■お役立ちコラム特集
2021/07/05
財産目録の調べ方と作成方法
財産目録はスムーズに財産を相続するための重要な書類です。
今回は、財産目録の理解を深めるとともに、作成する目的や作成方法について詳しく解説します。
財産目録ってなに?
財産目録とは「被相続人の財産一覧表」のことです。
財産目録は「プラスとなる財産」だけでなく、その他にも借金など「マイナスとなる財産」まで全ての財産を記入することにより、相続する財産の内容を一目みるだけで明確になります。
財産目録を作成する目的って?
財産目録は法律的に作成する義務はありませんが、さまざまな理由から作成することがおすすめです。
主な理由は以下のようなものがあります。
1. 財産の把握を行うことができる
2. マイナスになる財産が分かる
3. 財産の総額を理解できる
1.財産の把握を行うことができる
財産目録を作成することにより、被相続人の財産が総額でどれくらいあって、それぞれがどこにあるのかを把握することができます。
自分自身の財産が「どれくらいあって、どこにあるのか」などの情報を家族に教えていない人は多くいます。
しかし、財産目録を作成することにより、家族などに対してすぐに情報を提示することが可能です。
2.マイナスになる財産が分かる
「財産」と聞くと全てプラスになると思っている人もいますが「財産=プラス」ではありません。
場合によって財産はマイナスになってしまう場合もあります。
財産目録を作成することにより、相続する財産がプラスの方が多いのか、もしくはマイナスの方が多いのかを把握することができるため、相続人が財産を引き継ぐ際の判断材料になるでしょう。
相続人が財産を引き継ぐのか、もしくは放棄するのかは3ヶ月以内に決める必要があります。
3.財産の総額を理解できる
財産目録を作成すると財産の総額を理解できるため、相続するにあたって必要な「相続税」をシュミレーションすることが可能です。
「相続税」は総額が3,600万円以下の場合、相続税はかかりませんが3,600万円を超えると「相続税」がかかってくるケースがあります。
しかし、財産目録を作成しておけば、「財産の総額」と「相続人」が明確になっているため、すぐに相続税が必要な場合は計算することが可能です。
さらに「相続税」を所有している現金などで納税できるのか、配偶者や子供たちに対して生前贈与した方が良いのか、など財産目録を作成するだけで多くのメリットがあります。
相続する財産の調べ方
財産目録を作成するためには、明確に相続する財産を調べることが必要となります。
主要な相続する財産は下記の通りです。
ここでは、それぞれの財産の調べ方について解説します。
1. 銀行の預金
2. 家や土地の価格
3. 借金
1.銀行の預金
銀行の預金を知るためには、まず自宅内で遺品整理を行い、通帳やキャッシュカードを探す必要があります。
役所に被相続人が他界したことを届ける「死亡届」を提出したからといって、自動的に銀行口座の入出金が停止にはなりません。
銀行口座の入出金が停止になるのは、銀行が「死亡したことを金融機関が知ったとき」になるため、遺族が銀行に知らせて、「預金残高証明書」を発行してもらうことが必要です。
その後、各銀行によって変わりますが、必要書類を提出することにより、払い戻しなどの手続きが行われます。
最後の取引から、銀行では10年、ゆうちょ銀行では5年以上経過し、その後預金者本人と連絡が付かない場合「休眠口座」となり、最終的に預金は銀行やゆうちょ銀行のものになってしまうため、注意が必要です。
2.家や土地の価格
被相続人が所有していた家や土地を一括して調べることができる機関はありません。
そのため、遺族の人たちで調べる必要があります。
家や土地を調べるのに「名寄帳」は重要です。「名寄帳」とは所有者ごとに不動産をまとめた一覧表になります。
固定資産税を各市区町村の役場が徴収しているため、被相続人が所有している不動産が予測される市区町村役所の資産税課に対して、相続人が必要書類を提出すれば「名寄帳」を取得することが可能です。
しかし「名寄帳」は各市区町村役所がエリアとなっているため、エリアごとに市区町村役所に対して申請する必要があります。
そのため、その他にも自宅に「不動産の権利証」「登記資料」などを探すことが重要です。
3.借金
財産を把握するのに借金を把握するのも重要です。
しかし、全ての借金を調べることは簡単ではありません。
借金の有無に関しては郵便物などから分かる場合もあります。
しかし、もっと正確に把握するための手段として「信用情報機関」に情報の照会をすることが重要です。
「信用情報」とは、クレジットやローンなどの申し込みや契約に関する情報のことになります。
「信用情報機関」はJICC・CIC・全銀協など個人のクレジットヒストリーを保管しているため、「本人確認」「手数料の支払い」「照会の請求書を出す」などの手続きを行えば情報を見ることができます。
「信用情報機関」で調べることができるのは「正規の貸金業者」のみになるため、ヤミ金などからの借り入れに関しての情報は載っていない点は注意が必要です。
しかし、元々違法業者からの借り入れは元本ですら返済する必要がないため、しつこく請求がある場合は弁護士や司法書士などの専門職に相談することが重要だと言えるでしょう。
財産目録の書式と作り方
ここまで、財産目録の目的と調べ方について解説しました。
しかし、実際に財産目録を作成しようと思った場合はどのように作成すれば良いのでしょうか。
ここでは実際に財産目録の作り方について解説します。
上記で解説しましたが、財産目録は法律上必ず作成する必要はありません。
そのため、書き方に関しても決まったものはないのです。
近年では、インターネットから無料でダウンロードできるサイトも多く存在します。
もし自分で作成する場合においては、いくつか記載しておくと良いポイントがあるので知っておきましょう。
相続財産の種類は正確に記載しておく
相続財産はさまざまな種類があるものの、大きく「不動産」「動産」「債権」「預貯金」「債務」に分かれます。
それぞれの項目には下記のような内容が入るため、財産を分類しておくと、全体的なイメージがつかめるでしょう。
・不動産:土地、建物など
・動産:自動車、家庭用財産など
・債権:貸金など
・預貯金:銀行などに預けているお金
・債務:借金など
相続財産の所在を明確にする
相続財産の項目を分類して見やすくなっても、それぞれの所在地が分からなければ、探すのに非常に苦労します。
そのため、下記のように詳細な情報を記載します。
・不動産:所在に関しては「地番」まで表示する
・建物:「家屋番号」があれば記載する
・預金:銀行名・支店名・口座番号など
・株式など:株の銘柄など
数量や割合も正確に記載する
財産目録の内容が正確でなかった場合、トラブルの元になりかねません。
そのため、不動産であれば、事項証明書にある地積など、銀行の預金であれば残高を正確に記載します。
もし詳細が不明な場合は、弁護士などの専門家に聞きながら進めると安心です。
まとめ
今回は「財産目録」について解説しました。「財産目録」の作成は法律上の義務はないものの相続財産をスムーズに行うためには重要な書類です。
主な財産は「銀行の預金」「家や土地」「借金」になるため、それぞれに対してしっかり調べて、財産目録を作成します。
財産目録を作成するにあたっても法律上で決まった形式はなく、近年では無料でダウンロードできるサイトも増えています。
もし、自分自身で財産目録を作成する場合は今回解説したポイントをしっかり記載することが重要です。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です
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子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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