■お役立ちコラム特集
2021/06/25
【保存版】遺産の相続順位と相続分を解説
遺産相続にはさまざまなルールが決められており、相続できる順位や受け取れる分が人によって大きく異なるので注意が必要です。
本記事では、遺産の相続順位や相続分について詳しく解説します。
まずは基本的なルールを把握し、相続人の範囲や順位を確認しましょう。
また、遺産相続における注意点もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
遺産相続の順位に関する基本的3つのルール
まずは、遺産相続の順位に関する基本的なルールを把握しておきましょう。
遺産相続できる人は民法によって定められており、相続できる範囲も同様です。
また、遺言の有無が遺産の取り分に大きく関わってくることも覚えておきましょう。
遺産相続できる人は民法で定められている
民法とは、国民が生活を送るうえで必要となるさまざまなルールを定めた法律です。
民法には、親族や相続に関するルールが数多く定められており、相続の対象となる範囲についても記載されています。
そのため、誰が遺産を相続できるかは民法のルールに則って決められます。
民法で定められている相続範囲の対象は、配偶者や子供、孫、両親、祖父母、兄弟姉妹などです。
遺言の有無が大きく関わる
遺産相続において重要な鍵となるのは遺言の有無です。
基本的に、遺産相続においては被相続人の意思が尊重されます。
自身の財産だったものを、誰にどれくらい与えるかは自由だからです。
そのため、遺産が誰にどれくらい渡るのかは、遺言の内容によって変わります。
遺産は必ずしも親族に渡さなければならない法律はないため、遺言に「知人のAさんに渡したい」と記載されていれば、その通りに相続されなければなりません。
ただし、これではあまりにも不公平な相続になってしまうため、相続権利のある方は遺留分の請求が可能です。
遺留分とは、法定相続人が受け取れる最低限の遺産取得分を指します。
相続対象者の順位も民法による
相続対象の範囲だけでなく、順位についても民法にて定められています。
順位は1~3まであり、そこに該当する方が遺産相続の権利を有します。なお、順位は3位までであり、4順位から下はありません。
相続人の範囲と順位
法定相続人として認められるのは、配偶者と血縁者です。
故人の配偶者は必ず相続人になると、民法にも定められているのです。
これまで故人とともに財産を築いてきたことが考慮され、また今後の生活が不安定になるとも考えられるため、配偶者は必ず相続人に含まれます。
気になる相続の順位ですが、配偶者が存命なら必ず相続人となるため、それ以外の順位を見ていきましょう。
第一順位となるのは、被相続人の子供です。基本的に実子であれば、過去養子に出した子供であっても相続の権利が発生します。
第二順位は直系尊属です。被相続人の父母や祖父母などが該当します。
該当する人が複数いる場合には、親等の近い人が優先されるのです。
第三順位は被相続人の兄弟姉妹となります。第一順位と第二順位の相続人がいないケースでは、兄弟姉妹が相続人です。
遺産が相続される割合
遺言がないケースでは、法定相続分により遺産の割合が決められます。
相続人の構成により割合は大きく異なるため注意が必要です。
たとえば、相続人が配偶者と子供だった場合では、配偶者に1/2、子供に1/2の割合で遺産が分配されます。
なお、子供が複数いる場合は、1/2の遺産を子供全員で分けるのです。
配偶者と直系尊属が相続人なら、配偶者が2/3、直系尊属は1/3の割合です。
配偶者と兄弟姉妹なら、配偶者が3/4、兄弟姉妹は1/4の遺産を全員で分けます。
遺産相続における注意点
遺産相続の範囲や順位が理解できたところで、覚えておくべき注意点をご紹介します。順位や範囲を理解できていても、以下の注意点を知らないとのちのちトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
行方不明の人も相続の対象になる
相続人の中に行方不明の方がいる場合、その方を除外して遺産を分配しようと考える方もいます。
連絡がとれないから、どこに住んでいるかわからないから、といった理由で除外しようとする方がいますが、これはNGです。
たとえ行方不明であっても、相続人なら権利ははく奪されません。
行方不明だからといって勝手に除外して遺産を分配してしまうと、高い確率でのちのちトラブルに発展しかねないのです。
行方不明になっている相続人の親族や友人などにコンタクトをとり、行方を探しましょう。
ただ、7年以上生死が明らかでない、戦争や船舶の沈没、震災などに遭遇し、その後1年以上生死が明らかでないケースにおいては、失踪宣告を受けて相続人から除外できます。
遺言が優先される
すでにお伝えしましたが、基本的に相続の順位よりも遺言の内容が優先されます。
そのため、たとえ民法で優先的に遺産を相続できると定められている人でも、有効な遺言があれば順位は関係なくなるのです。
そのため、被相続人が亡くなったら、まず遺言の有無を確認することが大切です。
親族の誰かが遺言のことを聞いていないか、外部に預けていないかなど、確認しましょう。
なお、被相続人が交渉役場で遺言を作成している可能性もあります。このケースでは、交渉役場の遺言検索システムを利用すれば検索できるため、覚えておきましょう。
相続順位が移動することもある
相続順位は絶対ではありません。相続の権利を有する者が、権利を放棄すれば順位が移動します。
たとえば、第一順位の相続人が相続放棄した場合、第二順位の方へ権利が移るのです。
相続放棄は珍しいことではありません。
遺産は、現金や預貯金、不動産などばかりでなく、借金のような債務も含まれます。
場合によっては、負の遺産が多く相続人が損をしてしまうこともあるため、このようなケースでは相続放棄することもあるのです。
遺言の不服は申し立てを行う
遺言内容にどうしても納得いかない、不満がある、といったケースでは、不服の申し立てを行いましょう。
相続の権利を有する者たちと話し合いの場をもち、じっくりと話し合うことが大切です。
話し合っても平行線をたどってしまうのなら、遺留分侵害額請求を行います。
相続開始を知った日から1年以内に請求しなければならないため、覚えておきましょう。
内縁関係の人物は法定相続人ではない
被相続人の生前、長く一緒に暮らしていた内縁関係の者であっても、法定相続人にはなれません。
戸籍上の配偶者ではないからです。
そのため、生前どれほど被相続人と親しかった内縁者であっても、法定相続人として権利を主張することはできません。
ただし、被相続人の遺言に遺産を分配する旨が記載されているのなら、遺産を受け取る権利を得られます。
また、遺産分割協議により、相続人たちが内縁関係にあった者を相続人だと認めた場合でも、同様に相続の権利を得られるのです。
割合は遺産分割協議で決める
法定相続分は民法で定められていますが、一般的にはその通りに遺産を分配するケースは稀でしょう。
基本的には、遺言の内容や遺産分割協議によって、各相続人が受け取る遺産の割合を決めることがほとんどです。
遺言がないのなら、遺産分割協議により、誰がどれくらいの遺産を相続するのかを決めます。
なお、遺産分割協議は、相続の権利を有するすべての相続人が参加しなければなりません。1人でも欠けてしまうと、無効となってしまうおそれがあるため注意が必要です。
まとめ
遺産相続で、親族が骨肉の争いを繰り広げるケースは珍しくありません。
親族間の関係が悪化し、のちのち大きなトラブルに発展する可能性もあるため、相続は慎重に進めましょう。
相続の範囲や順位をしっかり理解したうえで相続人を明確にし、遺言の有無も確認しなければなりません。
遺言がないのなら、最後にお伝えしたように遺産分割協議を行い、割合を決めましょう。
はじめての相続編集部
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