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■お役立ちコラム特集

2021/06/25

【相続税の申告のためのチェックシート】申告前にチェック!

遺産相続を行った場合、基本的には相続人側が相続税の申告をしなくてはなりません。
一般の方でも申告は可能ですが、自分で行うとなるとやはりミスや抜け漏れが心配になってしまうものでしょう。
そこで活用したいのが「相続税の申告のためのチェックシート」です。
本記事では、相続税の申告のためのチェックシートの概要や使い方、他の便利ツールを紹介します。

相続税の申告のためのチェックシートとは


相続税申告のためのチェックシートとは、名古屋国税局が作成しているツールです。
令和2年4月以降相続開始用のシートでは、以下の項目が盛り込まれています。

・ 確認事項と必要書類のチェックシート
・ 小規模宅地等の特例確認フローチャート
・ 提出書類一覧表
・ 相続関係図

財産の区分・種類に対応した確認事項やそれを確認するための資料が一覧で記載されており、該当の有無をチェックする欄を活用することで抜け漏れが防げる設計になっています。

また、小規模宅地等の特例チェックシートは質問に対し「Yes」「No」で答えていくことで、特例が適用されるか否かをチェック可能です。
さらに相続関係図は空欄になっており、親族図を記入していくことで整理・確認に役立てられます。

相続税の申告のためのチェックシートの重要性


相続税の申告のためのチェックシートはあくまでも名古屋国税局が作成したツールであり、その他の地域の人にとっては添付が必須ではありません。
しかし活用することで抜け漏れが防止できるため、自分で申告を済ませるのであれば積極的に活用したいところです。

相続税の申告においては毎年一定の割合で申告漏れ等が発生しています。
例えば令和元事務年度における相続税の実地調査によると、非違割合(申告漏れ等をした人の割合)は85.3%、1件当たりの追徴課税が641万円でした。
(参考:国税庁HP「令和元年事務年度における相続税調査等の状況」)

上記によると調査対象の8割以上が何らかのミスをしていたことになります。
相続税の申告はそれだけ間違いを犯しやすく、抜け漏れを防ぐためのツールを最大限活用することが望ましいといえるでしょう。

逐次新しいものがリリースされている


相続税の申告のためのチェックシートが優れている点は、最新の法令に合わせて逐次新しいものがリリースされている点です。
令和3年4月23日時点まででは、以下のようにシートの更新がなされています。

・ 令和2年4月以降相続開始用
・ 平成31年4月以降相続開始用
・ 平成30年4月以降相続開始用
・ 平成28年1月以降相続開始用

国税庁HPには最新のバージョンまでの全てのシートが掲載されています。
そのため、相続開始日に合わせたシートを使うことで、最新の法令に沿った確認を進められるのです。

相続税の申告のためのチェックシートの使い方


自分で相続税の申告を行う際には「相続税の申告のためのチェックシート」を正しく使うことが大切です。
ここでは、チェックシートの使い方やポイントを紹介します。
難しく考える必要はありませんので、1つずつ落ち着いてチェックを進めていくようにしましょう。

適切なバージョンのシートを使うことが重要


チェックシートを使用するのであれば、相続開始年月に合ったものを使用することが大切です。
法律の改正は度々実施されるため、申告時点での法律に対応しているシートでなければ誤った認識のまま手続きを進めてしまう可能性もあります。
税制の改正も度々行われているため、適切なシートを使うように心がけましょう。

チェックの仕方


令和2年4月以降相続開始用のシートでは、中央より右側に以下3つのチェック欄があります。

・ 確認
・ 該当の有無
・ 確認書類の添付

上から順番に「確認事項」を確認したら「確認」欄にチェックを入れ、「該当の有無」欄に判断した結果をチェックします。
そして確認書類が手に入った段階で「確認書類の添付」欄にチェックを入れましょう。

通常は全ての項目をチェックすることになるため、最初から最後まで順番に行い抜け漏れを防ぐことをおすすめします。

被相続人の氏名と相続人代表の氏名等を記載


シート1枚目の最下部には、被相続人の氏名と相続人代表の氏名等を記載する欄があります。
まず被相続人氏名の欄には、この度亡くなった方の名前を記入し、相続人代表の方の住所・氏名には、主に税務署との窓口になる方の住所と氏名を記入します。

こちらはあくまでも便宜上の記入であり、相続人の代表に名前を書いたからといって法律上何らかの責任を負わされることはないためご安心ください。
右側には関与税理士の情報を記載する欄がありますが、自分で申告をする場合には記載する必要はありません。空欄にしておきましょう。

100%完璧なシートというわけではない点に注意


大変便利な相続税の申告のためのチェックシートですが「これだけ利用すれば100%満足のいく申告ができる」というわけではない点に注意しましょう。

例えば、相続税の申告における抜け漏れを防ぐためには大変便利なシートですが、このシートを使っているだけでは各必要書類の入手場所が確認できない点には注意してください。
入手場所は別途で調べていく必要があります。

また、抜け漏れを防ぐという観点では優秀なシートですが、節税の観点から作られたわけではありません。
節税も含めて納得のいく申告をしたいのであれば、やはり税理士に相談をした方が無難です。

相続税の申告のためのチェックシート以外の公的ツール


今回紹介したチェックシートはとても便利でありぜひとも活用したいところですが、国税庁は他にもいくつかのツールを用意しています。
ここでは、国税庁が用意している便利ツールを紹介します。

相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集


「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」は、相続税申告書を作成する際に間違いが発生しやすいと国税庁が考える項目を事例形式で紹介しているものです。

「被相続人の兄弟姉妹が相続した場合」や「所得税の準確定申告書を提出し、還付金を受領している場合」など具体的事例が用意されているため、チェックシートと併用しましょう。
両者を使いこなすことで、相続税申告において発生しやすい間違いを最大限避けることが可能だといえます。

相続税の申告要否判定コーナー


「相続税の申告要否判定コーナー」は、相続財産の金額などを入力することで相続税申告の要否を大まかに判定してもらえるツールです。
小規模宅地等の特例や配偶者控除を適用したケースにおける税額シミュレーションも実施できるため、該当可能性がある方は活用してみましょう。
また、税務署からの質問を受けた際の回答作成にも使用できます。

ただし、本ツールは相続税申告書をそのまま作れるというわけではありませんので注意が必要です。

相続税の申告のためのチェックシートを活用しよう


相続税を申告する際には、「相続税の申告のためのチェックシート」を国税庁が用意しているため、活用することで申告ミスや抜け漏れを減らすことが期待できます。
チェックシートは添付必須というわけではありませんが、不用意なミスを減らせる便利なツールであるため積極的に活用するのがおすすめです。

国税庁は他にもいくつかのツールを用意しているため、必要に応じて使い分けると申告もスムーズです。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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