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■お役立ちコラム特集

2021/06/25

相続税申告と必要書類 控除・特例によって変わる必要書類を紹介

相続税とは被相続人の遺産を相続や遺贈で受け継ぐときに遺産総額が3000万円+600万円×相続人数の基礎控除額を超える場合にかかる税金のことで、こちらに該当する場合は相続税の申告をしなければなりません。

しかしさまざまな控除や特例もありますので、それに応じて必要書類が変わってきます。
今回は控除や特例に応じて変わる必要書類をご紹介します。

相続税申告に必要な書類


相続税は、「相続があったことを知った日(被相続人が死亡したことを知った日)の翌日から10ヶ月以内」に(被相続人の最後の住所地管轄税務署)へ申告し(郵送可)納税しなければなりません。
添付書類が完備できなくても、延滞税等のペナルティを回避するため一応申告書だけは提出し不足の書類は後日提出する旨を記載します。

相続税の申告で最も煩わしいのは添付書類の収集です。
控除や特例に応じて必要書類が変わり手間がかかるので、またたく間に時間が経過して申告期限に間に合わないことにもなりかねません。

相続税申告に必要な書類の種類


相続税申告に必要な書類=税務署に提出する書類(国税庁のホームページに記載されている書類)と、税務署に提出は必須ではないけれど相続税額の計算に必要な預金通帳などの書類があります。
これらはなにかあったときに申請内容を証明するのに必要なものなので、必須でなくても手元に用意するようにしましょう。

税務署に提出する書類


イ、 被相続人と相続人の情報=すべての場合に提出する書類。被相続人の戸籍や相続人数などを証明する書類で戸籍謄本や住民票等です。

ロ、 特例や控除が受けられることを証明する書類=小規模宅地等の特例などを受ける場合に必要になります。

ハ、相続財産の情報=その他相続税申告書の根拠になる資料の提出を税務署から要請されることがあります。

税務署に提出しない書類


被相続人が所有していた不動産に関する情報を調べるのに便利なのが「名寄帳」です。
また、二世帯住宅や建物の一室を賃貸している場合などは売買契約書や間取り図が必要になりますし、被相続人の生命保険証券で保険の内容や受取人を確認できますので、それらも必要に応じて用意します。


相続税申告が必要な場合の必要書類5分類


相続税申告が必要な場合、相続人の全員が必要となるものと申請内容に応じて必要となる書類があります。
こちらを分類して紹介していきます。

【必須】相続人のマイナンバーに関する書類


相続税の申告書にはマイナンバー(個人番号)を記載します。
したがって記載したマイナンバーが正しいことを証明する「相続人のマイナンバー」に関する添付書類が必要になります。

マイナンバーに関する書類は
①マイナンバー(12桁)を確認できる証明する書類(通知カードなど)
②マイナンバーの持ち主であることを証明する書類(免許証など)
の2種類が必要です。

ただし、マイナンバーカードを持っている場合は、それだけでマイナンバーと身元確認が可能なのでマイナンバーカードの写しだけを添付します。
税務署の窓口で相続税の申告書を提出する場合は、自身の本人確認書類の写しは添付せずその場で提示するだけで構いません。

【必須】「相続人の関係性」を明らかにする添付書類


① 被相続人から見て本来の相続人が誰かを明らかにし、他に相続人がいないことを証明するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の写しを被相続人の最後の本籍地を管轄する市区町村役場から、戸籍謄本に記載された転籍事項を参照しつつ順にたどっていく必要があります。
② 相続人全員の現在の戸籍謄本を揃えます。
現在の戸籍謄本とは最新の戸籍謄本ですので、現在の本籍地で手続きをします。
③ 戸籍一式と同義の「法定相続一覧図」の写し
不動産の名義変更=相続登記や金融機関における相続手続が必要なときは法務局で「法定相続情報証明制度」(戸籍に基づき法定相続人が誰かを登記官が証明する制度)を利用して法務局で「法定相続情報一覧表の写し」をもらい添付します。

