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■お役立ちコラム特集

2021/06/25

相続税から葬儀費用を控除する方法|この費目は控除対象になる?ならない?

大切な家族が亡くなってしまった際、遺族には精神的負担だけでなく金銭的な負担も発生します。
葬儀にかかる費用は時に数百万円程度にのぼることもあるため、事前準備が重要です。なかでも今後を考えた際に押さえておきたいのが、相続税と葬儀費用の関係です。

今回は、相続税から葬儀費用を控除できるか否か、控除できる葬儀費用の項目などについて、詳しくご紹介します。

葬儀費用は、相続税の控除が認められる?


葬儀費用とは個人の葬儀を行うためにかかるコストのことです。
葬儀の形は宗派や予算などによってさまざまであり、法律で葬儀の定義を明確に行うことは困難だと言えます。
実際に、相続税法上でも葬儀費用に関する定義が記述されているわけではありません。
では、葬儀費用は控除対象として認められるのでしょうか。

葬儀費用は原則相続税の控除対象


結論からお話しすると、葬儀費用は原則として相続税の控除対象です。
ただし、葬儀に関してかかった費用だからと言って、その全てが認められるわけではなく、国税庁によって控除できる費用と控除できない費用とが一定の基準で分けられています。

そのため、相続税からの控除を申請する際には、どこまでが控除対象となるのかを整理・理解しておかなくてはなりません。
葬儀の形式には一定の形がなく、基本的な区別を理解した上で個別のパターンに当てはめて考えていくこととなります。

葬儀費用が相続税の控除対象となる理由


そもそも、どうして葬儀費用が相続税の控除対象となるのでしょうか。
葬式にかかった費用は相続開始日において被相続人の債務とは言えず、一般的に遺族が負担するコストだと言えます。

その結果、葬儀費用は相続をする際には必然的に生じるものと考えられるため、相続税からの控除が認められるのです。

葬儀費用として相続税から控除できる費用


それでは、相続税から控除できる葬儀費用にはどのようなものがあるのでしょうか。
葬儀に一定の決まりはありませんが、国税庁が定めた基準に従って実際の事例に当てはめて考えることが大切です。
具体的には、以下のコストについては、相続税からの控除が認められています。

・ お通夜・告別式にかかる費用
・ 遺体の搬送費用
・ 遺体の捜索費用
・ 葬儀場までの交通費
・ 火葬料・埋葬料・納骨料
・ お布施・読経料・戒名料
・ 葬儀に関連する飲食代
・ 手伝ってくれた方への心づけ
・ 運転手へのお車代

上記のような、葬儀に伴い通常発生すると考えられるコストについては葬儀費用として認められます。

なお、飲食代には通夜・告別式に集まった方に提供する食事代や弔問者のつまみとして提供する軽食代、そしてお茶やジュース代等の接待諸費用を含むことが可能です。
支払先は飲食店だけに限らず、売店やコンビニなどで支払った費用も含むことができます。
葬儀を行う際は忘れずに領収書を取っておくようにしましょう。

葬儀費用として相続税から控除できない費用


通常の葬儀において発生すると考えられる費用は相続税として控除可能ですが、実際に申告する際には、葬儀費用として認められないコストも知っておくことが大切です。
ここでは、葬儀費用として認められないコストについて紹介します。

香典返戻費用


香典返礼費用は、相続税から控除することができません。
葬儀で故人に香典を供えてもらった場合、そのお返しとして四十九日経過後に香典返しをすることが一般的です。
しかし、香典返しにかかったコストは葬儀と直接関係がないとみなされるため、相続税の控除対象にはならないのです。

ただし、会葬御礼費用とは別に香典返しを行っている場合には、会葬御礼費用だけは葬式費用として認められます。
事前に理解しておくことで相続税の節税につながる可能性があるため、覚えておきましょう。

位牌や仏壇、墓石等の購入・借入費用


位牌や仏壇、墓石に関する費用も葬儀費用には該当しません。
また、墓石の彫刻料も葬儀費用には含まれないため注意しましょう。
納骨費用に彫刻料が含まれるパターンでは、石材屋に内訳の明記を依頼することができます。

ただし、被相続人が生前に購入した墓地や墓石、仏壇や仏具などは祭祀財産と呼ばれ、相続税の課税対象外となります。
ただし、課税対象外とするためには、被相続人が生きているうちにコストを全額支払っていることが条件となる点には注意しましょう 。

法会に関わる費用


法会(初七日や四十九日、一周忌法要など)に関わるコストも、葬儀費用としては認められません。
繰り上げ初七日法要として通夜、告別式と同時に実施しているパターンでも原則としては葬儀費用には含めないという考え方です。
しかし、代金が区別されていないパターンでは葬儀費用に含めて考えることも多いでしょう。
また、四十九日に実施する納骨費用については、葬儀費用として認められます。

医学上または裁判上の特別の処置に要した費用


医学上・裁判上の特別な処置に要したコストも、葬儀費用には該当しません。
例えば、死体の解剖にかかった費用は葬儀費用として認められないため注意しましょう。
また、葬儀費用として認められる遺体の捜索費用や運搬費用とは区別しておくことが大切です。

相続税から葬儀費用を控除する際によくある質問


ここでは、相続税から葬儀費用を控除する際によくある質問と、その回答を紹介します。
多くの方が悩むポイントはある程度共通しているため、ここで一度確認しておくのがおすすめです。

葬儀費用控除の申告方法は?


葬儀費用を相続税から控除するための申告は、相続税申告書の第13表に記載して行います。
まず、明細書の中央にある「2 葬式費用の明細」欄に支払先と支払金額、費用負担者の氏名・負担金額を記載してください。
次に「3 債務及び葬式費用の合計額」欄の「葬式費用」の項目に、「負担することが確定した葬式費用」と「確定していない葬式費用」を記入し、その合計額を「計(④+⑤)」に記入します。

申告時には申告書とともに各費用の領収書も必要となるため、大切に保管しておきましょう。

領収書がもらえない費用は控除できない?


お布施代や心づけなど、葬儀においては領収書が出ないパターンも多々ありますが、そのパターンでも項目として認めてもらうことが可能です。
以下の情報をメモに書きとめ、申告書と一緒に提出しましょう。

・ 支払った日時
・ 支払った相手
・ 目的
・ 支払った金額

あくまでも自己申告になってはしまいますが、後ほど調査が入ることもあるため、当然ですが実際に支払った金額を記載しましょう。
また、例え実際に支払ったコストであったとしても、社会通念上高額すぎると認められた場合には認められません。

例えば、運転手へのお礼として1,000万円を支払ったと申告した場合、例え実際に負担したとしても認められないのです。
支払い時には相場を確認し、社会通念上適切だと考えられる金額にとどめましょう。

互助会を利用したパターンでは?


冠婚葬祭には事前に費用を積み立てておく「互助会」というサービスがありますが、互助会を利用したパターンでは契約名義によって考え方が変わります。

契約名義人が被相続人だったパターンでは、被相続人が互助会を利用して生前に積み立てていた部分は相続財産となり、認められません。
一方で相続人が契約名義人のパターンでは相続人の固有財産と考えられるため、認められます。

葬儀費用を正しく控除し、相続税を抑えましょう


被相続人が亡くなられた際に行う葬儀のコストは、相続税から控除することができます。
ただし、国税庁によって葬儀費用として認められる項目と認められない項目がある程度決められているため、事前に理解しておくことが大切です。
事前に理解しておくことで相続税の節税につながるため、ルールを正しく理解しておきましょう。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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