■お役立ちコラム特集
2021/06/23
金(きん)の相続にも税金はかかる!評価額の調べ方と売却時の注意点
金を使った対策は無意味なものもありますので、まずは相続税がいくらかかるのかを把握することが大切です。
ここでは、金の相続に税金がかかるのか、評価額の調べ方や、相続税対策と売却時の注意点について解説します。
金資産の種類とは
金といっても「金・純金・金地金」のようにいくつか種類があります。
有名なものとして金地金などが挙げられますが、他にはどういった金資産があるのでしょうか。
ここでは、一般的な金資産についてご紹介します。
金地金
「金地金」と呼ぶとなじみが薄いかもしれませんが、これはいわゆる「金の延べ棒」のことをいいます。
他にもインゴットやゴールドバート呼ばれることも多く、代表的な金資産です。
金貨
資用に購入される金貨の一種で、日本製や外国製など様々な種類の金貨があります。
外国製のものとしてはカナダのメイプルリーフ金貨、オーストラリアのカンガルー金貨、ウィーンのウィーン金貨、日本では記念硬貨として発行されており、金貨には様々あります。
購入を検討する際は、価値をしっかりと確認をして購入しましょう。
純金積み立て
毎月一定額を積み立てて、その積み立てたお金で純金を購入して資産運用するという方法です。
このとき、純金は時価で購入するので、その時々によって購入できる量は変動します。
都度、金の価格を確認してタイミングを計る必要があります。
宝石
宝石も立派な資産です。
購入時はアクセサリーとして購入する人がほとんどですが、アクセサリーには金が多く使われていることが多く、売り方によっては非常に高値が付きます。
また宝石自体にも価値があります。
しかし、相続時に資産と考えない人も多く、申告漏れが発生する原因となりますので注意しましょう。
相続税は抜け漏れなく確実に申告をする必要があります。
金の仏壇・仏具
意外と知られていないことがありますが、祭事用の仏像や仏具は純金で作られていることが多く、個人で仏具を購入する人もいるくらいです。
扱いとしては宝石のような扱いになりますので、こちらも申告漏れに注意しましょう。
「金・純金・金地金」の評価額や調べ方を紹介
「金・純金・金地金」の相続税評価額は、被相続人が亡くなった日の業者買取価格をもとに計算します。
金地金のグラム当たりの買取価格は金額が公表されているので、重量にその価格をかければ相続評価額となります。
他にも業者に問い合わせればある程度わかりますので、迷ったら確認をしましょう。
具体的な調査方法
まず、金地金にいては前述している通り業者に問い合わせをしましょう。
特に貴金属業者の刻印がある場合が多いので、確認するとよいでしょう。
次に、金貨の場合も貴金属業者に問い合わせることで価格がわかります。
例えば昭和から平成にかけて日本で発行された金貨は、日本の通貨ですので相続税評価は額面通りです。
ただし、明治時代に発行された金貨は相続税評価の上で骨董品扱いとなりますので、コイン業者に買取価格を評価してもらう必要があります。
最後に、純金積み立ての場合は積み立てで利用している貴金属業者に直接問い合わせる必要があります。
問い合わせれば教えてもらいますので、気軽に聞いてみるとよいでしょう。
このように、基本的に金の価値を確認するときは、業者などにしっかりと問い合わせる必要があります。
「金・純金・金地金」には相続税がどれくらいかかるのか?
相続税は遺産に対して課税されます。
したがって金がどれくらいあるということは関係なく、金も含めた被相続人の遺産がどれくらいあるかによって相続税は変わってきます。
また、相続税には基礎控除額という制度があり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式で非課税枠が決まります。
遺産の総額が計算で求められた額を超えていなければ、相続税は免除されます。
超えた場合は、その分について相続税が課税されることになるのです。
なお、相続税は遺産が多ければ多いほど税率が高くなります。
法定相続人が取得した遺産の金額をもとに税額の計算をしますので、法定相続人が多ければ多いほど相続税を免除される可能性が高くなります。
「金・純金・金地金」を使った節税対策は有効ではない?
実は金資産そのものは、相続税の節税には向いていません。
しかし、節税以外の相続対策としては意味がないわけではありません。
例えば、遺産分割時にもめごとを防ぐことにつながります。
金資産は不動産などに比べると現金化が簡単で、遺産分割も早く楽にすることができるためです。
ここでは、金資金が節税対策として向いていない理由を紹介していきます。
金の仏像では相続税対策はできない
金の仏像、仏具で節税対策をするという話は各方面でよく紹介されています。
相続税の非課税財産の1つに「祭祀財産」があります。
財産を祭祀財産に変えることで、節税につながるという考え方です。しかしこちらはリスクが高く、あまり意味はありません。
日常から祭祀を行っていれば非課税財産として認められますが、認められなかった場合、一般の財産という取扱いになるため相続の課税対象となります。
また、仏像や仏具は加工費や美術品としての価値も加わるため、金地金と比べると価格が高くなります。
このように、金の仏像、仏具では相続税の対策にはつながらないばかりか、価格変動のリスクを背負いますのでおすすめできません。
金の延べ棒を自宅に隠しても無駄
金の延べ棒で財産隠しをする方法は有名ですが、税務署は過去の所得や預金から、脱税の疑いがある家庭を訪ねて調査します。
そのためこのような隠し財産を自宅に隠していれば、いつかはバレてしまうことでしょう。
そもそも、金の延べ棒を隠し財産にするということは脱税であり、立派な犯罪です。
最悪捕まることもあります。
また脱税をしてお金を溜め込んだとしても、それがバレて逮捕や起訴になってしまうと、税金以外でも余分にお金を支払うことになりますので注意が必要です。
マイナンバーが必要
「金・純金・金地金」の取引で売却代金が200万円を超えた場合、マイナンバーの提出が必要となります。
手数料を差し引く前の売却金額が200万円を超えていると、取引業者が税務署に取引内容を記載して支払調書を提出することになっており、その支払調書にマイナンバーが必要になります。
金資産は遺産分割がしやすい
金資産の最大のメリットとしては、保有しているだけでは固定資産税やその他の税金がかからないという点です。
さらに換金性にも優れているため、遺産分割がしやすいという点があります。金であれば業者に確認をすればすぐにでも販売することが可能です。
また、金は安定資産としても有名です。
「有事の金」という言葉もありますので、資金に余裕があるのであれば多少は購入してみるのもよいでしょう。
その際には事前に家族に金の存在を知らせておく必要があります。
存在を知らないと、相続人が見つけ出すことも困難になります。
家族と共有することで、万が一自分が亡くなっても家族で分けることができます。
「有事の金」を踏まえて金資産で資産保全しよう
今回紹介した通り、金資産は節税対策には向かないということがわかりました。
金はどちらかというと資産の保全に向いているため、金資産を保有している人はそれを理解して金と向き合ってみてはいかがでしょうか。
固定資産税がかからない点や換金性が高いなどの特徴を理解して、金を運用してみるのも面白いかもしれません。
はじめての相続編集部
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子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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