■お役立ちコラム特集
2021/06/23
相続税の控除対象となる種類を知って賢く節税
実は、相続税には控除対象となる税金があることをご存じでしょうか。
条件に該当すれば、相続税から一定額を控除できる制度があるのです。
相続税の控除対象となるのは全部で7つあり、併用することができます。
つまり、7つのうちいくつか条件をクリアしている要件があれば、該当するすべてで相続税の減額が可能なのです。
また、基礎控除が改正されたこともあり、最新の制度を知っておく必要があります。
今回は、相続税の控除対象となる要件をご紹介しますので、ぜひ節税の参考にしてみてください。
控除制度は全部で7つ
相続税とは、「偶然に財産を得たという不労所得であるため」「特定の人に財産が集中することを抑止するため」という2つの観点からかかる税金のこと。
相続税に関する控除制度は、要件を満たすことで相続税の税額から控除額を差し引きできる制度です。
国へ支払う税金を抑え、遺族が受け取る金額を増やすことができるので、利用することをおすすめします。
ここでは、それぞれの控除制度について詳しく解説します。制度の内容を理解して節税をしていきましょう。
基礎控除
基礎控除とは、遺産を相続する際に税金がかからない金額の範囲のことです。
基礎控除の計算方式は改正されていますので、その都度確認をする必要があります。
以前は、例えば相続対象の子どもが3人いる場合には、8,000万まで非課税でした。
しかし、現在は4,800万までが非課税枠であり、それを超える場合は課税対象となっていまいます。
遺産の相続の場合、対象となるのは現金だけではありません。
土地や建物など、故人の財産になるものは全て相続税がかかります。
そのため、不動産がたくさんあって貯金が少ないというケースでは、相続すると納税時に現金が足りず、困ってしまうということになりかねません。
可能であれば、なるべく家族の財産には「何がどれくらいあるか」を把握しておき、心配なら専門家に早めに相談することをおすすめします。
配偶者控除
相続対象者の中に配偶者が含まれる場合、配偶者控除を利用することができます。
この制度は、配偶者が相続する遺産で課税対象のものが1億6,000万までであれば、配偶者には相続税が課税されることはないという制度です。
これは相続する遺産ではなく、配偶者の相続分での換算になります。
つまり、仮に2億近い遺産であったとしても、子どもや他の親族など分ける人が他にもいれば、配偶者の相続分を1億6,000万の枠の中に収めることができ、課税されることはありません。
故人が余程の資産家でなければ、配偶者は相続税を無税にすることができます。
相続する際には必ず利用したい制度ですので、覚えておきましょう。
配偶者が相続上で保護されているのは「配偶者の老後の生活を保障するため」「財産の形成において少なからず配偶者の貢献があったため」「同一世代間での財産の移転になるので次の相続までの期間が短いため」といった観点から、このような控除額が定められています。
贈与税額控除
贈与税額控除とは、税金の二重の支払いを防ぐための措置のことです。
生前に贈与税を払っている場合、相続税を払ってしまうと二重で税金を支払うことになります。
そうならないため、贈与税の支払いが既に認められている場合、相続税の支払いは免除されるようになっているのです。
ただし、贈与税額控除については注意しておきたいことがあります。
贈与税額控除の制度を知らず税金を二重で支払ってしまったとしても、税務署は二重で支払っていることを教えてくれません。
そのため、納税者は贈与税を支払っていることを覚えておき、相続税の納付時にそれを申告しなくてはなりません。
もし、今後相続する遺産がある場合は、あらかじめ話し合っておくことが大切でしょう。
「生前贈与できるのかできないのか」「遺産がどれくらいあるのか」などを確認しておき、特に不動産や株式といった資産がある場合は何をどのように贈与・相続するのか決めておく必要があります。
また、誤って贈与税額控除を行わなかった場合でも、申告から5年以内であれば還付を請求できます。
万が一忘れてしまったときは、早めに請求をしましょう。
未成年控除
相続税は小さい子どもであっても支払いの義務があります。
しかし、子どもが納税費用の準備を行うのは難しいでしょう。
そんなときに利用するのが未成年控除です。未成年者が対象で、遺産を相続する際に相続税の一部が控除される制度を利用できます。
この制度を受けるためには、「未成年者が法定相続人でなければならない」「相続の際に日本国内に住んでなければならない」という条件があります。
この制度を利用した場合の控除額は「(20歳‐相続時の年齢)×10万円」となっており、それを超える場合は扶養義務者が支払う必要があります。
障害者控除
相続人が障害者であった場合、障害者控除という制度を利用することができます。
「少しでも障害者の負担を軽くする」という観点からこの制度が設けられており、障害の程度によって控除額が変わってきます。
利用する前に、いくら控除されるのかをしっかりと確認しておきましょう。
また、障害者の税金から控除額を引き、控除額に余裕があれば、相続人でかつ扶養義務者の税金も控除できます。
申請時には障害者手帳のコピーもしくは医師の診断書が必要となりますので、あらかじめ確認して準備をしておきましょう。
相次相続控除
相次相続控除とは、立て続けに相続が発生した場合に使える制度のことです。
前回の相続から10年以内であれば利用することができます。
この制度は、「相次いで相続が発生した場合に相続税の負担が大きくなりすぎないように」という観点から設けられた制度です。
他にも、「前回の相続で今回の相続の被相続人が相続財産を取得し、相続税が課税されていること」といった細かい条件がありますので、よく確認し、該当する方は利用すると良いでしょう。
外国税額控除
海外に財産がある場合、国によっては日本のような相続税に近いものを支払う必要がある場合があります。
その場合、日本と海外で二重で税金を納めることになってしまうことも考えられます。そのような事態を避けるため、外国税額控除の制度が設けられています。
具体的な内容としては、海外で相続税を支払っている場合、日本で支払う相続税の中で海外の財産部分の割合を控除するものです。
控除以外でも節税をしよう
相続税は、控除以外にも節税をする方法があります。
自分に合った方法で節税し、故人の残してくれた財産を上手に使いましょう。
生前贈与
前述した通り、生前に財産を贈与することで、相続税の課税対象となる財産を減らすことができます。
ただし、生前贈与には贈与税が掛かりますので、贈与する金額によっては贈与税のほうが多額になる場合があります。
必ずしも節税になるわけではありませんので、あらかじめ専門家に試算してもらってから手続したほうが良いでしょう。
生命保険で非課税枠を利用する
生命保険には相続税の非課税枠が設定されています。
この枠を利用することで相続税の課税対象が減り、結果的に節税につながります。
養子縁組を増やす
養子縁組を増やすと相続人が増え、基礎控除の枠も増えることになります。
つまり、基礎控除で節税するという方法です。
これは相続人が多ければ多いほど非課税枠は増えますが、法律上制限があります。この方法を利用する際は、養子縁組、控除制度の両方を詳しく確認してから行うようにしましょう。
財産を確認して相続税を抑えよう
今回紹介した通り、相続税を抑える方法はいくつかあります。
しかし、節税をするためには「相続できる財産がどれくらいあるのか」「不動産はあるのか」など、現状をしっかりと把握することが必要です。
そのうえで、相続するものに合わせて正しい方法を選ぶことが一番効果的な節税となります。
不安なことがあれば専門家に相談し、効果的に相続税を抑えていきましょう。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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