■お役立ちコラム特集
2021/06/23
「相続人と連絡取れない!」相続手続きを進めるための方法は?
ただでさえ相続は複雑なことも多く、家族を悩ませるものです。
そんな中で相続人と連絡が取れない状態になってしまった際にはどうすれば良いのでしょうか。
今回は、相続人と連絡が取れない場合の手続きの進め方を解説します。
相続人と連絡取れない!手続きは進めていいの?
相続の手続きをしようと思った際に、「どうしても連絡取れない」と困ってしまうケースは少なくありません。
血縁関係のある兄弟であっても、トラブルが原因で疎遠になり、連絡先不明・音信不通の状態になってしまうパターンも考えられます。
また、住所や電話番号はわかっていても、連絡を無視され続けているというケースもあるでしょう。
相続のために連絡を取ろうとしたが、折り返しの連絡をくれなかったり、電話をすぐに切られたりなど、相続の際にはさまざまなトラブルがあるのです。
そこで気になるのは、連絡が取れない際には「相続の意思なし」とみなして手続きを進めて良いのかという点です。
結論を言うと、意思の確認なしで手続きを進めることはできません。
連絡が取れないとはいえ、相続人の生存が確認できている以上、相続人と連絡を取った上で、手続きをしなければなりません。遺産分割協議には、すべての相続人が参加しなければならないためです。
連絡取れない相続人とはどのように連絡を取るか
ではここからは、連絡の取れない相続人と連絡を取るための方法について見ていきます。
連絡の取り方・住所の調べ方の選択肢
連絡を取る方法としては下記が挙げられます。
・直接訪問する
・知人を通して連絡先を聞く
・戸籍の附票で住所を調べる
・警察に相談する
・探偵・興信所に探してもらう
相手の住所がわかっている場合は、すぐに行けない場所だったとしても、直接訪問するといった方法を検討しましょう。
行方不明・連絡先不明の状態の際には、警察への相談、場合によっては探偵や興信所への依頼を考えることになるでしょう。
また、戸籍の附票で住所を調べるという方法もあります。
戸籍には住所が記載された附票があるため、この方法なら現住所を把握することができます。
住所判明後に連絡を取るときの注意点
連絡を取る際には、まず相続関係説明図を同封した手紙を送りましょう。
手紙には相続手続きが必要なため連絡がほしいことを丁寧に明記します。
連絡取れない状態が続いていたということは、多かれ少なかれトラブルがあったケースがほとんどだと思います。
相続というデリケートな問題が関わってくるため、文言はより丁寧であることが望ましいです。
ちなみに、先方の意思を確認せず勝手に作成した遺産分割協議書を突然送りつけたりすると、トラブルのもととなりますので、ご注意ください。
相続人と連絡取れない・生死もわからないときにはどうするか
相続人と連絡取れない、住所はわかったが結局在住しておらず、生死すらわからないとなった場合は、最終的に「不在者財産管理人」を選出したり、失踪宣告の申立をしたりして相続手続きを進めていく必要があります。
不在者財産管理人とは何か
失踪したり音信不通になったりして、特定の相続人と連絡が一切取れない状況になっている場合は、その方に代わって、手続きを進める役割を任せる「不在者財産管理人」を選出する必要があります。
不在者財産管理人は、連絡の取れない相続人の代理人とも言える立場にあたり、連絡が取れない相続人に代わり財産の管理を行います。
この役割は、本人と連絡が取れたり亡くなっていたことが判明したりするまで有効となります。
そして、この手続きは行方不明となっている相続人本人の現住所管轄の家庭裁判所を通じて行います。その際には、戸籍謄本や不在を証明する書類などの提出が必要です。
ちなみに、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加するには、権限外行為の許可を家庭裁判所に申請する必要があります。
不在者財産管理人はあくまで財産の管理を代行とするという立場にあたるため、申請を行わない限り、遺産分割協議には参加できないからです。
不在者財産管理人を務めるのはどんな方か
では、不在者財産管理人はどんな方が務めるのでしょうか。
基本的に不在者財産管理人に選ばれるのは、相続手続きにおいて関係のない第三者です。
そのため、別の相続人が不在者財産管理人になることはできません。
利害関係がないと判断された知人が務める場合もありますが、多くのケースでは弁護士などの専門家に依頼することになります。
7年以上行方不明の場合は失踪宣告の申立をする
基本的に不在者財産管理人の選任は「生存しているはずだが連絡が取れない」といった場合に行います。
しかし、長い間行方不明の状態が続き、すでに亡くなっている可能性も高い際には、失踪宣告を家庭裁判所に申立をすることも可能です。
法律上の決まりでは、行方不明で連絡のつかない状態が7年続くと、その方は亡くなったものとみなされるようになっています。
これにより、相続人が亡くなったものとみなされれば、相続人がすべてそろうため、遺産分割協議を進めることが可能となります。
しかし、連絡取れない状態が続く親族を、自分たちの判断で亡くなったものとみなして良いのか、心理的に迷う部分もあると思います。
そのため、失踪宣告の申立をすべきかは、相続人同士でよく話し合う必要があるでしょう。
相続人と連絡取れない!そんなときは専門家に相談を
相続人と連絡取れないと困った際には、その後の相続手続き全般の相談も含めて、基本的には専門家を 頼るのは1番です。
自分たちで相続人の所在を探すこと自体は可能ですが、非常に手間がかかります。
そのため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することを考えていきましょう。
専門家に依頼すれば連絡取れない相続人を把握できる
弁護士などの専門家に依頼すれば、連絡のつかない兄弟以外でも、「前妻との間に子どもがいたかもしれない」というケースにおいても、所在や連絡先を調べることができます。
相続において、連絡取れないという状況は、兄弟間だけでなく実子と養子、その他隠し子などさまざまなケースにおいて起こります。
このような状況の中でも、専門家に調査を依頼すれば、スムーズに相続人を把握できます。
弁護士からの連絡がくれば対応する方は多い
連絡を完全に無視されて困ったという状況下でも、弁護士が代わって連絡することで、状況が解決することもあります。
突然弁護士から連絡がきたことにびっくりして、連絡に応じる方は少なくはありません。
もちろん、相続人同士で連絡をスムーズに取れるのが1番ですが、難しい場合はそういった対処についても相談が可能です。
相続は非常にデリケートな問題になるため、どのように連絡を取るのが良いのか、もし途中で揉めたらどうすれば良いのかなども細かく相談に乗ってもらえます。
また、相続に詳しい弁護士などの専門家を見つけておけば、その他のトラブルが起きた際にも対応してもらえます。
連絡がつかない相続人との相続手続きは、多くのトラブルが起きることが想定されるため、専門家に相談するという選択肢も考えておきましょう。
相続人と連絡取れない状況を解決するには必要な手続きを知ろう
相続人と連絡取れない状況の場合は、相続の意思なしと勝手に判断して協議を進めることはできません。
基本的に遺産分割協議にはすべての相続人の参加が必要になるため、まずはどうにかして連絡を取ることを考えていきましょう。
また、困った際には、弁護士などの専門家を頼るのもおすすめです。
専門家の対応によって連絡がつくケースも多いため、相続人と連絡が取れないときは、相続問題に強い専門家に相談してみてください。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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