1. トップ
  2. コラム一覧
  3. ■お役立ちコラム特集
  4. 法定相続人とは?相続割合をわかりやすく解説

■お役立ちコラム特集

2021/06/23

法定相続人とは?相続割合をわかりやすく解説

被相続人が亡くなることにより相続が発生しますが、すべての血縁者が遺産を相続できるわけではありません。
すべての血縁者が相続権を有してしまうと、親族間で大きなトラブルに発展するおそれがあります。

それだけが理由ではありませんが、民法では相続に関して一定のルールを定めています。
法定相続人もそのひとつです。
本記事では、法定相続人の概要や相続権のある方、相続割合などをわかりやすく解説します。

法定相続人とは


民法では、私人間に関するさまざまなルールを定めています。
親族・相続に関するあらゆる法律が定められており、法定相続人についても記載されています。

民法で定めるところの法定相続人とは、被相続人から財産を相続できる権利を有する者を指します。
基本的に法定相続人は被相続人の血族となり、相続の優先順位も定められています。

なお、被相続人の財産を相続できるのは、何も法定相続人だけではありません。
被相続人が生前遺言書を作成していた場合には、法定相続人以外が遺産を受け継ぐこともあります。
遺言書が残されていないのなら、法定相続人による話し合いが行われ、どのように遺産を分割するかを決めます。

法定相続人の種類


民法により、法定相続人となれる人は決められています。
そのため、勝手に「自分が法定相続人である」と名乗ることはできません。
法定相続人となれるのは、被相続人の配偶者や子供、父母祖父母、兄弟姉妹などが挙げられます。

配偶者


民法890条では、被相続人の配偶者はいかなる場合でも相続人になると明記されています。
そのため、被相続人の配偶者は無条件で法定相続人として認められます。

なお、配偶者とは婚姻関係を結んだ人のことを指し、一般的には妻や夫を指します。
婚姻届を役所に提出し、法的な婚姻関係にある方が配偶者と呼ばれるのです。
つまり、内縁関係にあるようなケースでは認められません。法的に認められていることが大前提です。

子供


被相続人の直系卑属たる子供は、法定相続人に該当します。
配偶者を除けば、相続順位における第一位です。被相続人に子供がいるのなら、第一順位の相続人となりますが、すでに亡くなっており、なおかつ子供がいるのなら孫が相続人となります。

父母や祖父母


法定相続人の第二順位となるのは父母や祖父母などです。
被相続人の父母や祖父母などは、直系尊属となり、相続する権利を得ます。
あくまで、被相続人に子供や孫がいない場合に限り、直系尊属である父母や祖父母が相続人となることを覚えておきましょう。

では、父母と祖父母どちらも健在である場合には、どちらが法定相続人となるのでしょうか。
このようなケースでは、基本的に親等の近いものが優先されるため、父母に相続権が与えられます。

兄弟姉妹


傍系血族である兄弟姉妹は、第三順位の法定相続人です。
兄弟姉妹のほかには、甥や姪、叔父、叔母などが該当します。
兄弟姉妹がこの世を去っており、なおかつ甥と姪が健在であるのなら、相続権は甥もしくは姪に移動します。

遺産を受け取れる割合


本記事をお読みになっている方の多くは、相続が発生している、もしくは遠くない将来そのような事態が発生すると考えている方ではないでしょうか。
そのような方にとって、遺産を受け取れる割合はもっとも気になるところでしょう。

法律により、法定相続人が受け取れる遺産の割合は決められています。
ただ、被相続人の遺言書がある場合や、遺産分割協議において方針が定まっているのなら、法定相続分通りに相続する必要はありません。

配偶者と子供がいるケースでは、それぞれ1/2の割合で相続します。
配偶者と父母がいる場合には、配偶者が2/3、父母は1/3です。
配偶者と兄弟姉妹がいるケースにおいては、配偶者が3/4、兄弟姉妹は1/4の取り分となります。

遺留分とは


遺留分は、法定相続人が一定の財産を相続できる権利です。
配偶者や直系卑属、直系尊属に権利が与えられています。

基本的に、相続では被相続人の意思が尊重されます。
遺言書の効力が強いのも、そうした理由です。
ただ、それでは被相続人の意思次第で、残された家族が遺産をいっさい手にできないおそれもあるため、遺留分を設定しているのです。

たとえば、被相続人が遺産をすべて知人に譲る、自治体へ寄付すると遺言書へ明記してあったとするとどうでしょう。
遺留分がなければ、すべての遺産が知人や自治体へわたってしまいます。
こうした事態を回避するため、遺留分が設けられています。

相続人と認められないケース


法律上は法定相続人となれる方であっても、認められないケースがあります。
欠格事由に該当している、相続放棄をしている、相続権をはく奪されている、そもそも権利がないなどが代表的です。
詳しく見ていきましょう。

欠格事由への該当


民法では、欠格事由に該当する者は相続人になれないと定めています。
たとえば、自身が遺産を相続するために、順位の高い者を故意に死なせた、といったケースでは相続人として認められません。
また、死に至らせなかったとしても、それを理由に刑罰を受けた者も除外されます。

被相続人の遺言内容が自分に利がないからと、無理やり撤回や変更を要求したような場合にも、欠格事由に該当します。遺言書の偽造や破棄、隠匿も同様に相続人として認められません。

相続放棄


被相続人の遺産は、法定相続人だからといって必ずしも相続しなくてはならないわけではありません。
相続放棄の手続きを行うことで、最初から相続人ではなかったとみなされ、相続権を失います。

相続権を放棄する理由は多々考えられますが、よくあるのは負債が多いケースです。
遺産にはマイナスの財産も含まれるため、これらも一緒に受け継いでしまいます。
このようなケースにおいて、借金を引き継ぎたくないからと相続放棄をすることは珍しくありません。

