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■お役立ちコラム特集

2021/06/23

相続放棄の手続き方法|デメリットやかかる費用・期間まとめ

相続人が相続により引き継ぐのは、プラスの財産ばかりではありません。
故人が生前作った借金をはじめとする、負の遺産も一緒に相続することになってしまいます。
このような事態を回避する方法として、相続放棄が挙げられます。

本記事では、相続放棄の手続き方法や、放棄することにより生じるデメリット、費用、期間などについて解説します。

相続放棄の手続き方法


スムーズに相続放棄をするには、手続き方法を把握しておく必要があります。
相続放棄には手続きを行うべき期間が定められているため、滞りなく行わなければなりません。
以下、具体的な手続きのステップをまとめました。

必要な書類の収集


相続放棄の手続きを行ううえで、必要となる書類を集めなくてはなりません。
必要な書類は以下の通りです。

・故人の戸籍謄本
・故人の住民票もしくは戸籍の附票
・相続放棄の手続きをする本人の戸籍謄本
・相続放棄申述書
・収入印紙
・郵便切手

戸籍謄本や住民票などは、住所を登録している市区町村役場の窓口で申請できます。
収入印紙や切手は郵便局、コンビニなどで入手可能です。
相続放棄申述書は、最寄りの家庭裁判所へ足を運べば入手できるほか、裁判所の公式ホームページからダウンロードもできます。

どこへ提出するかの確認


相続放棄申述書は、必要事項を記入したのちに家庭裁判所へ提出します。
ただ、家庭裁判所ならどこでもよいわけではないため、注意が必要です。

亡くなった方が、最後に住所登録していた地域を管轄している家庭裁判所へ提出してください。
異なる家庭裁判所へ持ち込んでも、受理してもらえず二度手間になってしまいます。
裁判所の管轄区域については、インターネットで容易にリサーチできます。

申述書へ必要事項を記入する


家庭裁判所へ提出するための申述書に、必要事項を記入しましょう。
どこへ何を記入するか記載されているため、難しくはありません。
提出する裁判所名や作成年月日、申述人の氏名、住所などの情報を記入します。

被相続人の欄には、亡くなった人のことを記入しましょう。
本籍や最後の住所、氏名、死亡当時の職業などを記入します。
なお、裁判所から連絡がくる可能性があるため、申述人の電話番号は日中でも連絡のつく番号を記入してください。

申請書等を提出


相続放棄申述書のほか、住民票や戸籍謄本などの必要書類、郵便切手を裁判所へ提出します。
家庭裁判所が近所なら、直接出向いて窓口に提出できます。
郵送でも受理してもらえるため、都合のよい方法を選びましょう。

なお、郵送でしか受理していないケースもあるため注意が必要です。
このあたりは、裁判所によって対応が異なります。提出する家庭裁判所を確認したとき、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

照会書へ記入して返信


必要書類を提出すると、後日家庭裁判所から照会書が送られてきます。
裁判所からの質問状のようなもので、裁判官がさまざまな判断材料とするため送付します。

照会書が送られてきたら、質問内容へ目を通して回答を記入しましょう。記入し終わったら、家庭裁判所へ郵送します。
なお、回答の内容次第では相続放棄が難しくなる可能性もあるため、注意が必要です。不安な方は、専門家に相談しながら進めましょう。

相続放棄申述受理通知書が届く


相続放棄が認められると、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送られてきます。
照会書を返信して、7~10日前後が目安です。送られてきた通知書の内容を、きちんと確認しましょう。

家庭裁判所から通知書が送られてきた時点で、相続放棄は完了しています。
なお、一度の申請で受理され手続きが完了すれば問題ありませんが、却下されてしまうと問題です。却下されてしまった場合、それ以降再度手続きを行えないため、慎重に進めなければなりません。

相続放棄のデメリット


相続放棄を検討しているのなら、デメリットについても正しく理解しておきましょう。
主なデメリットとしては、放棄の撤回ができない、すべての遺産を相続できない、相続権が移動するなどが挙げられます。

