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■お役立ちコラム特集

2021/07/05

接道義務とは?戸建てやマンション・土地を売買する際に気を付けること

戸建てやマンション・土地の売買を行うには、接している道路についても検討する必要があります。
土地における資産価値に影響する可能性もあるため、敷地に関連する道路について理解することは大切です。

本記事では、接道義務について詳しく解説します。
また、土地を売買する際の注意点や接道義務の条件をクリアしていない場合の土地の利用方法についてもご紹介するので、参考にしてください。

接道義務とは?


敷地に建物を建設する場合、建築基準法によって道路に2メートル以上接していることが条件です。
これを接道義務と呼びます。
ここでは、建築基準法による接道義務の詳細について見ていきましょう。

接道義務では2メートル以上道路に接することが必要


建築基準法には接道義務が規定されています。
よって、住宅などの建物の敷地は幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接することが必要です。
たとえば、2メートル未満の幅で道路に接している敷地や、道路に全く接していない敷地は、建築確認を受けられない場合が少なくありません。
建築確認とは、建築基準法に基づいて、行政などの指定確認検査機関が建造物の建築計画が建築基準法令や建築基準関係規定に満たされているかどうか審査することを指します。

接道義務は、不整形な敷地などの場合に特に気を付けなければなりません。
たとえば、長方形の敷地の場合、接道義務が問題になる場合は少ないでしょう。
また注意点として、接している道路は建築基準法で認められている道路かどうかということもあります。
道路に見えても建築基準法で認められていない場合、接道義務の条件をクリアすることはできません。

不接合道路


接道義務の条件をクリアしていない敷地でも、建設することがすべて禁止されるとも言えません。
つまり、道路に接していない「不接合道路」の場合でも建設が許される場合もあります。
たとえば、地下に設けた水路である暗渠の部分が道路として整備されている場合、水路という分類であったとしても道路として扱われる可能性もあるのです。

接道義務は災害が発生した場合などの安全を確保するために定められた規定となっています。
そのため、建築基準法に定められている道路には接していない場合でも、代用として公園や広場などに接して安全が確保されていることが確認できれば問題ないことも多いです。
これらは建築基準法第43条ただし書き部分において定義されています。

一方で、建築基準法第43条ただし書きの部分さえも適用できない敷地も少なくありません。
そのような不適合道路の敷地では、建物を建設することはできません。
不接合道路の土地が売買される際には再建築不可などと記載されているので、事前に確認することが重要でしょう。

戸建てやマンション・土地を売買する際の注意点


これまでに接道義務の詳細について解説しました。
ここからは戸建てやマンション・土地を売買する際の注意点について2点紹介します。

接道義務を満たさない土地は売却価格が下がる可能性が高い


原則として接道義務の条件をクリアしない場合、建物を建設できません。
しかし、建築基準法第43条ただし書きの部分が適用される場合もあり、建設の許可を受けられる場合もあります。
そのため、事前確認が重要です。
建築許可を受けられるかどうかについて確認したい方は、役所の窓口などで相談してみることをおすすめします。

さらに、接道義務の条件をクリアしていない土地の売却価格は、大幅に下落する場合が多いです。
理由は地域内にある他の土地と比較して、活用方法が限られてしまうためです。
物件にもよるところがありますが、相場からおよそ10%から30%ほど下がってしまうことが多いでしょう。

道路付けと土地の売買の関係


道路付けは接道条件とも呼ばれます。
道路付けとは、敷地と道路との関係を示しており、敷地から道路が接する方向と幅員について表記しています。
たとえば、北側を幅員4メートルの道路と接する場合は「北4メートル」と表記します。
道路付けによって、建設できる建物の条件や面積が決まります。
したがって、土地の売買に影響を与える可能性が大きいでしょう。

また、道路付けは土地を選択する際の検討条件にすることがおすすめです。
理由は敷地が道路に多く接する場合や、道路の幅員が広い場合、土地の資産価値が上がる傾向にあるためです。

接道義務の条件をクリアしない場合の土地の取扱い


これまでに、接道義務の詳細や、土地を売買する際の注意点について解説しました。
接道義務の条件をクリアしていない土地の場合、建物を建設できないだけではなく、土地の売却価格も下がってしまうでしょう。
では対処方法はあるのかという疑問を抱く方も多いでしょう。
ここからは、接道義務の条件をクリアしていない場合の土地の取扱い方法について3点ご紹介します。

セットバックを行う


建築基準法の条件では、原則として道路の幅員が4メートル以上です。
接道義務の条件をクリアできず、接道が4メートル未満の場合は、セットバックを行う必要があります。
セットバックは、道路と敷地の境界線について、道路の中心線から2メートルまで後退させることで、幅員4メートルを確保するために行うものです。
セットバックについては、不動産や住宅会社に相談すれば容易に調査することができます。

隣地を活用する


セットバックを行っても解決できない土地の場合どうしたらよいでしょうか。
この場合、隣地を購入することや、隣地所有者に土地を売却することを検討するのがおすすめです。
隣地を購入することで、接道義務の条件をクリアできれば、併せて売却することができるでしょう。
または合筆後、接道義務を満たすように分筆して売却することも可能です。合筆とは、隣接する土地を一つの土地に法的に合体させることを指します。

接道義務の条件をクリアしていない土地の利用価値は低いです。
しかし、隣地所有者に土地を売却することで、隣地所有者にとってはさまざま方法で土地を活用できる可能性もあるでしょう。
隣地所有者に土地を売却する方が、通常で売却する場合に比べて高い価格で売却できることもあります。

専門業者に土地を売却する


接道義務の条件をクリアしていない土地は、専門業者が買い取ってくれる場合もあります。
専門業者は土地を安い価格で購入後、隣地を買い取ることで、マンション用の土地として売却するという形で利益を出します。
したがって、専門業者に相談してみることもおすすめです。

まとめ


接道義務では、敷地に建物を建設する際、建築基準法によって道路に2メートル以上接していることが条件となっています。
道路に接していない「不接合道路」の場合でも建設が許される場合もあるため、事前に確認することが重要です。

接道義務の条件をクリアしていない土地は資産価値が下がる傾向にあるため注意しましょう。
また、土地を購入する際には道路付けについても考慮することも大切です。
接道義務の条件を満たしていない場合「セットバック」「隣地の活用」「専門業者へ売却」などの土地の取り扱い方が存在します。

所有している土地を売却する場合は、接道義務を満たしているかまず確認しましょう。
また、土地の詳細については行政や不動産会社などに相談することがおすすめです。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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