【必須】財産の「分け方」に関する添付書類


被相続人の最終意思を尊重し遺言の内容に沿って遺産を分割するため、遺言書を添付します。
遺言書がない、または遺言書とは異なる分け方をする場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、合意した内容を遺産分割協議書に記載します。
なお法定相続分で分割するときは、遺産分割協議書の作成・添付の必要はありません。

①遺言書または遺産分割協議書
自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認が必要ですが、公正証書遺言であれば検認は必要ありません。
遺産分割協議書は定められた書式はないため、財産の内容が特定できて誰がどの財産を引き継ぐのかが明確に記載されていれば問題ありません。

ただし、遺産分割協議には相続人全員が参加することが必須であり、遺産分割協議書を作成した後には必ず相続人全員の自署と実印の押印が必要です。
遺産分割協議書に押印した実印の印鑑証明の原本の添付が必要となります。

印鑑証明は、相続人が住んでいる市区町村に届けている印鑑で印鑑登録カードに登録された印鑑です。
登録していないときは速やかに登録する必要があります。
遺言書がある場合や、相続人が1人の場合には印鑑証明書の添付は必要ありませんが、相続税を減額する特例の適用を受ける場合には添付が求められます。

②相続税の申告期限までに財産の分割内容が決まらなかった場合には「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付する必要があります。
未分割の財産を申告書の提出期限から3年以内に分割し、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例の適用を受ける意向である旨を明記しておく書類です。

財産の内容に応じて残高・評価に関する添付書類


財産がどれくらいあるかを申告するため、評価額の根拠となった資料をすべて添付し債務がある場合は債務に関する書類も添付します。

➀不動産以外の財産がある場合は財産の内容を証明するため次の表に基づく書類を添付します。
預貯金、有価証券・保険・退職金などです。
預貯金は通帳の記帳から残高が明らかな場合を除き金融機関で取得した残高証明書を添付します。

保険や退職金は、支払額が確定した時点で手続きして送られる支払調書や解約返戻金証明書を添付します。

有価証券は、証券会社から保有状況を取り寄せ評価額を計算して求め、その根拠となる書類とともに添付書します。
これらはすべて写しで構いません。

②不動産の評価内容を証明する書類=不動産がある場合評価するため集めた書類を評価の根拠として添付します。
法務局や市区町村役場で集めます。添付する書類は写しで構いません。




被相続人の借金など負債がある場合は債務内容・金額を証する書類の添付が必要



債務、未払税金、葬儀費用、死亡日委後の医療費分は相続財産から差し引くことができます。

葬儀費用は領収書がないものもありますが、手書きでも構いません。
寺社の名称、支払日等をメモに残し添付します。
こちらは通夜と葬儀にのみ適用され、その後の49日法要などの経費に関しては適用されませんので注意が必要です。

負債に関する書類の例




「相続税の特例の適用」に関する添付書類


配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用して相続税を減額できる場合があり、この特例を利用するときは申告書に記載して、その条件を満たすことを証する書類を添付します。
特例の適用により相続税がゼロになることもありますが、その場合でも相続税申告が必要となる条件を満たしていれば申告しなければなりません。
特例は配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、贈与税額控除以外にもあり、適用する特例に応じて添付書類が異なります。
これらの書類は写しで構いません。
特例の適用




まとめ


相続税の申告はとても複雑で沢山の種類があり、それに合わせた各書類を用意する必要があります。
また、書類の取得先もさまざまですので、事前の確認が大切です。
複雑ゆえに素人では取りこぼしている制度などもあるかもしれないので、必要に応じて専門家へ相談しても良いでしょう。

専門家に依頼するにしてもご自身ですべて行うにしても、申告を忘れたり期限に間に合わなかったりするとペナルティもありますので、準備は早め早めに余裕をもって行うことが大切です。




はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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