相続権のはく奪


相続権は、被相続人の訴えによりはく奪されることがあります。
将来相続人となる者が、被相続人に対して虐待や侮辱を行った、著しい非行行為があった、といった場合には、所定の手続きを行うことで相続人となる者の相続権をはく奪できるのです。

被相続人により相続権のはく奪が行われることを、相続廃除と呼びます。
被相続人は、生前に家庭裁判所へ請求を行い、訴えが認められると推定相続人は権利を失います。

そもそも相続権がない


そもそも相続権を有さない者は、相続人として認められません。
親族であっても、法定相続人に該当しない、相続人の範囲に含まれないような者は、被相続人の遺産を受け継げないのです。

たとえば、内縁の妻や夫は、どれほど生前被相続人と親密であったとしても、相続権を得られません。
離婚した元配偶者や養子縁組をしていない配偶者の連れ子も同様です。
もちろん、被相続人の遺言書に遺産を譲る旨が記載されていた場合には、話しが変わってきます。

法定相続人を把握するには


相続が発生すれば、誰が相続人となるのかを明確にしなければなりません。
遺言もない場合には、法定相続人で遺産分割協議も行う必要があるため、まずは法定相続人を把握する必要があります。

具体的には、被相続人の戸籍謄本を取り寄せ、記載されている内容を確認します。
被相続人出生時の戸籍謄本まで取得する必要があるため、それなりの労力が必要であることは覚悟しましょう。

戸籍謄本は、市区町村役場の窓口でも申請できますが、郵送でも可能です。
ただ、先述したように、被相続人の戸籍謄本は出生時までさかのぼって取得する必要があるため、かなりの労力と時間を要します。

行政書士や司法書士など、法律の専門家へ依頼すれば、戸籍謄本の取得を代行してくれます。
費用はかかりますが、忙しく時間のない方は専門家への依頼も検討してみましょう。

まとめ


法定相続人は、民法で定められた相続権を有する者たちのことで、被相続人の配偶者や直系卑属、直系尊属などが該当します。
遺産を受け取れる割合も変わってくるため、事前にきちんと把握しておきましょう。

相続に関する手続きや申請は、煩雑で時間と手間がかかります。必要に応じて、専門家への相談、依頼を検討するのもおすすめです。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

この記事の関連記事

ゴルフ会員権の相続税評価の方法と相続の流れ

ゴルフが好きだった方の財産を相続した際によくあるのが、財産を…

ゴルフが好きだった方の財産を相続した際によくあるのが、財産を…

相続税の速算表の使い方|計算シミュレーションが簡単にできる

自分が支払うことになる相続税がどのくらいなのか、具体的な金額…

自分が支払うことになる相続税がどのくらいなのか、具体的な金額…

相続税の延納はデメリットに注意!条件や手続きの方法まとめ

遺産相続で相続税を払わないといけないけれど手元にお金がない、…

遺産相続で相続税を払わないといけないけれど手元にお金がない、…

相続人不存在の遺産の行方―手続きの流れと登記の方法

親兄弟など親族のような近しい人々がいない場合に、相続人がいな…

親兄弟など親族のような近しい人々がいない場合に、相続人がいな…

相続人の範囲はどこまで?配偶者や子供がいないと誰が相続する?

被相続人が死亡された際には、相続税の申告を実施しなければなり…

被相続人が死亡された際には、相続税の申告を実施しなければなり…

相続税の納付期限はいつまで?超過するとどうなるの?

大切な人が亡くなり葬儀が終わった後、相続について遺族同士で話…

大切な人が亡くなり葬儀が終わった後、相続について遺族同士で話…

相続税の2割加算とは?なぜなのか知らないと損をするかも

被相続人の遺産を相続する際、相続人の中には相続税が2割加算さ…

被相続人の遺産を相続する際、相続人の中には相続税が2割加算さ…

遺産にかかる税金はいくら?計算方法や税金対策の基本を学ぶ

遺産を相続したら、いくら相続税がかかるか考えたことはあるでし…

遺産を相続したら、いくら相続税がかかるか考えたことはあるでし…

人気記事ランキング

不動産相続登記が義務化されました

今回は土地家屋調査士ウエムラ事務所代表、上村洋充さんに令和6…

女性に寄り添う相続専門税理士が教える、相続発生前にできること

今回は、久保順子税理士事務所代表の久保順子さんに「女性に寄…

元国税調査官の税理士が教える!税務調査対策のポイント!

今回は、元国税調査官である稲川善文税理士事務所代表の稲川善文…

まずは話してみることから。アットホームな相続事務所

今回は司法書士・行政書士菅井事務所、菅井之央さんにお話しを伺…

若手税理士の視点でみる「相続」

今回は新宿税理士事務所代表、坂根崇真さんにお話しを伺ってきま…

札幌遺産相続手続き専門代行所について教えてください!

今回は札幌遺産相続手続き専門代行所(行政書士 千田 大輔 行…

不動産に強い税理士が教える生前対策について

今回は渡邉優税理士事務所代表、渡邉優さんにお話を聞いてきまし…

こんなことまでできるんです! 相続手続き代行の専門家に依頼できることとは!?

今回は遺産相続手続まごころ代行センター代表、嶋田裕志さんにお…

負債物件はどうすればいいの?

今回は、株式会社ファースト不動産鑑定代表、古家一郎さんにお話…

元国税OB税理士の目線で見極める、いい税理士の見分け方

今回は新百合ヶ丘相続税理士事務所【しんゆり相続・しんゆり相続…

人気記事ランキング

相続簡単資料ダウンロードはこちらから