■お役立ちコラム特集
2021/06/25
相続税は国税or地方税?直接税or間接税?意外と知らない税金の分類
本記事では、地方税がどんな種類の税金にあたるのかを主な税金の分類を整理しながら解説します。
相続税について十分理解しておけば不安に思う必要もありません。1つずつチェックしましょう。
相続税とはどんな税金?
相続税とは、故人の財産を相続した際に、受け継いだ財産の額が税法で決められた一定額以上だった場合に課される税金のことを指します。
相続税を負担しなければならない理由は、主に以下の2つだと考えられるでしょう。
・ 不労所得のような収入といえるのではないか
・ 特定の人に財産が集中することを避けるべき
相続税の対象財産には、不動産や現預金、上場株式や保険金などのプラス財産と、借入金などのマイナス財産の2つが主にあります。
そのため、財産を受け継ぐ際には資産が増えるというプラスの側面だけでなく、それに伴って発生するマイナス面も整理する必要があるのです。
相続税を申告するのは相続人であり、相続開始日の翌日から10か月の間に適切な方法で申告・納税を済ませなくてはならないため気をつけましょう。
なお、平成27年に相続税が改正されており、その際相続税基礎控除額が引き下げられたことで課税対象が広がっています。
国税庁が発表した『令和元年分相続税の申告事績の概要』によると、相続税の申告書の提出に係る被相続人数は11万5,267人でした。
この人数は全被相続人の8.3%であり、相続をする人が100人いればその内の8人、つまり1/10弱の割合で申告が必要になるといえるでしょう。
(参考:『令和元年分相続税の申告事績の概要』)
相続税は国税?地方税?
税金の種類の分け方の1つに「国税か地方税か」が挙げられます。
ここでは、国税と地方税それぞれの特徴を整理したうえで、相続税がどちらの税金なのか解説します。
そもそも国税・地方税とは
国税とは国が徴収する税金のことであり、地方税とは地方公共団体が徴収する税金のことです。
平成30年度においては日本全体の徴税総額が104兆9,755億円あり、この内国税が61.2%、地方税が38.8%を占めています。
(参考:『令和2年版地方財政白書ビジュアル版』)
国税・地方税の具体例
国税には、以下のような種類が挙げられます。
・ 所得税
・ 法人税
・ 復興特別所得税
・ 贈与税
・ 消費税
・ 酒税
・ たばこ税
・ 関税
・ 印紙税
国税は日本で生活するうえで誰でも基本的に課税が必要と判断される性質の税であり、税務署が管轄しています。
一方の地方税には、以下のような税金が挙げられます。
・ 住民税
・ 事業税
・ 市町村税
・ 固定資産税
・ 自動車税
・ 自動車所得税
・ 不動産所得税
固定資産税や自動車税など保有している個人差がある税金は、基本的に地方税です。
例えば、私たちにとってなじみ深い所得税と住民税はそれぞれ徴収している主体が異なり、所得税は国税であり、住民税は地方税なのです。
相続税はどこに納める?
結論からお話しすると、相続税は国税です。
令和3年度の予算では、国税・地方税すべての税収の内訳のうち、2.2%が相続税・贈与税とされています。
資産課税としては全体の9.2%を占める固定資産税に次いで大きな割合であり、大切な財源の1つであるといえるでしょう。(参考:財務省HP)
相続税は直接税?間接税?
税金の種類としては「国税・地方税」の他にも「直接税・間接税」の分類があり、重要であるため押さえておくとよいでしょう。
ここでは、直接税と間接税の特徴を整理して相続税がどちらに当てはまるのかを解説します。
そもそも直接税と間接税とは
直接税とは納税者が直接納める税金であり、間接税とは税金を納める義務がある人と実際に税金を納める人が異なる税金のことです。
平成30年度においては、直接税と間接税の比率(直間比率といいます)は直接税:間接税=68:32でした。
(参考:財務省HP「税収に関する資料」)
直接税と間接税の具体例
直接税には、以下のようなものが挙げられます。
・ 所得税
・ 復興特別所得税
・ 住民税
・ 自動車税
・ 贈与税
・ 事業税
・ 固定資産税
一方、間接税としては、以下のようなものが挙げられます。
・ 消費税・地方消費税
・ 酒税
・ たばこ税・たばこ特別税
・ 市町村たばこ税・道府県たばこ税
・ 印紙税
・ 関税
・ 自動車重量税
・ ゴルフ場利用税
上記の中から自分に親しみのある税金を思い浮かべると、違いが分かりやすいです。
例えば所得税や住民税は私たち本人が直接国や地方公共団体に納税しますが、消費税は負担をするのは私たち消費者ですが、納めるのは消費税を受け取ったお店や営業所となっています。
直接税と間接税のメリット・デメリット
直接税のメリットは、所得額によって税率が変わる累進課税や所得の種類によって用意された控除を活用することで、負担者の所得に応じて公平に税金を設定できる点です。
控除などを上手に使うことで、節税につなげることも期待できます。
ただし同じ所得額でも控除の適用要否によって負担額が変わる点や、累進課税の仕組みは所得金額と納税額を完全に比例させるものではない点には注意しましょう。
一方で間接税のメリットは、所得によって税負担が変わらないため、負担者それぞれが不公平感を感じにくい点だといえます。
例えば消費税は所得によって変化せず、その時の税制に合わせて全国民が平等に負担する税金です。
しかし、間接税は仕組み上軽減税率や控除適用を導入しづらく、所得が低い人ほど相対的な負担が大きくなる点はデメリットだといえるでしょう。
直接税と間接税はどちらが優れているというものではなく、公平な税負担を実現するためには税金の性質によって両者を上手に組み合わせることが大切です。
相続税はどっち?
結論からお話しすると、相続税は直接税にあたります。
そのため相続人は申告が必要な場合期限内に申告し、一括で納税をする必要があるのです。
しかし、直接税であるため受け継いだ資産の金額の高低に応じて負担すべき税額が決まり、計画的に納税を進めることで無理なく負担することができます。
また、直接税であるため以下のように様々な控除制度が用意されており、条件に合わせて活用することで節税につなげることができるでしょう。
・ 贈与税額控除
・ 配偶者控除
・ 未成年者控除
・ 障害者控除
・ 相次相続控除
・ 外国税額控除
(上記は控除の順番です)
さらに、小規模宅地等の特例など税負担を下げられる仕組みは多数あるため、事前に十分な確認をすることが大切です。
適正な税額を適切なタイミングで無理なく納められるように、相続は計画的に行っていくことが大切なのです。
心配な点があれば税理士に相談するなどし、有利に進めていくようにしましょう。
相続税は国税で直接税!納付の方法や仕組みをきちんと理解しましょう
相続税は故人の財産を相続した際に、受け継いだ財産の額が税法で決められた一定額以上だった場合に課される税金のことであり、相続した額によって負担額が決まります。
相続税は税の種類でいうと国税・直接税に分類されるため、国に直接納めることが必要です。各種控除も用意されていますので、上手に活用して相続税対策を有利に進めていきましょう。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
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