放棄の撤回は不可


相続放棄をする方の多くは、故人が残した負の遺産を相続したくないからではないでしょうか。
また、それほど高価な遺産がないと考え、わざわざ相続手続きをすることが面倒くさいからと権利を放棄するケースもあります。

もし、故人が高額な遺産を残していたとしたら、どうでしょうか。
手続きは完了しているものの、やはり相続したい、と考えるのが人間というものです。
しかし、残念ながら手続きが完了してしまうと、撤回はできません。
仮に多額の遺産が残されていることを知らなかったとしても、撤回は不可です。

すべての遺産を相続できない


故人の借金は相続したくないけど、残された現金は相続したい、といったことができません。
手続きが完了すると、相続権を手放したことになるため、すべての遺産を相続できないのです。

相続放棄をするのなら、故人が残したすべての財産を相続しない覚悟が必要です。
後悔しないように、プラスとマイナスの遺産をすべて調査し、そのうえで相続権を放棄するかどうか考えましょう。

相続権が移動する


相続放棄の手続きをすると、相続権が移動します。本来相続権がなかった方も、相続人が権利を放棄することにより、相続権を得るのです。

では、これのいったいどこが問題なのでしょうか。
たとえば、あなたが相続を放棄し、別の親族に相続権が移動したとしましょう。
故人の遺産がプラスのものばかりならよいのですが、借金しかない場合、新たに相続権を得た方はどのように思うでしょうか。

つまり、相続権の移動により、親族間の関係性が悪くなってしまうおそれがあるのです。
今後の付き合い方にも関わってくるため、権利を放棄するのなら、あらかじめ関係者へしっかりと話しをしなくてはなりません。

相続放棄の期間


相続放棄は、決められた期間の中で行う必要があります。
被相続人が亡くなり、相続人が相続の発生を知った日を起点に3ヶ月以内の期間で手続きを行わねばなりません。

ただし、これには例外もあります。
たとえば、故人に借金がまったくないと信じていたにも関わらず、実際には多額の負債があった、といったケースです。
認められるかどうかはケースバイケースになるため、専門家に相談しながら手続きを進めましょう。

また、期間内に遺産の状況を明確に把握できなかった場合には、手続きの期間を延長できます。
その場合、事前に家庭裁判所へその旨を伝え申し立てをしなくてはなりません。

なお、期間内に適切な流れで手続きを行ったとしても、相続放棄が認められないケースもあるため注意が必要です。
たとえば、故人名義の資産を自分名義に変更する、財産を媒酌する、といった事実があった場合、相続放棄が認められなくなります。

さらに、プラスの遺産があるにも関わらず、それを隠して相続放棄をしようとするのはNGです。
このようなケースでも、相続放棄が認められないため注意してください。

必要な費用


まず、手続きを行うのに必要な書類の取得費用が発生します。
住民票なら1通あたり300~400円程度、戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円です。
ただし、役所により費用が多少異なることがあるため、注意が必要です。

裁判所での手続きに必要な費用としては、収入印紙代が挙げられます。
手続きを行う人につき800円かかります。また、郵送によるやり取りを行うための切手代がかかりますが、だいたい500~1,000円程度を見ておけばよいでしょう。

なお、手続きをすべて自身で行うのなら、上述した費用しかかかりません。
しかし、相続放棄の手続きは煩雑なうえ難しく、専門家へ依頼するケースがほとんどです。

弁護士や司法書士など、専門家へ手続きを依頼するのなら、その費用が発生することを覚えておきましょう。
30,000~100,000円前後が相場といわれていますが、依頼する専門家によって費用は大きく変動します。
あらかじめ、どの程度の費用になるのか、見積もりをしてもらうと安心です。

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まとめ


相続放棄の手続きには、期間が定められているため、正しい流れを把握したうえで進めることが大切です。
ここでお伝えした流れに従い、スムーズに手続きを進めましょう。

また、相続放棄の手続きは煩雑かつ難易度が高いため、個人で行うのは現実的ではありません。
一度却下されると、二度と手続きができなくなるため、専門家に相談しつつ進めることをおすすめします。




はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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