■お役立ちコラム特集
2021/06/25
贈与税の申告漏れがばれる理由|ばれた際のペナルティも紹介
と頭をよぎるかもしれません。
しかし、申告漏れはすぐにばれなかったとしてもいつか必ずばれるので、決められた期限内に納税することが必要です。
この記事では、贈与税の申告漏れがばれる理由と、ばれた際に課せられるペナルティについて解説します。
贈与税の申告漏れがばれる理由
贈与税は、年間110万円を超える贈与に対して課税され、財産を贈与された受贈者が納税しなければなりません。
もし申告しなかったとしても、以下のようなさまざまなケースで申告漏れはばれてしまいます。
相続税の税務調査
現金手渡しでの贈与であればれないだろうとして、贈与税の申告をしなかった場合、すぐにばれないかもしれませんが、相続税の税務調査で最終的に発覚することが考えられます。
これは、贈与者が亡くなり相続税の税務調査が入った際、被相続人の銀行口座の出入金履歴を調査するからです。
もし使途不明な高額の出金があれば、現金手渡しでの贈与があったのではないかと仮説が立てられ、相続人の銀行口座に高額な預け入れがないかも調べられます。
このようなに相続税の税務調査では、銀行口座の取引履歴を徹底して調べるので、贈与税の申告漏れは発覚してしまうのです。
不動産登記
不動産の贈与を隠した場合は、不動産登記により贈与税の申告漏れがばれてしまうのでやってはいけません。
不動産を所有したら、その土地や建物の所有者であることを明確にするために、法務局に登記手続きをします。
登記をしたら、その登記内容は法務局から税務署に提出されるので、不動産の贈与があったにもかかわらず、贈与税を申告していないのがばれるのです。
それならば「不動産登記をしなければばれなのでは?」と思うかもしれませんが、それはおすすめできません。
登記をしなければ所有権を主張することができないので、相続が発生した際にトラブルになることもあるからです。
登記をしないことによるリスクを取るよりも、贈与税を納めて心おきなく贈与したほうがはるかに賢明だと言えます。
保険金の受け取り
保険金の受け取りでばれることもあります。
生命保険の死亡保険金を受け取る場合、被保険者(保険の対象者)・契約者(保険料を支払っている人)・保険金の受取人がそれぞれ異なるケースのときは、贈与税の対象です。
1回あたりの死亡保険金の支払額が100万円を超える場合、保険会社は税務署に支払い調書を提出する義務があります。
支払調書には被保険者、契約者、保険金の受取人、保険会社が支払った保険金額が記載されているので、贈与税の申告をしなかったら確実にばれてしまうでしょう。
金やプラチナの売却
金やプラチナを業者を通じて売却した際、1回あたりの取引額が200万円を超えている場合、業者は支払調書を税務署に提出しなければならないので、金やプラチナの売却による贈与税の無申告も、やはりばれてしまいます。
贈与税の申告漏れがばれた際のペナルティ
贈与税の申告漏れがばれた場合には、以下のペナルティが課せられます。
申告漏れで課せられる無申告加算税
納税する必要がある贈与税を期限内に申告しなかった場合は、無申告加算税が課せられます。
無申告加算税の税率は、以下のようにそれぞれのケースで異なるので注意しましょう。
納税の延滞で課せられる延滞税
期限までに贈与税を納めなかった場合は、延滞日数に応じた利息として延滞税も課せられます。
税率は、納付期日の翌日から2ヶ月までは年7.3%、それ以降は年14.6%です。
過少申告の場合に課せられる過少申告加算税
本来納めるべき贈与税額より過少に申告した場合は、過少申告加算税が課せられます。
ただし、誤って過少に申告してしまったことに気づき、速やかに修正申告をした場合は、課せられません。過少申告加算税の税率は、以下の通りです。
意図的で悪質な無申告に課せられる重加算税
課税を逃れたいとして、意図的に申告しなかったり、贈与があるにもかかわらず虚偽の回答をしたりなどの悪質なケースには、重加算税が課せられます。
税率は、無申告の場合は40%、過少申告の場合は35%です。
重加算税は課税額が大きく、かなり重いペナルティであることを覚えておきましょう。
不法行為による悪質な無申告には刑事罰
不正行為をして贈与税の申告をしなかった場合は、刑事罰が科せられる場合もあり、最も重いペナルティの重加算税に罰金が上乗せされます。
また、あまりにも悪質なケースにおいては、懲役刑になることもあるのです。
贈与税がかからない方法
できるだけ贈与税の負担を軽減したい場合は、もともと贈与税がかからない贈与の方法や、基礎控除や特例による非課税制度を活用するのが有用です。
贈与税がかからない方法としては、以下が挙げられます。
基礎控除の範囲内で少しずつ贈与(暦年贈与)
贈与税には、受贈者1人当たり年間110万円基礎控除が設けられているので、基礎控除の範囲内で毎年少しずつ贈与する「暦年贈与」をすれば、非課税になります。
例えば、500万円の財産を一括で贈与すると、贈与税が30%かかりますが、5年かけて贈与すれば贈与税がかかりません。
ただし、毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると、贈与を開始するときから、一定期間内に定期的に贈与する意思があったとして、「定期贈与」とみなされてしまうので注意が必要です。
定期贈与の場合は、全ての贈与額に贈与税がかかります。
暦年贈与であることを示すためには、贈与金額と時期を毎年変え、かつ贈与契約書の作成をしておくことが大切です。
贈与契約書があれば、いつ誰にいくら贈与したのかを証拠として残せるので、定期贈与でないことが証明しやすくなります。
生活費や教育費としての贈与
親や祖父母が子供や孫に対して、生活費や教育費を支払うのは扶養義務なので、生活費や教育費の贈与には、もともと贈与税がかからない仕組みになっています。
ただし、例えば毎月200万円の仕送りなど、日常生活を送るには有り余ることが明らかな贈与の場合は、贈与税の対象になるのです。
生活費や教育費として認められるものには、以下のような費用が挙げられます。
・ 食費や日用品費などの日常生活を送るうえで必要な生活費
・ 医療費
・ 授業料
・ 教材費
・ 文具代
特例の適用により非課税制度を利用する
贈与税には以下のような特例があり、条件を満たしていれば贈与税が非課税になります。
贈与税の配偶者控除
婚姻生活が20年以上経過している夫婦間で、住宅を購入するための資金の贈与があった場合、2,000万円までが非課税になります。
贈与税の配偶者控除は基礎控除も併用可能なので、最大で2,110万円までは贈与税がかかりません。
住宅取得等資金贈与
親や祖父母が子供や孫に、住宅の購入や増改築のための資金を贈与した場合、最大で1,500万円までが非課税になります。
非課税限度額は、契約した住宅が省エネ住宅か、住宅価格に消費税が適用されるのかどうかによって異なります。
まとめ
税務署が普段から個人の預貯金を調査することはできないので、贈与があった際に申告しなくても、すぐにはばれないかもしれません。
しかし、相続税の税務調査によって、ゆくゆくは申告漏れが発覚します。
さらに、支払調書からも税務署に贈与の事実が判明するので、贈与税を逃れることはできないと言えます。
贈与税の申告漏れには、さまざまなペナルティが課せられるので、正しく申告をして納税しましょう。
贈与税の負担をできるだけ減らしたい場合は、暦年贈与や非課税制度を活用することをおすすめします。
はじめての相続編集部
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