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2021/06/24
株の相続方法|相続が発生したときの手続きと税金対策
預貯金などと違って株は、評価方法やどの程度保有しているのかがわかりにくいので、戸惑うことが多いかもしれません。
そこでこの記事では、株を相続するまでの流れ、相続における株の評価方法、相続の手続き方法、節税対策についてご紹介します。
株を相続するまでのおおまかな流れ
はじめに、株を相続するまでのおおまかな流れについて把握しておきましょう。
相続人を調べる
相続が発生した際は、まず相続人の人数を調べることから始めます。
被相続人の戸籍を全て調べて誰が相続の対象なのかを確定する必要があります。
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内で、期限内に申告をしないとペナルティが課せられます。
よって、遺産分割の途中で新たに相続人がいたことが判明すると、余計に時間がかかり申告期限に間に合わないこともあり得ます。
しっかりと相続人を洗い出しておきましょう。
遺言書の内容を確認
遺言は、被相続人が生前に残した意思表示であるため、遺言書に記載されている内容は優先されます。
相続の分配などが具体的に指定されている場合は、基本的にその内容に沿って遺産分割を行います。
しかし、全ての相続人が遺言の内容に納得できない場合は、相続人全員で話し合ったうえ、相続人同士が決めた内容で遺産分割を行うことも可能です。
相続財産を調査
株をはじめとした相続財産の調査を行います。
もし上場株式を保有していることがわかっている場合は、証券会社や信託銀行へ問い合わせ、保有している株の情報が記載されている「取引残高証明書」の発行を請求して調べます。
取引残高証明書の発行の請求時には、被相続人の法定相続人であることを証明する必要があるので、戸籍謄本や請求者の印鑑証明書などが必要です。
非上場株式の場合は、被相続人が生前に要職についていた企業の株式を保有している可能性があるので、問い合わせてみるのがよいでしょう。
相続放棄をするかどうか決める
相続が開始されてから3ヶ月以内であれば、相続放棄をすることも可能です。
特別な事情を除き原則、3ヶ月を過ぎると相続放棄ができないので、期限内に相続するかどうかを決める必要があります。
特に、相続財産の中に非上場株式が合った場合、問題となるケースも多く相続放棄を検討する人も少なくありません。
非上場株式は、市場価格がついてなく価格が不明瞭なので、もし算定した結果、価格が高かったら高額な相続税が課税される可能性があります。
また、価格が高くても相続税を上回る金額で売却できればよいですが、非上場株式は買い手がつきにくいため、単に相続税を納付するだけでメリットが得られない恐れがあります。
このようなことが起こり得るため、相続放棄をすることもできます。
ただし、相続放棄を選択したら株だけではく預貯金や不動産など、他のプラスの財産も放棄することになるので、慎重に決めるようにしましょう。
遺産分割をする
相続が開始され相続財産の中に株がある場合、その株は「相続人全員で共有している状態」として考えられています。
そのため、遺産分割をして誰がどの程度相続するのかを確定しなければ、株を売却することはできません。遺産分割協議をしたのち名義変更をすることになります。
もし遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行い、調停員や裁判官を通じて話し合いが行われます。
相続における株の評価方法
株の評価額が明確になっていなければ、遺産分割協議を進められません。
預貯金のような価値がわかっているものであれば、遺産分割がしやすいですが、株の場合は株価が変動するので、価値をどのように評価すればよいのかわからないという人もいるかと思います。そこでここでは、株の評価方法について解説します。
上場株式の評価方法
上場株式の評価には「終値」が用いられ、以下の中で最も低い金額を評価額として採用することができます。
・ 相続が開始された日の終値
・ 相続が開始された月の全営業日の終値の平均
・ 相続が開始された日の前月の全営業日の終値の平均
・ 相続が開始された日の前々月の全営業日の終値の平均
相続が開始された日が証券取引所の営業日でなかった場合、相続開始日の前後で最も近い営業日の終値を「相続が開始された日の終値」とします。なお、月ごとの終値の平均は、取引残高証明書で確認できます。
非上場株式の評価方法
非上場株式の評価方法は、経営権の有無や会社の規模によって異なります。
大会社の場合は、類似している業種の複数の上場企業の株価の平均値を参考にして評価額を決めます。
小会社の場合は、相続が開始された日に評価対象の会社が解散したと仮定し、株主に戻ってくる1株あたりの評価額はいくらになるのか、という考え方で計算します。
中会社の場合は、大会社と小会社の評価方法を併用して評価額を求めます。
非上場株式の評価は非常にややこしいので、税理士に相談したほうがよいでしょう。
株の相続手続き方法
遺産分割協議で相続分が確定したら、株の名義変更をします。ここでは、株の相続手続きの方法について見ていきます。
上場株式の相続手続き
上場株式の相続の場合は、被相続人の口座があった証券会社に対し、以下の流れで手続きを行います。
証券口座を開設する
株の名義変更をする際は、被相続人と同じ証券会社の口座が必要なので、まずは自身の証券口座を開設します。
もしすでに被相続人と同じ証券会社に口座を持っている場合は、新たに口座を作る必要はありません。
なお、別の証券会社に相続人の口座があったとしても、そこに移管することはできません。
必要書類を集める
必要な書類は証券会社によって若干異なりますが、一般的に以下の書類の提出を求められます。
・ 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍全て
・ 全ての相続人の戸籍謄本
・ 全ての相続人の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
・ 全ての相続人の住民票
・ 遺産分割協議書
・ 遺言書(ある場合)
・ 株券(発行されている場合)
・ 各証券会社の所定の届出書
証券会社に書類を提出する
必要書類一式を証券会社に提出します。
郵送で提出することも可能ですが、書類に不備があると受理されません。
そのため、必要書類が合っているか不安な場合は、証券会社の窓口に出向いて提出するのがよいでしょう。
窓口では、書類の書き方を確認・指導してくれるほか、不足の書類が合った際はその場で指摘してくれるので、手続きを確実に進められます。
口座に移管されたら完了
書類が受理されたら、手続きをした日からおよそ2〜3週間後に、指定した証券口座に株が移管されます。
相続人の口座に移管されてからは、株を保有したままでも売却しても構いません。
非上場株式の相続手続き
非上場株式の相続手続きは、証券会社では管理していないので、非上場株式発行会社に問い合わせて相続手続きを行います。
上場株式の相続手続きの場合と同じような書類一式の提出が求められます。
株の相続の節税対策
相続税の税額は、相続時の財産総額によって決まるので、株の相続税評価額が高ければその分、相続税は高くなります。
そのため、すでに株価の値上がりが見られる、今後の株価の値上がりの確固たる根拠がある場合、早めに贈与しておくことで相続税の節税につながります。
上場株式を贈与する場合、評価額として適用されるは、以下の中で最も低い金額です。
・ 贈与した日の終値
・ 贈与した月の終値の平均
・ 贈与した月の前月の終値の平均
・ 贈与した月の前々月の終値の平均
まとめ
株を相続した場合、まず相続人を調べることから始め、相続開始から10ヶ月以内に遺産分割を終えて相続税の申告をしなければなりません。
相続した株が上場株式か非上場株式かで評価方法や相続手続き方法が異なるので、間違えないように気をつけてください。
また、株の相続において相続税額をできるだけ軽減したい場合は、生前贈与をするのも1つの方法です。
将来値上がりが期待できる株を早めに贈与すれば、相続税を節税できる可能性があります。
株の相続はわかりにくいことも多いので、不安な場合は専門家に相談するとよいでしょう。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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