■お役立ちコラム特集
2021/06/23
相続税の法定相続人と基礎控除額|申告不要となるケースを紹介
しかし、相続税には「基礎控除額」という相続税から一定額を減額できる制度があることをご存知でしょうか。
基礎控除額は平成27年以降、税制改正によって変更がなされ、算出するための計算式が変わりました。
以前であれば相続税はある程度の裕福な家庭にしか関係がないとされていましたが、改正の結果、基礎控除の枠に入らず相続税を支払わなければならない人が増える結果となっています。
また、基礎控除額は法定相続人の人数によっても影響があるので、詳しく知っておくことが重要です。
そこで今回は、法定相続人と基礎控除額の関係と、申告が不要になるケースを紹介していきます。
相続が発生する可能性がある方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
相続税の基礎控除とは
相続税の基礎控除とは、冒頭でも述べている通り「受け継いだ財産にかかる相続税から一定額を減額できる」という制度のことです。
基礎控除は、税制改正前は仮に法定相続人が3人だとした場合、8,000万円までは非課税とされていました。
しかし法改正後は、法定相続人が3人の場合、4,800万円までしか非課税とならず、それ以上は課税対象となります。改正前に比べて、改正後のほうが基礎控除の範囲が小さくなっているのです。
また、相続税の対象となる財産にはお金のほかに土地も含まれるため、現在の土地の評価額を知っておく必要があります。
納税は現金しか認められないため、土地や不動産といった財産に比べて現金の遺産が少ない場合、納税のときに苦労をするかもしれません。
あらかじめ準備をしておくとよいでしょう。
ここでは、相続税の基礎控除について詳しく見ていきます。
基礎控除の計算方法
相続税の基礎控除の算出方法は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という式をもとに算出することができます。
つまり、例えば夫、妻、子ども2人の4人家族で夫が亡くなった場合、妻と子ども2人が法定相続人となります。
この場合の基礎控除の金額は「3,000万円+600万円×3=4,800万円」となり、財産の総額が4,800万円以下であれば相続税を支払う必要はないということになるとわかります。
基礎控除の注意点
ここでは基礎控除を計算するときに注意しておきたい点をご紹介します。
1つ目は、故人の子どもが既に亡くなっている場合です。
こういったときは、孫が「代襲相続人」として法定相続人となります。
つまり、基礎控除の計算時には孫が法定相続人になりますので、例えば孫が2人以上いた場合には、子どもが生きている場合よりも法定相続人が増えるわけです。
また、遺言により本来法定相続人でない人物に遺贈があったとしても法定相続人にはカウントされず、あくまで故人の配偶者と子を法定相続人として数える点に注意しておきましょう。
2つ目は、養子が相続人になる場合です。
この場合は法定相続人には制限があり、実子がいない場合は2人まで、実子がいる場合は実子の数にプラス1人までしか数えることができません。
これは節税対策として行われることがありますので、その際には上記の点に注意しておきましょう。
3つ目は、相続を放棄した場合です。
相続放棄しても、法律上は法定相続人とみなされ、たとえ次順位の人が相続権を得たとしても変わることはないことを覚えておきましょう。
相続税申告が不要なケースもある
ここまで相続税について説明してきましたが、相続税は誰でも必ずかかってくるものではありません。
むしろ、相続のうち多くのケースでは相続税がかからないのが実情です。
では、どういった場合に相続税の申告が不要になるのでしょうか。
相続税申告が不要かどうかを判断する基準をご紹介します。
基礎控除内であれば相続税申告は不要
前述の通り、遺産相続の中でも相続税申告をしている人はおよそ5%とごく一部です。
その理由は、紹介してきた通り相続税には基礎控除という非課税枠が設定されており、その枠以内の財産額であれば相続税は0円となるので、申告が不要となるからです。
ただし、注意点として、相続した際に税務署から「相続税のお尋ね」という書類が届く場合があります。
このときは相続税申告が不要の場合であっても、税務署に対して回答を行う必要がありますので、しっかりと対応しましょう。
このように基礎控除額の枠で相殺されることが多いので、実際に相続する財産の金額や不動産の評価額を確認しておくことが重要です。
法定相続人とは
次に法定相続人について解説していきます。法定相続人とは相続税法上の用語で、民法で定める相続人のこと。
なお、相続人とは亡くなった方から財産や負債を引き継ぐ方のことです。
それに対し、亡くなって財産を引き渡す方を被相続人といいます。ここでは、法定相続人について詳しく解説していきます。
法定相続人の順位
法定相続人には、民法で定められた順位が存在します。
順位とは相続できるグループ分けのようなもので、上の順位のグループに属する人がいる場合、下の順位のグループに属する人は相続人になることができないというルールがあります。
順位には3つあり、第1順位は故人の子どもで「直径卑属」といいます。
第2順位は故人の親、祖父母で「直径尊属」と呼びます。
最後に、故人の兄弟姉妹は第3順位になり、これとは別に配偶者はどの場合にも常に法定相続人にカウントされます。
例えば、故人以外は存命の場合は第1順位の故人の子どもが法定相続人となります。
それ以外の父や兄弟には相続人の権利はありません。
次に、故人の子どもが亡くなっている、もしくはいない場合は第2順位である故人の父や母、祖父母が法定相続人となります。
このように、上位の順位の人がいなければ次の順位の人たちが相続人になる、というように相続人が決まっていきます。
代襲相続
相続人が既に亡くなってしまっている場合、本来相続人であった人の代わりにその子どもが相続することを「代襲相続」と呼びます。
代襲相続には主に2パターンあり、1つは「相続人である子が先に亡くなった場合」です。
これは被相続人の子どもが既に亡くなっている場合にその子ども、つまり故人の孫が相続人になるというものです。
次に「相続人の兄弟が既に亡くなっている場合」です。
この場合、兄弟の子ども、つまり故人の甥や姪が相続人となります。
この2パターンの大きな違いは、前者は孫、曾孫と永遠に代襲できますが後者は甥や姪の1代限りの代襲となる点です。
相続の欠格・排除
法定相続人の資格があっても、場合によってはなれないことがあります。
主に2パターンありますので、それぞれご紹介します。
まずは「相続の欠格」です。
これは相続人が犯罪や殺人、遺言書の偽造といった問題を起こしたときに、相続権を奪われてしまい法定相続人になることはできないというパターンです。
次に「相続廃除」です。
これは相続人が被相続人を虐待、侮辱など、被相続人対して非行を行った際に、家庭裁判所に請求して法定相続人の地位を奪うことをいいます。
これは生前か遺言書でしかできないので、被保険者があらかじめ手配をしておく必要があります。
また、このように欠格や廃除が起きた場合でも、その子どもが代襲相続人として相続することは可能です。
相続の際は法定相続人の数や基礎控除を確認しましょう
今回紹介してきた通り、財産を相続した際には相続税がかかってしまいます。
相続税と聞くと費用がかかりそうと身構えてしまいますが、しっかりと対処すれば税額をかなり抑えることができます。
法定相続人の数や財産の金額など確認を行い、書類の作成をしっかりと行えば十分に対処できるでしょう。
しかし、一般人が全てを正確に対応することは非常に困難です。
そのため、早めに税理士などの専門家に依頼することをおすすめします。
はじめての相続編集部
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出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
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