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■お役立ちコラム特集

2021/06/25

未支給年金は相続の対象外!受給できる人と請求する方法

未支給年金とは、誰がいつ受給できる年金なのでしょうか。
年金をもらっている人が死去したときに請求できるものですが、相続の対象外となります。
受給できる人と、未支給年金の請求方法を知っておきましょう。
今回は、未支給年金について解説します。

年金支給対象者が亡くなったとき遺族が受け取れる年金とは


年金支給対象者が亡くなると、遺族は3種類の年金を受け取れます。
受け取りできる年金の種類と、未支給年金とは何なのかを見ていきましょう。

遺族基礎年金


遺族基礎年金は、国民年金加入者で対象要件を満たしている者が亡くなったときに適用される遺族年金です。
令和3年4月以降、年額78万900円が支給されることとなっています。

支給対象者は、死亡した者によって生計が維持されていた配偶者あるいは子です。
子の定義は18歳の3月31日を経過していない者、または20歳未満で障害等級1・2級が該当します。

子どもがいる場合は加算があり、第1・2子はそれぞれ22万4700円、第3子以降はそれぞれ7万4900円の加算です。

遺族厚生年金


遺族厚生年金は、亡くなった年金支給対象者が厚生年金に加入していたときに支給されます。
遺族基礎年金よりも、対象者が広いことが特徴です。

支給対象者によって生計が維持されていた妻・子・孫・55歳以上の父母・祖父母が対象となります。
夫の場合は、遺族基礎年金を受け取っている場合に限り、遺族厚生年金の対象です。

子のいない妻は5年間の限定給付となるなど制限はありますが、遺族基礎年金に加えて請求できます。

未支給年金


未支給年金は本来死亡した年金受給者が受け取るべき年金で、まだ支給されていないものを指します。
この未支給年金は、一定の条件を満たすと遺族が支給できるものです。

なぜ支給されていない年金が発生するかというと、本人が生きている間は年金が発生するためです。
年金は2カ月分がまとめて支給される仕組みのため、受け取りの月には前月分までの年金が支給されています。

たとえば9月中旬に死去した場合、8月15日に支給された年金は6月・7月分です。
8月・9月は受給対象者が生きているため、2カ月分が未支給年金となり遺族が請求できます。
なお同じ月の間であれば、1日でも末日でもその月までの分が受け取りの対象です。

未支給年金は相続の対象外となる


未支給年金は相続財産ではなく、あくまでも年金です。
本来年金受給者が生きているうちに受け取れるはずだったものを遺族が受け取るだけで、財産にはなりません。

相続を放棄しても未支給年金は受け取れる


未支給年金は相続の対象外となり、相続の有無とは無関係に請求できます。
もし何らかの事情で家や相続財産を受け取らず、放棄した場合でも問題はありません。

未支給年金だけでなく、遺族年金を含む年金は相続財産にはなりません。
遺族のプラスとなる相続財産がないとしても、年金の受け取り手続きはしておきましょう。

未支給年金は相続税の対象外


未支給年金は相続財産ではないため、相続税の対象外です。
受け取ったからといって相続税の支払いを求められるものではありません。
年金受給者が受け取るのと同じように、非課税で受け取りできます。

年金受給対象者が亡くなったとき年金以外に遺族に残すものがなければ、相続税の心配はありません。

未支給年金を受給できる人とは


遺族年金を受給できる対象者は基礎年金と厚生年金で変化しますが、同じように受給対象者が決まっています。
どのようなルールがあるのか、詳細を見ていきましょう。

年金支給対象者と同一生計にあった者


年金を受け取れるのは、受給者と同一生計にあった者です。
具体的には、配偶者・子・母・父・孫・祖父母・3親等以内の身内に限られます。

同一生計であっても婚姻関係がない場合や、遠い親戚などの場合は受け取りができません。

未支給年金を受け取れるのは対象者のうち1人


未支給年金および遺族年金が支給されるのは、1人と決まっています。
遺族年金の場合は子どもの加算がありますが、未支給年金は年金受給者が受け取るはずだった年金を代わりに受け取ることになり、加算はありません。

受給の順位も決まっており、配偶者が優先されます。
次に子どもが受給対象となり、父母・孫・祖父母・それ以外の対象親族と続きます。
たとえば、妻が請求する場合、それ以下の順位の対象者は受給資格がなくなる仕組みです。

未支給年金の請求方法と提出書類


未支給年金はどのようにして請求するのでしょうか。
具体的な請求方法を知っておきましょう。書類提出時の注意点も解説します。

提出書類は死亡届と未支給年金請求の届出


未支給年金の請求をする場合、まずは提出書類を準備しましょう。
受給権者死亡届を記入し、年金受給者が死亡した事実を報告します。
添付書類として、年金を受給していた本人の年金証書と、死亡したことが分かる戸籍謄本や死亡診断書が必要です。

未支給年金の請求の届出を行うには、未支給年金・未支払給付金請求書を提出します。
添付書類として、年金受給者の年金証書と亡くなった本人と請求者の続柄を確認するための戸籍謄本などが求められます。
そのほか、同一生計であることを示す住民票や、年金を受け取るための通帳(あるいはキャッシュカードなど)も準備しておきましょう。

亡くなった本人と請求者が別世帯であっても同一生計であれば受給の対象者になりますが、生計が同一であることを示す書類が必要です。
ねんきんダイヤルに連絡し、手続きの方法を確認しましょう。

書類は年金事務所に提出する


書類の提出は、年金事務所または年金相談センターに持参します。
事情によって提出書類が増えることもあるため、事前にねんきんダイヤルや年金事務所に問い合わせておくとスムーズです。

最寄りの年金事務所は、日本年金機構のホームページでも確認できます。
基本的に平日の日中が受付時間となっており、事務所では土日の提出ができません。
書類の郵送も受け付けているため、時間が取れない場合は電話などで相談の上、対象の事務所へ送りましょう。

提出時の注意点


未支給年金の請求だけでなく、死亡した年金受給者の支給を止めるためにも手続きが必要です。

原則、死亡から10日程度での手続きが求められます。
親族が亡くなった場合、遺族はさまざまな手続きに追われることとなりますが、早めの手続きを心がけましょう。

もし手続きが遅れた場合、本来もらうはずではなかった分の年金が振り込まれてしまいます。
必要以上に支給されてしまうと、返金が必要です。

誤って使ってしまうなどのトラブルが起きないよう、停止の手続きをしておきましょう。
そのほか、亡くなった年金受給者の年金振込口座を早めに解約しておくと、誤って入金される心配がありません。

また、未支給年金は相続税の対象とはなりませんが、一時所得と見なされます。
未支給年金を含めて一時所得が50万円以下の場合は問題ありませんが、金額によっては確定申告が必要になります。

まとめ

未支給年金は相続の対象外となり、相続放棄した遺族でも受け取りができます。
遺族年金とは対象者がやや異なるため、支給対象になるか確認しておきましょう。
手続きはそれほど難しくありません。

受給対象となった場合は、年金を停止するための手続きと合わせて早めに年金事務所へ必要書類を提出しましょう。




はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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