■お役立ちコラム特集
2021/06/25
生命保険の相続の税金はいくらかかる?相続がかかるケース
このような遺産相続と切り離せないのが、税金の問題です。
相続する額によっては、莫大な相続税を納める必要があるため、頭を悩ませるケースも少なくありません。
生命保険の保険金を受け取ったときも、相続税の対象となることがあるのをご存じでしょうか。
本記事では、生命保険に相続税がかかるケースや、相続税が発生するかどうかの判断基準、相続税対策に有効な理由などを解説します。
生命保険の基礎知識
まずは、生命保険について簡単に解説します。
生命保険は、万が一のときに備えた加入する保険商品の一種です。
被保険者が病気やケガをしたときに保険金を受け取れるほか、死亡時には受取人が死亡保険金を受け取れます。
生命保険の基本型には、定期保険や養老保険、終身保険などがあります。
また、保険の種類としては、死亡時に保険金が支払われる死亡保険、病気やケガなどによる治療、入院費をカバーできる医療保険、がんに対応できるがん保険などが代表的です。
生命保険に相続税がかかるケース
契約者と被保険者が同じで、受取人だけ異なるケースにおいては、受け取った保険金が課税対象となります。
基本的に生命保険は、自身に万が一のことがあったとき、家族が路頭に迷わないよう加入するケースが多くを占めます。
そのため、契約者と被保険者が同一で、受取人だけ異なることは珍しくありません。
たとえば、被保険者と契約者が夫で、妻が受取人だったとしましょう。
このケースにおいて、夫の死亡時に妻が保険金を受け取ると、相続税の課税対象となってしまいます。
なお、契約者と被保険者を同一にしなければ、相続税の発生は免れます。
しかし、そのほかの税金が発生してしまうため注意が必要です。これについては、のちほど詳しく解説します。
相続税が発生するかどうかの判断基準
多くの方は、生命保険金を受け取ったとき、相続税の課税対象となるのかどうかわからないでしょう。
相続税が発生するかどうかは、以下の公式で判断します。
保有財産+生命保険金額-生命保険金の非課税枠<基礎控除額
生命保険には非課税控除が適用され、500万円×法定相続人数で算出できます。
死亡した夫の保有財産が0円で、生命保険金の総額が5,000万円、法定相続人が3人として計算してみましょう。
このケースでは、0円+5,000万円-1,500万円=3,500万円となります。
基礎控除額は、法定相続人が3人なら4,800万円です。
そのため、3,500万円<4,800万円となり、基礎控除額を超えません。つまり、このケースでは相続税は発生しないのです。
相続税対策に有効な理由やメリット
ここからは、生命保険が相続税対策に有効といわれる理由を解説します。
有効な理由としては、非課税控除が適用される、被相続人の葬儀費用に使える、親族間でトラブルになりにくいなどが挙げられます。詳しく見ていきましょう。
非課税控除の適用
生命保険には、非課税控除が適用されます。500万円×法定相続人数で算出され、仮に相続人が4人なら、2,000万円が非課税限度額です。
このケースでは、2,000万円の生命保険金を受け取ったとしても、非課税控除が適用されるため納税の義務が発生しません。
ただし、生命保険金の受取人は、必ずしも法定相続人であるとは限りません。
そのような場合には、生命保険の非課税控除は適用されないため注意が必要です。
あくまで、法定相続人が受取人であるときにだけ、適用されることを覚えておきましょう。
被相続人の葬儀費用に使える
葬儀にかかった費用は控除対象です。
お通夜や納骨の費用、火葬、遺体回送などに費やした費用は控除対象となるため、相続対象となる財産から差し引けます。
また、被相続人の葬儀費用に生命保険金を使えるのも大きなメリットといえるでしょう。
日本国内で執り行われる葬儀は、200万~300万円の費用が発生するケースも珍しくありません。
十分な預貯金があれば問題ありませんが、そうでない場合には相当な出費を強いられてしまいます。
生命保険によっては、被保険者が亡くなったあとすぐに保険金を受け取れるものもあります。
このような保険なら、死亡後にすぐ保険金を受け取れるため、遺族は葬儀費用を捻出する必要がありません。
親族間でトラブルが起きにくい
遺産の分割においては、トラブルがつきものです。
遺言がないケースでは、遺産分割協議により誰がどれくらいの遺産を受け取るかを決めますが、相続人すべてが納得いく結果になるとは限りません。
協議がうまくいかず、親族間で裁判沙汰に発展するケースも多々あります。
生命保険は遺産分割協議の対象とならないため、親族間でトラブルになりにくいメリットがあります。
契約時に受取人を決めているため、協議の対象とならないのです。
また、生命保険金は現金で支払われるため、相続人に分配しやすいメリットもあります。
土地や建物などの遺産は分割しにくいため、ときに不平等になりがちです。
生命保険なら、事前に複数の相続人を受取人として指定でき、しかも現金で分配できるため争いに発展しにくいのです。
納税資金を確保できる
たとえば、遺産として土地や建物を相続したとしましょう。
これらの不動産に相続税が発生した場合、資金を確保できない可能性があります。
十分な預貯金があるのなら話しは違いますが、そうでないのなら不動産を売却して納税資金を確保しなければなりません。
不要な不動産なら売却しても問題ないでしょうが、相続したのが賃貸アパートやマンションなど、収益物件だった場合には今後運用して利益を生み出せる可能性があります。
そのような物件を売却して納税資金にあてるのは、少々もったいないのではないでしょうか。
このようなケースにおいても、生命保険金が入れば納税資金を確保できます。
支払われた生命保険金を納税に回せるため、物件を手放す必要がありません。
相続放棄しても受け取れる
相続財産に債務が多い場合、相続放棄するケースは珍しくありません。
相続放棄すると、債務の相続を免れますが、現金や不動産などの遺産も受け取れなくなるデメリットが生じます。
一方、生命保険は相続財産ではないため、相続放棄したとしても問題なく受け取れます。
相続財産ではなく遺産分割の対象でもないため、受取人は何の問題もなく生命保険金を現金で受け取れるのです。これも大きなメリットといえるでしょう。
相続税以外の税金に注意
生命保険の契約者と被保険者が同一でなければ、相続税は発生しません。
たとえば、契約者がAさん、被保険者もAさん、保険金受取人がBさんだとしましょう。このケースでは、相続税が発生します。
一方、契約者がAさんで被保険者がBさん、受取人がAさんだった場合、相続税は発生しませんが、所得税の納税義務が生じます。
同様に、契約者がAさん、被保険者がBさん、受取人がCさんといったケースでは、贈与税が発生します。
まとめ
生命保険に相続税がかかるのは、契約者と被保険者が同一で、受取人が異なるケースです。
相続税が発生するかどうかの判断基準は、生命保険の基礎控除額を超えるかどうかで判断しましょう。
ここでお伝えしたように、生命保険は相続税対策に有効であり、さまざまなメリットもあります。
ただ、どのような保険が相続税対策に有効かは、相続人の財産やそのときどきの状況によって異なるため注意が必要です。
相続税対策として生命保険を検討するのなら、税金や保険の専門家からアドバイスを受けながら判断することをおすすめします。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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