■お役立ちコラム特集
2021/06/25
相続するのに税理士は必要か?依頼したほうがよいケースと報酬目安
相続税の手続きは自身で可能なのか、それとも税理士にお願いしたほうがよいのか悩まれている方も少なくないでしょう。
本記事では、以上の悩みを抱えている方に向けて、税理士に依頼する基準やメリット、税理士への報酬の目安について詳しく解説します。
ぜひ相続に関して税理士を利用するか迷っている方はこの記事を参考にしてください。
相続税の申告は自身でできるのか?5つの基準を紹介
相続税の手続きは複雑でない場合、自身でおこなうことも可能です。
ここでは、相続税を申告するときに自身で行うか、税理士に依頼するか、判断する基準について詳しく紹介します。
もしも迷いが生じた場合は、税理士にお願いするほうがリスクは低いためおすすめです。
法定相続人の数
法定相続人が1人である場合、相続税の手続きを自身でおこなってもそれほど問題はないです。
一方、法定相続人が2人以上の場合は税理士にお願いすることがおすすめです。
法定相続人が2人以上の場合、関係者一同で遺産の分割に関して話し合いをする必要があります。
そして、遺産分割協議書を作る必要もあります。
ただし、遺言書がある場合は作成する必要はないです。
たとえば、法定相続人の1人が相続税の手続きを自身でおこなった場合、ほかの法定相続人から「隠ぺいしているのではないか」と怪しまれてしまうこともあります。
一方、法定相続人が1人の場合は、遺産分割協議書の作成が不要で、遺産の分割する割合や分配する方法で揉めることもないです。
遺産の合計額
相続する遺産が1億円を超える場合、相続税は100万円単位で変化します。
遺産の合計額が5,000万円以下であれば相続税の手続きを自身でおこなっても悪くはないですが、5,000万円を超える場合は税理士に依頼することがおすすめです。
相続税は税率10%から55%までの累進課税制度が採用されているため、課税が大きいほど税率も高くなる傾向があります。
たとえば、相続する遺産が1億円を超えている方が手続きを誤ってしまった場合、加算税や追徴税が課され、通常の場合と比較して多くの税金を払う必要があります。
加算税とは、通常より少ない税金を納めた場合に課される税金のことです。
本来の納税すべき額に10%から15%程度が加算されます。
また追徴税とは、本来の税額が明確となったときに、その税額になるように追加として課される税金のことです。
以上から、過少申告すると処罰が大きくなり、過大申告すると税金を多く納めることが必要となってしまいます。
余計な課税をなくすためにも、遺産の合計額が大きい場合は税理士に依頼したほうがよいでしょう。
土地が遺産に含まれているか
遺産に土地が含まれているかは重要なポイントです。
土地が遺産に含まれている場合、税理士に依頼することがおすすめです。
相続税の手続きにおいて、土地の評価は非常に難しいことが理由として挙げられます。
税理士にお願いしたとしても知識や経験によって、土地の評価額が変わることもあるほどです。
土地を評価するには、土地の形状や周りの環境といったさまざまな要素から査定する必要があります。
土地の所在する場所によって評価方法も「路線価方式」と「倍率方式」が存在します。
また、土地が複数あったり、土地の価格が高いと感じたりする場合は、相続の手続きを誤ってしまうと税金を多く払ってしまう可能性もあります。
したがって、遺産に土地がある場合には、税理士にお願いして正確な評価をしてもらうことが推奨されます。
各種控除や特例を適用する場合
控除や特例を適用しない場合は相続税の手続きを自身でおこなってもよいでしょう。
一方、控除や特例を適用することで、できる限り節税をしたい場合は税理士に依頼することがおすすめです。
たとえば、配偶者控除を適用すれば、配偶者は1.6億円まで税金がかかりません。
ほかにも、小規模宅地などの特例を適用すれば、土地の査定額を80%減らすことが可能です。
ただし、これらを適用して相続税を払う必要性がなくなったとしても、相続税の手続きはしなければなりません。
したがって、控除や特例を適用することによって、相続税申告書の作成が複雑になる可能性があります。
また、適用条件を明確に把握しておく必要もあります。誤って過少申告してしまった場合、加算税などの処罰が課されます。
一方、控除などを適用しないで過大申告してしまうと税金を多く払ってしまう可能性もあるでしょう。
生前贈与された財産の有無
被相続人から生前贈与された財産がない場合は、相続税の手続きを自身でおこなっても悪くはないでしょう。
一方、生前贈与された財産がある場合には税理士に依頼することがおすすめです。
相続税には、生前贈与加算制度が存在します。
相続を開始する前の3年以内の生前に贈与された財産については、相続税として課税されます。
たとえば、毎年110万円以内の生前贈与をおこなっていた場合でも、相続が開始される3年以内であれば、相続税として課税されてしまうでしょう。
また、相続時清算課税制度を使用した場合も相続する財産として課税価格に含める必要があります。
したがって、生前贈与加算制度や相続時清算課税制度の観点からも、相続税申告書の作成が複雑になる可能性があるため、税理士に依頼することが推奨されます。
税理士に依頼する3つのメリット
これまでにも説明したように自身で相続税を申告するにはさまざまな要素を考慮する必要があり、難易度が高い場合が多いです。
ここからは税理士に依頼するメリットについて詳しく紹介します。
適切な節税対策ができる
相続税の手続きでは、控除や特例などの制度を利用することで相続税を節税することができます。
これらの制度は条件や内容が難しいです。
そのため、税理士に依頼したほうが、適切で容易に利用することができます。
また、控除などの制度を利用しないことにより、多く払ってしまった税金は、一定の期間が開いてしまうと返還してもらえないので注意が必要です。
正確な税額の算定ができる
相続する財産に土地が含まれる場合などには、相続税の計算が複雑になります。
また、資産が多いほど、金額も大きくなるため、誤りが発生しやすいです。
たとえ相続税を多く払っていたとしても、払い過ぎていると忠告されることはありません。
一方、相続税の支払いが本来よりも少ない場合には追加徴税となる場合が多いでしょう。
したがって、税理士にお願いすることで、正確な税額の計算をしてもらいましょう。
手間が省ける・心の余裕が生まれる
相続税の手続きには手間のかかる作業が多いです。
また、相続税の申告以外の手続きもする必要があります。自身で相続税の手続きをする場合に必要な作業の時間は2週間程度です。
したがって、税理士にお願いすれば、手続きの手間をほとんど省くことが可能です。
また時間がかからずに済むため、心の余裕も生まれるでしょう。
税理士に依頼する際の費用の相場
相続に関して税理士に依頼する際には、報酬を支払う必要があります。
一般的に、基本報酬に加えて、相続人の数などによって変化する加算金を足して報酬を算出します。
また、相続の大きさによって、報酬の設定が異なる事務所が多いです。
目安としての税理士への報酬は遺産の合計額の0.5%から1.0%程度です。
たとえば、遺産の合計額が1億円の場合、相続税の手続きをお願いする税理士への報酬は100万円程度となります。
したがって、自身で相続税の手続きをする場合、税理士への報酬を削減することができる大きなメリットがあるといえます。
税理士に依頼するほうが得策
相続税申告の手間やリスクなどを考慮すると、税理士にお願いしたほうが得策といえるでしょう。
しかし、税理士に依頼する場合の報酬は安くはありません。
この記事で解説した税理士に依頼するかどうかの判断基準と照らし合わせて、自分でもできるという自信があると感じた場合は、自力で相続税の手続きをしてもよいでしょう。
しかし、少しでも迷いが生じた場合には、税理士にお願いすることが推奨されます。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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