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■お役立ちコラム特集

2021/06/23

相続人が認知症だと代理人が必須!手続きの方法を紹介

日本人は寿命が高く、元気のよい高齢化者もいますが、反対に意思能力が衰退している認知症の方も多くいるのが事実です。
また、若年性認知症もあるので、遺産相続の際に自ら意思決定ができないという方が法定相続人に含まれてしまう可能性は十分にあるでしょう。

遺産相続の手続きを取る際に、相続人の中に認知症の方がいる場合、その協議は無効となってしまいます。
これは認知症の相続する権利を守るためでもあるのですが、そのために相続手続きが進まないのは非常に困ることです。

ここでは、認知症の相続人がいる場合、どのような手続きを取ったらよいのかについてご紹介します。

相続人が認知用だと代理人が必須


相続人が認知症の場合、特殊な場合をのぞいて相続手続きを取る際は、代理人が必要になります。
そして代理人を立てない限り、相続の話し合いは無効となってしまうため、相続手続きを進めることができません。

しかし、代理人を立てるにしても手続きがわからない、複雑で大変そう、と感じ不安になってしまう方もいることでしょう。
ここでは、代理人を立てる手続きについて、わかりやすく解説します。

代理人を立てる


認知症の方には、「成年後見人」と呼ばれる代理人を立てることができます。
この代理人を立てることにより、遺産相続の話し合いを始めることができます。

代理人を立てる手続きについて


代理人を立てる際には、近親者、また弁護士や司法書士などの専門家に依頼して、候補者を選定します。
選定する際は、なるべく相続の利害に直接関わらない人、もしくは関わりが薄い人が適任です。
代理人の候補が決まったら、被後見人の住所地管轄の家庭裁判所に代理人申請の申し立てを行います。

手続きの際に必要になる書類について


家庭裁判所に代理人の申請をする際、必要となる書類があります。
この書類がないと申し立てができなくなるので、必ず揃えてから申請に行くようにしなければいけません。
必要になる書類は以下の通りです。

1. 申立書
2. 申立人の戸籍謄本
3. 認知症がある相続人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、診断書
4. 代理人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書
5. 申立書附票

また、必須ではありませんが、認知症がある相続人に関する報告書もあれば一緒に提出しましょう。
必要な書類が多く揃えるのは大変ですが、足りないと再度家庭裁判所に行かなければならないので、しっかりと事前に準備をしておくことをおすすめします。

手続きにかかる期間について


家庭裁判所に書類を提出したからといって、すぐに代理人が選ばれるわけではありません。
代理人として正式に認められるには、申請してから概ね1~3ヶ月くらいの期間が必要になります。

期間に差があるのは、認知症の相続人の状態や、代理人について調査が行われるためです。
複雑な状関係がある程、期間は長くなる傾向があります。

代理人については面談による調査が行われ、認知症の相続人に対しても医師による精神鑑定が行われる場合もあります。
事実、相続に関わる重大なことが簡単に認められてしまうと、様々な問題が起こる可能性があるため、調査も入念に行われるようになっています。

認知症の相続人に代理を立てない方法


認知症の代理人がいる場合は、代理人を立てる必要があることを説明てきましたが、代理人を立てずに相続手続きを行うケースも存在します。
ここでは代理人を立てずに相続手続きを始めてもよい場合について説明していきます。

遺言通りに相続


被相続人が生前に遺言を残しており、その中に遺産相続について書かれている場合はその通りに遺産を分けることができます。
当然ですが、その場合は代理人を立てる必要はありません。

ただし、この方法が取れるのは被相続人が遺言を残している場合のみで、遺言を残さずに亡くなってしまった場合、この方法を取ることはできません。

また遺言があったとしても、遺産の分配について書かれていなかったり、一部の遺産だけについてしか遺書がなかったりした場合は、代理人を立てて協議していく必要があります。

遺書は法律的に効力が生じるものでなければならず、そのための要件が存在します。
その要件を満たし、初めて遺書として効力が発生することとなるので、遺書による相続方法は意外にハードルが高いといえます。

法定相続通りに相続


法定相続通りに遺産を相続する場合も、代理人を立てる必要はありません。
この方法で特に問題がない場合は、その通りに遺産を相続してもよいでしょう。

ただし、不動産を所有している場合には注意が必要です。
不動産を分配するとなると、相続人全員が共同で所有するものとなってしまうので、不動産を売却するときの手続きが複雑になってしまいます。

仮に相続した不動産を売るとなった場合には、認知症の相続人は意思決定ができないので、代理人を立てる手続きが必要になってしまいます。
あらかじめ、代理人を立てなければいけないことがわかっている場合は、後々を見越して代理人を立てておくことも視野に入れておくのが賢明です。

認知症の相続人に代理人を立てるデメリットについて


認知症の相続人に代理人をつけるメリットについてこれまで説明してきましたが、もちろんデメリットも存在します。
メリットだけを見て代理人を立てる前に、デメリットについても十分理解し、代理人を立てるか考える必要があるでしょう。
ここでは、代理人を立てることによるデメリットについて解説します。

代理人に対しては報酬を支払う必要がある


まずデメリットの1つ目は、専門家が代理人の場合、報酬を支払う必要が出てくるということです。
親族から代理人が選ばれれば、報酬を支払う必要はなくなるのですが、近年の代理人選出の傾向を見ると、親族以外の専門家が選任されるケースが多くなっています。

親族以外の専門家が代理人になってしまうと、毎月少なくて約2万円、多くて約6万円ほどの報酬を支払わなければいけなくなります。
これは認知症の相続人が亡くなるまでの間ずっと続くので、報酬の額もかなり多くなるケースも存在します。

1度選ばれた代理人の変更は難しい


選ばれた代理人は、認知症の相続人の財産を守るのが役目になります。
そのため仮に遺産相続の話し合いになったとき、認知症の相続人の相続を減らしたりする意向を伝えても、その通りに話が進むとは限りません。

代理人は法定相続分を守ろうと、必死になることも想定しておく必要があります。
そして、選ばれた代理人の変更は、余程のことがない限りは変更することができません。
場合によっては見ず知らずの代理人と一生涯付き合い続け、報酬を支払わなければいけなくなる、というケースも想定しておかなければいけません。

認知症の相続人として特別代理人を立てる方法


これまで代理人を立てるメリット、デメリットを説明してきましたが、遺産相続の件に限定して代理人を立てるという特別代理人を立てる、という方法も存在します。

遺産相続の特別代理人を立て、その他に関することは近親者から代理人を選ぶことで、特別代理人に対して支払う報酬を一度だけで済ませるという方法です。
報酬を支払い続けるよりは格段に費用がかかりません。

もちろん代理人を選定しまった後は、特別代理人を立てることはできなくなってしまうので、最初の段階から特別代理人を立てたい旨を申し立てておく必要があります。

認知症の相続人の代理人については事前対策を


認知症の相続人がいる場合は、成年後見人と呼ばれる代理人を立てる必要があります。
しかし、法定相続割合や遺書による相続を行うのであれば、代理人を立てない方がよい場合もあります。
また、相続の件だけ特別代理人を立てるという制度もあるので、これも上手く活用していくとよいでしょう。

早期に準備をしておくことで相続手続きを公平にスムーズに進めることができるので、近親者内で事前に話し合いをしておくことが大切です。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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