■お役立ちコラム特集
2021/07/05
土地売買すると税金はいくらかかる?節税対策も紹介
土地売買にかかる税金の計算方法は、土地の所有期間や手元にある資料によって異なるため、少々複雑で難しい処理となります。
さらに、土地の売買価格が大きければ大きいほど納める税金が大きくなることから、合法的に節税対策を行い、土地売買にかかる税金をなるべく抑えたいというのが本音だと思います。
本記事では、土地売買に関する税金の計算方法から節税対策までをわかりやすく解説します。
土地の売買に関係する6つの税金
土地の売買に伴い発生する税金は「所得税」「住民税」「不動産取得税」「固定資産税」「印紙税」「登録免許税」です。
それぞれ税金の計算方法や納税するタイミングが異なるため、計画的な納税スケジュールを経てる必要があります。
所得税
計算方法 以下参照「土地売買は譲渡所得の分離課税」
納税する期間 原則:売却年の翌2月16日~3月15日
※納税できないやむを得ない理由がある時はや災害時には納期限が延長できる
住民税
計算方法 以下参照「土地売買は譲渡所得の分離課税」
納税する期間 原則:売却年の翌6月以降
※普通徴収の選択:年4回払い(6月・8月・10月・翌1月)特別徴収の選択:会社給料から天引き
不動産取得税
不動産取得税は土地を取得した際にかかる地方税です。
自ら計算して申告を行うものではなく、各自治体が計算を行い納付書が郵送されてきます。
土地の計算方法は、原則固定資産税評価額に4%を乗じて計算されますが、住宅用宅地に該当する場合は軽減措置が適用になります。
≪計算方法≫
原則:取得した土地の固定資産税評価額×4%
宅地の課税標準の特例による軽減措置:取得した土地の固定資産税評価額× 1/2 × 3%(2021年3月31日まで)
さらに、住宅用土地を取得した場合は ①と②のどちらか金額を控除できます。
① 45,000円(45,000未満の場合はその金額を控除)
② 土地1㎠あたりの固定資産税評価額 × 1/2× 住宅用床面積×2(一戸あたり200㎡まで)× 3%
≪納税する期間≫
土地の取得後約6ヶ月〜1年の間に各都道府県から郵送され、納期限は納付書に記載のある期限(都道府県によって異なる)
固定資産税
固定資産税は不動産取得税と同様に各自治体が計算し、1月1日時点で所有している土地には課される税金です。
つまり、1月1日時点に土地を所有している所有者が支払う税金となります。
しかし、年の途中で土地の売買が発生した場合は、買主と売主で日割り計算をするのが一般的です。
固定資産税の日割り計算は、法律による決まり事ではなく双方の合意のもと行われる取引です。
後々のトラブルを避ける予防として、事前の確認を当事者または不動産仲介業者に伝えておくとスムーズな取引が実現します。
≪計算方法≫
固定資産税評価額×1.4%
≪納税する期間≫
4月~5月頃に各自治体から納付書が届く。(都道府県によって異なる)
印紙税
土地の売買契約書には印紙が必要になります。
土地を購入する買主と土地を売却する売主がそれぞれ契約書を作成する場合は印紙代をそれぞれが負担しなければなりません。
双方が同じ契約内容だからという理由で売買契約をコピーする場合も署名押印を必要とする契約書は課税文書に該当します。
ただし、土地の譲渡(売買)に関する契約書は租税特別措置法が適用されるため、印紙代が引き下げられます。
※租税特別措置法・・・平成26年4月1日~令和4年3月31日までに作成された契約書で10万円を超える譲渡であること。
租税特別措置法の適用後の印紙代の早見表は以下の表を参考にしてください。
≪納税する期間≫
印紙を購入して使用するタイミング(売買契約時など)
引用:国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm
登録免許税
原則、登録免許税は土地の登記(公的記録)を行う者が負担する税金です。
ただし、売却する土地に抵当権がされている場合は、抵当権の抹消登記の際に登録免許税が発生します。
登録免許税の計算は、固定資産税の基準となる固定資産税評価額に登録免許税に税率を乗じて計算します。
登録免許税に税率は登記の内容によって異なります。以下の表を参考に登録免許税率を確認しましょう。
引用:国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm
≪計算方法≫
登録免許税額=不動産の固定資産税評価額×登録免許税率
≪納税する期間≫
土地を引き渡すタイミング
土地売買は譲渡所得の分離課税
土地や建物等の売買にかかる税金は、譲渡所得という所得に該当し、給与所得などの所得とは分けて(分離課税)計算します。
さらに、譲渡所得の分離課税は以下の4つに分けることができます。
1.短期譲渡所得
土地を取得した日の翌日から引き渡した(譲渡)年の1月1日において所有期間が5年以内の土地
2.長期譲渡所得
土地を取得した日の翌日から引き渡した(譲渡)年の1月1日において所有期間が5年を超える土地
3.上場株式等に係る譲渡所得
上場株式等の譲渡にかかる所得
4.一般株式等に係る譲渡所得
非上場株等や一般公社債等の譲渡にかかる所得
土地の売買は、4種類ある分離課税の1と2に該当し、1と2の計算方法は以下のとおりです。
≪計算式≫
短期・長期譲渡所得=譲渡価格(土地売却価格等)-(取得費+譲渡費用)
3,000万円の土地を譲渡した場合
実際に3,000万円の土地を購入した際の簡単なシミュレーションをしてみましょう。
以下のような要件で土地を売却した場合の税金の計算例を示します。
土地売却価格・固定資産税評価額:3,000万円
取得費:500万円(取得費が不明な場合は譲渡所得の5%)
譲渡費用:100万円
所有期間:20年(長期譲渡所得)
譲渡日;7月1日
固定資産税;折半
印紙:売主負担
3,000万円-500万円-100万円=2,400万円(長期譲渡所得)
≪売主が納める税金≫
所得税(復興特別所得税含む)⇒2,400万円×15.21%=365.04万円
住民税⇒2,400万円×5%=120万円
固定資産税⇒21万円
印紙税⇒1万円
合計 142万円
≪買主が納める税金≫
不動産取得税(原則)⇒120万円
固定資産税⇒21万円
登録免許税⇒45万円
合計 186万円
上記のシミュレーションは概算額であるため、参考程度にお考えください。
土地の売買に活用できる節税対策
マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合、3,000万円の特別控除の特例が適用されます。
本来、土地の売却だけではこの特例に該当しませんが、建物部分を取り壊した宅地であれば3,000万円の特別控除が利用できます。
上記例を参考に3,000万円特別控除が利用できた場合の計算方法は以下のとおりです。
≪3,000万円特別控除が利用できた場合の計算式≫
土地譲渡価額3,000万円-土地取得費500万円-譲渡費用100万円-3,000万円=0円
つまり、3,000万円の特別控除に該当すれば、土地の売却にかかる所得税・住民税は一切ありません。
土地売買に関する節税対策は専門家への相談がおすすめ
土地の売買にはさまざまな税金が関係し、個々の事情によって計算方法も異なります。
土地売買に関する節税対策も該当するか否かで納める税金に大幅な差が生じます。
国税庁のホームページで細かい要件や必要条件に該当するかを確認するのもひとつの方法ですが、不動産売買に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
顧問報酬は発生するものの、さまざまな節税対策の提案や税金の試算をサポートしてくれます。
できるだけ土地売買にかかる税金を減らしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
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子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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