■お役立ちコラム特集
2021/07/05
死亡保険金の相続税がかかるケース&非課税にできる条件
しかし、死亡保険金には税金が課せられます。さまざまなケースによりけりですが、所得税や相続税、贈与税などの税金によって思いの外実際に手に入る金額が少なくなっているというケースは多々あります。
税金によって受け取れる金額を少なくしないように、今回は相続税が課せられる場合について解説します。
正しい知識を身につけて、無駄な税金を払わないようにしましょう。
死亡保険金が相続税になる条件
保険に加入するときには、契約者・被保険者・受取人を設定する必要があります。
死亡保険金にかかる税金が相続税になる条件は、契約者と被保険者が同一人物で、受取人がそれ以外の人の場合です。
具体例を挙げると、契約者と被保険者が夫で受取人を妻に設定しておくことで、妻が受け取る死亡保険金に課される税金は相続税になります。
契約者と受取人が本人で被保険者が本人以外の場合、かかる税金は所得税です。
また、契約者本人で被保険者であるAさん、受取人がBさんとすると、かかる税金は贈与税になります。
このように、契約者・被保険者・受取人が誰に設定するかによって税金の内容が変わります。
なので相続税として死亡保険金を受け取りたいと考えていたら、最初の契約の時点で各項目の人物設定には気をつけましょう。
相続税にかかる税金の額は?
死亡保険金額に対して、必ずしも全額が課税対象になるわけではありません。
死亡保険金は残された家族や指定された受け取り人の生活などの資金となる遺産なので、受け取ったお金に課される税金が相続税のときは、一番安い金額に抑えることが可能です。
ここでは、以下の点をご紹介します。
・ 全額が相続税の課税対象になる
・ 一部が相続税の課税対象になる
・ 死亡保険金が全額非課税になる
全額が相続税の課税対象になる
まずは、死亡保険金全額が相続税の課税対象になる場合です。
・ 保険金受取人が法定相続人以外
・ 受取人が相続を放棄する
上記の場合が全額に相続税がかかります。
保険金受取人が法定相続人以外
一般的に死亡保険金の受取人は子供や妻などを指定します。
また、法廷相続人を必ず指定しなければならないわけではありません。
孫や第三者の人などの法廷相続人以外の人を受取人としても大丈夫です。
しかし、法廷相続人以外の人を受取人とした場合、受け取った保険金は全額が相続税の課税対象になります。
「法定相続人」とは、配偶者と血族のことを指します。
血族には順位があり、上の順位の人が1人でもいると下の順位の人は相続人になれません。順位は上から、以下の通りです。
第1順位:子および代襲相続人
第2順位:両親等の直系尊属
第3順位:兄弟姉妹および代襲相続人
「代襲相続人」とは、本来相続人になるはずだった子や兄弟姉妹が、何らかの理由で相続権を失っている場合に、その人の子や孫が代わりに相続人になることです。
「直系尊属」とは、ある人を基準とした場合、その人よりも世代が上の人達のことを指します。
つまり、父親や母親、祖父母のことを指すのが一般的です。
受取人が相続を放棄した
受取人が相続を放棄した場合でも、死亡保険金を受け取ることは可能です。
しかし、放棄した場合は相続人とはみなされないので非課税金額の適用を受けることはできません。
受け取った保険金は全額が相続税の課税対象になります。
例えば、受取人と設定されている妻が相続を放棄した場合、死亡保険金を受け取ることはできますが非課税金額が適用されず、受け取った全額が相続税の課税対象です。
一部が相続税の課税対象になる
死亡保険金の受取人が法定相続人の場合は、非課税枠が発生するので、受け取った保険金に対する課税対象の金額が少なくなります。
非課税枠の具体的な計算方法は、以下の通りです。
「死亡保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の人数」
では、具体例をみていきましょう。
死亡保険金の額が5,000万円とします。法定相続人が妻1人と子供3人とします。
この場合の非課税枠は、以下の通りです。
500万円×4(妻1人+子供3人)=2,000万円
したがって、相続税の課税対象の金額は、以下のようになります
5,000万円-2,000万円=3,000万円
これによって、相続税の金額が少なくなります。
この計算式における注意点が2つあります。
1つ目は、相続人の誰かが相続放棄しても、法定相続人の数に変化はしません。
上の例を用います。子供3人の内うち1人が相続放棄をしたとします。
その場合、相続人が妻と子供2人の計3人となりますが、法定相続人の数が変化することはありません。
つまり、法定相続人は4人のままです。何人が相続放棄をしても、相続人の数が減っても法定相続人の数は変わりません。
2つ目は、法定相続人の数に含むことができる被相続人の養子の数には制限があることです。
法定相続人には養子を含むことが可能です。
つまり、養子が多ければ多いほど非課税枠が多く使えることになります。
なので不正に非課税枠を使うことを阻止するために一定の制限がされています。
法定相続人に含むことができる養子の数の制限は、以下の通りです。
・被相続人に実の子がいる場合は、1人まで
・被相続人に実の子がいない場合は、2人まで
死亡保険金が全額非課税になる
最後に死亡保険金が全額非課税になるパターンです。
全額非課税になるのは、死亡保険金の金額が非課税枠の金額を下回っている場合です。
具体例を挙げると、夫の死亡保険金が1,500万円で法定相続人が妻と子供3人とします。
こう言った場合の死亡保険金の非課税枠は、以下の通りです。
500万円×4(妻+子供3人)=2,000万円
死亡保険金1,500万円<非課税枠2,000万円となり、非課税枠の金額が上回っているので、死亡保険金は全額が非課税の対象になります。
全額が非課税の対象になる場合は、税金を申請する必要がないです。
なので、死亡保険金が少ない。もしくは、法定相続人が多い場合には税金に関して悩むことはなくなります。
計算式の注意点
死亡保険金の非課税枠の計算をする際には注意することがあります。
それは、相続税の計算式が似ているので混合しないようにすることです。それぞれの計算式を比較してみましょう。
まず死亡保険金の非課税枠の計算式は、以下の通りです。
・500万円×法定相続人の数
これに対して、相続税の基礎控除の計算式は、以下の通りです。
・3,000万円+(法定相続人の数×600万円)
相続税の基礎控除にある3,000万円は除いて、かけ算の部分の数字が似ています。
実際に死亡保険金の非課税枠で調べてみると、2つの計算式が同じページに掲載されていることもあるので、計算式が何に対してのものなのかをしっかりと確認しないと間違った計算式で計算してしまい、違った結果になってしまうのでよく注意する必要があります。
死亡保険金の税金の負担を抑えたかったら相続税に
今回は死亡保険金が相続税だった場合の税金の課され方について解説しました。
死亡保険金は残された家族の生活資金を補填するという重要な役割があるため、他の所得税・贈与税と比べて税金の負担額が小さいことがわかります。
相続税の場合、税金を払わなくてもいい可能性もあるため、法定相続人の人数などを確認して、契約時の人物設定を間違えないようにすることが大切です。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
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子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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