■お役立ちコラム特集
2021/07/05
相続税の控除額はいくらまで?計算方法解説
人生の中でそうそう遭遇することのない事柄で、さらに実際には相続の際に相続税を納める必要があるケースは10%以下ですから、「相続税は他人事」と思われる方がいたとしても無理はありません。
いざ相続に関するケースに対処する場合、もろもろの内容は把握しておかなければいけません。
その中でもまず把握しておきたいのが、相続税には控除額が規定されているということです。
ただし、9割の相続に際しては控除額以下であるため、相続税がかからないのですが、この控除額について、2015年の税制改正で大きな変更がなされています。
2014年以前では課税対象とはならなかったケースでも、相続税の納付が必要な場合があります。
ここでは、相続税の控除額について詳しく解説します。
相続税の控除の種類とポイント
相続税の控除額を見ていく前に、前提としておさえておくべき相続のポイントがあります。
それは、以下の2つです。
1.相続財産の確定
2.全相続人の確認
相続財産の確定
相続が発生した際には、まず被相続人(財産を残した人)の全ての財産について、その総額を確定する必要があります。
財産にはプラスのものだけはなく、借金などの負の財産も含まれます。
孫の名義の通帳に祖母が毎月積み立てをしてくれていたなどのケースで、実際には祖母の財産とみなされて課税対象となる場合もあります。
また、現金や預貯金などと違い、不動産はその価値をどのように算定するのか分かりにくいものです。
子供の専門家のアドバイスも求めながら、まずは総額を確定しましょう。
相続人の確認
相続人(財産を受け取る人)の確認も重要です。
配偶者と子供が相続人となるケースが最も多いのですが、被相続人に子供がいない場合や、すでに亡くなった子供がおり、孫にあたる人がいる場合など、様々なケースが想定されます。
法定相続人についてのルールに沿って、だれが相続人であるのか、その全員を確認して相続の手続きを始めましょう。
受けられる控除
相続財産と全相続人が確認して相続の手続きに入りますが、相続税で受けられる控除には、すべての相続人が関係する「基礎控除」と、特定の要件を満たした場合に受けられるものとがあります。
今回は控除の中でも、多くの方に関係する「基礎控除」と配偶者のみが対象となる「配偶者控除」を中心に、相続税の控除について解説します。
基礎控除額についてとその計算例
まず、基礎控除についてです。
基礎控除は、全ての相続人に適応され、相続税の基礎控除額は3000万円を基礎に相続人1人に対して600万円が加算されます。
「3000万円+(法廷相続人×人数)=基礎控除額」 が計算式となり、この控除額の範囲内におさまる場合は課税対象とはなりません。
基礎控除額以下の相続の場合は、税務署への申告も不要です。
※改正前(2014年12月31日以前)は5000万円を基礎に相続人1人に対して1000万でした。改正後は基礎控除額が引き下げされた形です。改正前の基準では無税だったケースでも、改正後の基準では課税される場合があるのはこのためです。
基礎控除額について、一般的なケースを例に見ていきましょう。
「3000万円+(法廷相続人×人数)=基礎控除額」
相続人が1人の場合
3000万円 + 600万円 (600×1) = 3600万円 となり、3600万円まで
相続人が2人の場合
3000万円 + 1200万円(600×2) = 4200万円まで
相続人が3人の場合
3000万円 + 1800万円(600×3) = 4800万円まで
相続する財産の総額が基礎控除額の範囲内である場合、無税となります。
基礎控除額を越える財産を相続する場合には、越えた額については課税対象となるのですが、課税対象部分についても、さらに控除される要件がありますので、次で見ていきましょう。
配偶者控除について
相続人の中でも、配偶者には特別な控除が認められています。
「配偶者の税額軽減」というものですが、配偶者として相続される財産の形成に寄与していること、配偶者が亡くなり残される立場の相続人の生活を保障する意味から設けられています。
配偶者控除には2つの基準があります。どちらかの範囲内であれば相続税はかかりません。
配偶者控除額の上限 1億6,000万円
配偶者が財産を相続する場合、1億6000万円までなら相続税はかかりません。
配偶者控除を考える際には、まずこの基準を適応すると分かりやすいでしょう。
例をあげると、相続財産の総額2億円 のうち、配偶者が1億円を相続した場合には1億6000万円未満のため課税されないことになります。
では、1億6000万円を上回った場合にはどうすればいいのでしょう。
配偶者控除のもうひとつの基準を見ていきましょう。
配偶者控除額の上限 法定相続分
「配偶者は法定相続分の範囲内なら課税されない」という基準があります。
法定相続分についてはのちほどご説明いたしますが、法定相続分以下の場合、この相続額に上限はありません。
例をあげると、相続財産の総額4億円で、1億6000万円を超える2億円を相続した場合でも、法定相続分が3億円だったケースでは、配偶者控除が適応されて無税となるのです。
法定相続分とは
法定相続分とは、被相続人(財産を残した人)と相続人(財産を受け取る人)との続柄によって定められているも分割の割合のことです。
定められているといっても、実際の配分はこれに従う必要はなく、遺産分割協議の中で決めることができます。
このうち、配偶者控除に関係するものについては、以下のように定められています。
①子供がいる場合、配偶者の法定相続分は二分の一
②子供がいない場合 配偶者の法定相続分は四分の三
相続手続きの途中で亡くなった場合
夫婦は同年代であることが多く、配偶者が亡くなり、相続の手続きが終わらないうちに遺された相続人がお亡くなりになるケースも少なくはありません。
その場合でも、生存しているものとみなして配偶者控除が適用されます。
配偶者控除を考える際のポイント
配偶者の財産を相続する場合、配偶者控除を適用すれば無税になる場合が多く、節税という観点からメリットの多い制度と言えます。
ですが、その次に予想される相続を見据えた場合、必ずしも得策とは言えないケースがあります。
父親が亡くなり、配偶者控除を使い、妻である母親が財産の多くを相続したケースで、その後に母親が亡くなった際の相続で、子供世代の相続税負担が増すという場合が考えられるからです。
この点も考慮した遺産分割が必要です。
まとめ
「基礎控除」と「配偶者控除」は相続に関する税法の中でも基本となるものです。
適応要件を確認して正しく申告手続きを済ませることが肝要ですが、相続財産の評価、法定相続分の割合など、個々のケースごとに違った手続きがあり、戸惑うことも多いものです。
相続に際しては、知識が豊富な専門家に相談することをおすすめします。
とくに、税理士は税に関する知識が豊富で、ケースバイケースで最善な対策をアドバイスが期待できるでしょう。
はじめての相続編集部
情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
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