格差のない社会を目指しているというのが大きな目的の1つです。
取り損ねた税金を徴収するため
相続税は所得還元のために誕生したものだという考え方も中にはあります。
相続人が支払うべきだった所得税の代わりに、被相続人が相続税として支払うというものです。
回収し損ねた所得税を、相続税として徴収するという狙いも存在しています。
相続税は「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」を超過しないと請求されない税金です。
この財産にかかる税金を回収するタイミングは、故人が亡くなったことにより消滅してしまうでしょう。
規定されている金額はかなりの大金なので、富裕層の遺産から徴収するという狙いがうかがえます。
被相続人が資産価値のある不動産を所持していた場合、自身が住んでいたのであれば不動産に対しての所得税は発生しません。
賃貸経営しているような場合は別ですが、被相続人が住んでいることで資産価値の高い不動産なのに、税金を徴収できなくなります。
この場合に生じる回収できなかった所得税などの税金を、相続税の制度を使って回収しているといったイメージです。
日本はなぜ相続税が高いの?
相続税はあくまでも税金なので、国で定められた税率に基づいて算出されています。
そのため、当然世界各国で相続税事情は異なります。
日本は海外と比較してもかなり高い水準にあるので、他国と比較してもかなり高額な相続税を国に対して支払っていることになります。
先進国と比較してもかなり高い水準なので、どうしてなのかと疑問に思うかもしれません。
ここでは、日本の相続税が高い理由について解説します。
日本の相続税はかなり高い!
日本の相続税はかなり高額です。金額が高くなればなるほど相続税は高額になり、6億円を超えると55%にまで上昇します。
つまり、遺産の半分以上に該当する金額を支払わなければなりません。
55%という比率はかなり高く、ほかの国と比較しても日本が特に高いことがわかるでしょう。
例えばイギリスは一律40%と比率自体は高めですが、その分控除額が5,700万円とかなり高額であるため、相続税を支払う可能性自体が低いのです。
日本は基礎控除金額が「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」になるので、人数が多ければ控除金額はかなり高額になりますが、人数が少ないと例に挙げたイギリスよりも多くの税金を徴収されることになります。
例としてイギリスを挙げましたが、控除金額が数億円に設定されている国が多いので、一般の方が相続税の壁にぶち当たることはほとんどないようです。
格差を解消するため
上記でご紹介したように、相続税は国内の貧富格差を解消する目的で作られた制度です。
日本はほかの国と比較しても相続税が高く、金額が上昇するにつれて税金も高額になります。
お金を持っている方から多く税金を取り、お金をあまり持っていない方からは取らないという方法で格差の解消を図るのは理にかなっているでしょう。
増税がしやすい
相続税はすべての国民が払うものではありません。
相続する機会がなければ、一生相続税に関わる機会はないでしょう。
相続税に触れる方は、あくまでも日本人の中のごく一部です。
相続税は、消費税や所得税などのような全国民が関連する税金ではないので、増税しても反発されにくい傾向にあります。
そのため、不労所得とみなされている相続税が大きな税金徴収先とみなされています。
富裕層の流出が問題になっている
相続税が高いことが、富裕層の流出につながっています。
相続は富裕層にとっては大事な問題なので、相続税がない、あるいは少ない国に住みたいと考えるでしょう。
香港やシンガポールは相続税を廃止しているので、多くの富裕層が移り住み、人口が大幅に増えています。
富裕層が支払うのは相続税だけでなく、所得税や住民税、消費税などもあります。
そのため、富裕層が国内に増えると国の財源は一気に潤うでしょう。国としては富裕層を呼び込みたいということがわかります。
実際に相続税の廃止は、富裕層を海外から呼び込むための広告にもなるので、多くの国で検討されています。
日本国内でも相続税を廃止したいという声は多少上がっていますが、残念ながら現在にいたるまで相続税の廃止は採用されていません。
廃止の声が広がれば、今後相続税が廃止されるかもしれません。
日本の相続税は海外と比べてもかなり高い!
日本の相続税は海外と比較してもかなり高額なことがわかるでしょう。
先進国と比較しても相続税の高さはトップクラスだといえます。
日本の場合、遺産が高額になればなるほど徴収される金額も多くなります。
元々は貧富の差をなくすために設けられた制度なので、お金持ちの方から徴収する仕組みになっています。
また、相続税が高くなりすぎた原因は、全国民が関係する税金ではないので反発が少なく、増税しやすかったという点も大きく影響しています。
相続税は相続する金額が多ければ多いほど高額になります。
申告期限や納付期限が10ヶ月に設定されているので、期限内に納付できるよう、金額を確認しておくとよいでしょう。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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