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2021/06/25
相続税申告書の書き方3ステップ|財産の把握・相続税の計算・控除額の計算
しかし、実際には順を追って該当する箇所にのみ記載していく作業となるので、ステップを知っていれば容易に進めることができるでしょう。
ここでは、相続税申告書の書き方や手順、書く際のポイントなどを紹介しています。
また、相続税の申告には、申告書以外にもさまざまな書類が必要になりますので、早めに準備を始めましょう。
相続税申告書の書き方
相続税申告書は記載事項が多く、書き方がわからない方も多いかもしれません。
相続税申告書は第15表まであり、その付表を加えると用紙は50枚程度になります。
この数字だけを見ると大変な作業のように感じられますが、実はこれをすべて書かなければならないわけではありません。
また記載内容も、項目ごとに順を追って書いていけば、実はそれほど難しいものではありません。
どこから書いていけばよいのかわかりにくいという方は、以下の手順で進めるのがよいでしょう。
ステップ1.相続財産・負債の把握と記載
ステップ2.相続税総額の計算
ステップ3.税額控除と相続税加算の計算、相続税額の計算
このように「財産の把握」「相続税の計算」「控除額の計算」と3つのパートに分けて書くことがポイントとなります。
以下では各ステップの内容を詳しく解説していきます。
ステップ1.相続財産・負債の把握と記載
相続する財産と負債を把握し、それを申告書に記載するのが最初のステップです。
ここで記載する申告書は、以下の通りです。
第9表 生命保険金など
第10表 退職手当金など
第11表 課税財産
第11・11の2表の付表1 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書
第13表 債務及び葬式費用
第14表 相続開始前3年以内の贈与財産等
第15表 相続財産の種類別価額表
上記の項目にかかる財産・負債がない場合、書く必要はありません。
まずは。書類作成前に財産と負債の内容を明らかにしましょう。この相続税申告書で欠かせない帳票が、第9表、第11表、第15表です。
これは必ず記載してください。
相続財産に直接かかわる第11表の「財産の明細」とある箇所に、相続財産の詳細情報を書きます。
財産の種類ごとに分けて書き、価額には相続税評価額を記載します。
「分割が確定した財産」には、相続人で分割相続する財産の分割状況を書きます。
記載前に誰が、どのくらい相続するのかを明確にしておきましょう。
共有持分での遺産分割の際は、相続人氏名と相続財産の価額を2段で記載します。
また、遺産分割がある場合、その進行状況も記載する必要があります。
分割が確定した財産を相続人それぞれ集計し、第11表の下部に記載を行います。
小規模な宅地について一定の要件を満たしている場合に相続税評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」の適用を受ける場合、第11・11の2表の付表1 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書の記載が必要となります。
続いて、相続する負債の記載は、第13表で行います。被相続人が遺した借金、未払金といった債務、葬儀にかかる費用を記載します。
相続税の計算では負債額を算出し、相続財産から差し引いて最終的な税額を算出していきます。
債務の明細では債務の種類ごと記載します。
税金関連の「公租公課」、クレジットカードの利用代金やその他支払いが済んでいない「未払金」、住宅ローンなど「銀行借入金」、事業者の場合は取引先に対する未払い代金である「買掛金」、その他債務などです。
別々に記載しましょう。
負債についても債務と葬式費用を各相続人で集計し、金額を記載します。
第14表は相続開始の3年以内に、被相続人から暦年課税にかかる贈与によって取得した財産がある場合、記載が必要です。
最後に第15表に、財産と債務の種類別合計額を記載し、各相続人の財産債務額、そして相続人全員の財産債務額が把握できるようにします。
ちなみに、第9表と第10表については、該当する場合にのみ記載を行います。
死亡保険金は法律上の相続財産にはあたりません。しかし税法上は相続財産とみなされ、相続税の算出に必要な記載となります。
生命保険金には非課税枠があり、死亡保険金を受け取った人はこの非課税分がどれくらいになるか計算します。
・非課税枠の計算式
500万円 × 法定相続人の数
受け取った保険金からこの非課税分を差し引いた残額に対して相続税が課税されます。
第10表には退職金などに関する金額の記載を行いますが、こちらも生命保険金と同様に非課税枠があります。
・非課税枠の計算式
500万円 × 法定相続人の数
もし非課税枠を超える分の退職金がある場合は、相続税の課税対象となります。
ステップ2.相続税総額の計算
相続財産と負債を明らかにして記載を行ったら、次は相続税額を計算します。
ここで使用する申告書は、以下の通りです。
第1表 相続税の申告書
第2表 相続税の総額の計算書
この相続税額を明らかにすると、相続人全員が納めるべき相続税額の総額が把握できます。
第1表については、ステップ3で計算する税額控除の額を転記し、相続人がそれぞれ納付すべき相続税額を算定する際に使用します。
ステップ3.税額控除と相続税加算の計算、相続税額の計算
相続税の総額を算出したら、次は控除額と相続税額加算に関する計算を行います。
ここで使用する申告書は以下の通りです。
第4表 相続税額の加算金額の計算書
第5表 配偶者の税額軽減額の計算書
第6表 未成年者控除額・障害者控除額の計算書
第7表 相次相続控除額の計算書
第8表 外国税額控除
第4表の相続税額の加算金額の計算書は「被相続人の配偶者や一親等の血族でない者が財産を相続し又は遺贈を受けた場合には、その者の相続税額に20%の加算をする」という決まりに基づき、該当する場合は記載が必要となります。
第5表では、相続人に配偶者がいる場合に、配偶者の税額軽減の適用を受ける際に使用します。
配偶者の税額軽減とは、配偶者の相続財産額が1億6,000万円または法定相続分までは相続税が課税されないという制度です。
この制度は申告書の提出が適用条件となるため、該当する場合は忘れずに記載しましょう。
第6表の未成年者控除額・障害者控除額の計算書は、相続税の控除額を計算するための帳票です。
相続人に未成年者が含まれる場合、税金の控除が利用できるため、忘れずに記載を行います。
・未成年者控除額の計算式
(20歳 - 相続開始日の未成年者の年齢)× 10万円
障害者の相続人がいる場合、一般障害者と特別障害者で控除額が変わります。
障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。
特別障害者の場合は1年につき20万円です。
第7表の相次相続控除額とは、今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合に、相続税額から一定の金額を控除するというものです。
こちらも該当する場合は記載が必要になります。
第8表は、相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいる場合に記載をします。
具体的には外国税額控除や農地等納税猶予税を行う場合です。
税額控除と加算額の計算を行った後に第1表に転記を行います。
これまでの計算で算出した相続税総額に基づいて、各相続人の相続税額を計算します。
第1表の記載をすべて終えることができれば、相続税申告書は完成です。
相続税申告書の提出を行う際に
相続税申告書を税務署へ提出するときは、今回作成した相続税申告書一式と、その記載事項を証明するための資料(計算に用いた数値の裏付けとなるもの)に加え、相続人に関する戸籍謄本、遺産分割が発生している場合は遺産分割協議書、不動産がある場合は固定資産税課税証明書、印鑑証明書などが必要になります。
相続税の申告に際してはこれらの書類を集める必要もあるので、早めに準備しておきましょう。
また、申告期限前に相続税の納付を忘れずに行ってください。
はじめての相続編集部
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