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■お役立ちコラム特集

2021/07/05

公正証書遺言費用はいくらする?司法書士への依頼相場

「自分の死後に相続争いが起きないようにしたい」「相続税対策のために今のうちに遺言をしておきたい」様々な理由で遺言をしておくことが考えられます。
遺言の中でも、もっとも信頼されるのが公正証書遺言ですが、他の遺言と比べれば費用がかかると紹介がされます。

では実際のどのくらいの費用がかかるものでしょうか。 ここでは、公正証書遺言の費用について解説します。

公正証書遺言とは


そもそも公正証書遺言とはどのようなものなのでしょうか。
遺言について、また公正証書について、確認していきましょう。

遺言とは


遺言とは、法律的な意味では、自分の死後についての意思表示をすることです。
相続・遺言に関して定める民法では、遺言で様々なことを行うことができる旨定められています。

そして、遺産について遺言をしておくと、民法の相続の規定に沿った遺産分割とは異なる方法で遺産の承継をすることが可能です。
遺言をしておくことで、遺産分割で相続人が争うことを防止することができ、相続後の手続きがスムーズとなることが期待されます。

公正証書とは


公正証書とは、公証人が作成する証明文書のことをいいます。
公証人とは、ある事実が存在することや、契約等の法律行為を、公権力によって証明・認証する公務員です。

日本では長年裁判官や検察官を務めた人が任命されることが多く、法律的な文書の作成に携わっています。

公正証書遺言とは


公正証書遺言とは、遺言の形式の一つで、遺言書を公証人が公正証書で作成するタイプの遺言のことです。

遺言には他に、全文を自筆する自筆証書遺言と、自分で作成して公証役場で封をする秘密証書遺言というものがあります。
公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の趣旨を伝えて、遺言書自体は公証人が公正証書として作成することになっています。

この作成のプロセスに、公証人・弁護士や行政書士などの士業という人が介在するため、遺言書としての信頼性が高いので争いになる可能性が低く、また自筆証書遺言・秘密証書遺言に必要な遺言書の検認という手続きが不要です。
このようなメリットがあるため、実務的に利用される頻度が高い遺言の形式であると言えます。

公正証書遺言作成に必要な費用


では、公正証書遺言作成に必要な費用としては、どのようなものが発生するのでしょうか。

公正証書遺言作成の準備に必要な費用


公正証書遺言作成にあたっては公証人に提出するために準備をしなければいけないものがあり、それらの収集に費用が若干かかります。

まず、遺言者の登録印鑑証明書が必要です。

登録印鑑証明書は市区町村によって発行手数料が異なるので、お住まいの市区町村のホームページなどで確認してください。(東京都港区の場合には1通300円)

次に、公証人が相続人に関する情報を確認するために、戸籍に関する書類が必要です。
戸籍は被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍と、相続人に関する戸籍全部が必要です。

例えば、昭和25年くらいに生まれて、結婚をした人に関しては、以下の計4通が必要です。

・ 親の戸籍に入っている除籍謄本
・ 最後の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
・ 2回の改正があるため、改正原戸籍謄本2通

戸籍に関する証明書は、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)・除籍謄本・改正原戸籍謄本などの種類があり、市区町村によって取得費用が異なります。(東京都港区の場合は戸籍全部事項証明書:450円で除籍謄本・改製原戸籍謄本は750円)

相続人以外の人に遺贈をする場合には、その人の住所を確認するために、住民票が必要です。(東京都港区では1通300円)
遺言の内容に不動産がある場合には、不動産の登記事項証明書が必要です。(法務局の窓口で取得する場合には500円)
遺産の内容などによって、事前に準備する書類等が異なりますので、詳しくは弁護士などの専門家に相談をしてみましょう。

公証人に支払う手数料


次に、公証人に支払う手数料が必要です。手数料は遺産の額に応じて、次のように決められています。





遺産の額が1億円未満の場合は、以上の手数料に遺言加算として11,000円が加算されます。
遺言書の作成にあたって、公証人に自宅・病院・施設に来てもらう場合には、手数料が1.5倍必要です。

また、日当として1日かかる場合には20,000円(4時間以内であれば10,000円)がかかります。
指定された場所に出向いてもらう交通費も同様に必要です。

証人に支払う費用


公正証書遺言の作成には、証人2名の立ち会いが必要です。
自分で用意をすることができる場合には費用がかかりませんが、知っている人に依頼をすると遺言の内容を知られてしまうことになります。
通常は後述する弁護士・行政書士に依頼することがほとんどで、この場合弁護士・行政書士が証人となり、あともう一人の証人も用意してくれます。

ただし、証人には1万円程度の費用が必要となり、2人で2万円程度を用意することになります。

専門家に支払う費用


最後に専門家に支払う費用について確認しましょう。

遺言の問題を有償で取り扱うことができるのは弁護士・行政書士


公正証書遺言は、事前に遺言書案を作成するなど、公証人との事前に打ち合わせが不可欠で、法律知識や遺言に関する実務的な知識が不可欠です。

そのため、通常は専門家に依頼をして行います。
相続や遺言についてはいろんな人が業務として行っていますが、公正証書遺言について業務として行うことができるのは、弁護士と行政書士だけです。

ただし、税理士や司法書士など、相続・遺言に関する相談を受けている専門家であれば、必要に応じて遺言に詳しい専門家を紹介してもらうことはできるので、身近に相談しやすい専門家いるのであれば、相談をしてみましょう。

相談料


公正証書遺言の作成を含め、弁護士や行政書士に依頼をするにあたっては、事前に法律相談をすることが必要です。
法律相談には30分5,000円程度の相談料が必要です。

ただし、個人法務に関するものについては、相談料は無料とすることも多いので、積極的に利用してみましょう。

遺言書作成のための費用


遺言書作成を依頼すると、費用の支払いが必要です。
費用については弁護士・行政書士ともに自由に設定することが可能です。

弁護士については20万円~、行政書士については10万円~で遺産の額や内容に応じて変動することになるので、相談に行こうと思っている弁護士・行政書士のホームページを事前に調べてみましょう。

遺言執行の費用


公正証書遺言に関してもう一つ費用として知っておいてほしいのが、遺言執行の費用です。
遺言をした人が亡くなった後に、遺言の内容を実現してくれる役割を持つ人のことを遺言執行者と呼んでいます。

遺言執行者をつけることで、手続きを任せることができるようになるので、遺言執行者をそのまま弁護士・行政書士に任せることがあります。
業務内容は一緒ですので、弁護士・行政書士で費用は異ならず20万円~30万円程度で遺産の内容次第で増減します。

まとめ


今回は、公正証書遺言を作成する場合にかかる費用について解説しました。
相続や遺言についてはケースによって考慮すべき内容が異なるのが通常です。
事前にある程度の知識をつけておき、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。



はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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