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■お役立ちコラム特集

2021/07/06

相続人関係図の作り方|兄弟・養子・離婚した場合などの書き方を解説

人が亡くなったとき、残された人々は故人の思い出にふけり、悲しみに包まれるものですが、そこには相続という大きな問題が付きまといます。
ただし、相続においては遺族の誰もが相続人になるわけではありません。
詳細は相続人関係図に記載されますが、そもそも相続人関係図とはどのような作り方をしたらよいのでしょうか。
この記事では、相続人関係図はどのように作ればよいのか解説。
また、相続人には兄弟姉妹、養子なども含まれることがありますので、このような人たちが相続する場合の書き方についてもご紹介します。

相続人関係図はなぜ必要?



相続人関係図とは、人が亡くなったときに故人の残した遺産をどのように相続するのかを決めるときに、必要とされる図です。
相続では、亡くなった人とあとに残された遺族との関係性が明らかにならなければいけません。

では、亡くなった人と関係する相続人とはどのような人なのでしょうか。
また、亡くなった人と関係する相続人とは、どのような続柄なのか、相続人全員が把握できているとは限りません。
さらに、相続する人の数はいったい何人いるのかということも明確にする必要があります。

相続人関係図が必要とされる理由は、以下の2つです。

戸籍謄本の原本を還付するため



相続人関係図が必要な理由の1つとして、戸籍謄本の原本を還付してもらうため、ということが挙げられます。

相続では、不動産の相続登記や銀行預金の名義変更などが行われます。それらの手続きをするためには。
戸籍謄本の提出が必要です。戸籍謄本には、亡くなった人の親や配偶者、兄弟、子供といった相続人との関係性が深く、相続をするときに重要な人たちの名前が記載されています。
それらの人たちの詳細が書かれている戸籍謄本は、相続人を決めるときの大切な重要書類となるのです。

相続には、相続税の申告をしたり、相続放棄をしたりといった手続きもあり、戸籍謄本はそれらの手続きをするたびに必要です。
また、相続では相続人とされる人たち全員の戸籍謄本が必要ですが、戸籍謄本を取得するためには本籍地の市区町村役場に依頼しなければなりません。

本籍地が現住所と異なるケースもありますし、本籍地が遠方ということも少なくありません。
つまり、相続人全員の戸籍謄本を揃えることは、そう簡単にはいかないのです。
相続人関係図を作成していれば、相続人としては負担が減ります。
提出した戸籍謄本は原本のまま返してもらえますので、戸籍謄本が必要となるたびに取得する必要がなくなるからです。

相続人の関係性をわかりやすくするため


相続人関係図が必要なもう1つの理由として、相続人の関係性をわかりやすくするためということが挙げられます。
相続が行われる場合には、亡くなった人と相続人との関係をはっきりさせて、遺族のそれぞれがその関係性をしっかりと把握することが必要です。

例えば、故人には実子が少ないケースもあれば、多いケースもあります。
少ないケースであれば相続はスムーズに行われやすいですが、多いケースでは複雑になることも少なくありません。
また、実子がいるけれど養子もいる、といった場合には、亡くなった人と養子の関係性が複雑なので、相続がスムーズにいかないこともあります。
また、兄弟姉妹が相続する立場にある、離婚して再婚している場合など、相続をどのように進めたらいいのか判断が難しいケースもあるので注意が必要です。

相続は、亡くなった人の相続に対する意思が尊重されますが、故人の意思が明確でないと相続は複雑になりがちです。
分配の有無や多さによっては相続権をめぐって争いを巻き起こすようなことになりやすく、遺族同士の関係性が悪くなることもよくあります。

こうした場合、相続人関係図を作成していれば、人間関係による相続ときの争いは避けられます。
なぜなら、相続を受ける人は法定相続人として、法律で相続人が決まるからです。
つまり、遺産の分配ときに亡くなった人と相続人の関係性がはっきりするので、遺産の配分が問題なく行われることにつながります。

相続人関係図の基本的な作り方


相続人関係図は、相続人にとって非常に重要な図ですが、いったいどのように作っていけばよいのでしょうか。
亡くなった人と関係があった人たちを図式に当てはめればいいと言っても、そう簡単ではありません。
ここでは、そんな相続人関係図の基本的な作り方を解説します。

相続人関係図に必要な書類や情報を収集する


相続人関係図を作るためには、必要な書類や情報を集めたり整理したりすることが必要です。

書類については、4種類揃えなければなりません。

・亡くなった人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本一式
・亡くなった人が最後に住んでいた住所が記載された住民票
・相続人全員分の詳細が記載されている戸籍抄本または、戸籍謄本
・相続人全員分の戸籍の附票(戸籍が作られてから現在までの住所が書かれた書類)または、住民票

次に、必要書類である戸籍謄本に記されている情報を整理しなければなりません。

・亡くなった人の氏名、出生日、死亡日、最終的に暮らしていた住所、本籍
・相続人の氏名、出生日、現住所
これらは改めて調べるわけではありませんので、それぞれの相続人について記載するよりも簡単に整理できるでしょう。

実際に相続人関係図に記載して作る


記載の準備が出来たら、いよいよ実際に相続人関係図に記載していきます。

まず、相続人関係図の一番上に「相続関係説明図」と記載し、その下に「被相続人 〇〇(被相続人の名前) 相続関係説明図」と記載します。

次に亡くなった人の情報である氏名、出生日、死亡日、最終的に暮らしていた住所、本籍を記載します。
そしてその下には亡くなった人と相続人の続柄と相続人の氏名、出生日、現住所といった情報を記載します。
このとき亡くなった人と婚姻関係にあった配偶者は法的に関連性が強いため、二重線でつなぎます。
配偶者以外の人は、亡くなった人との間を一本線でつなぐことで関連性が表されます。

また、相続人を記載する際には横に「相続」と「遺産分割」といったことを記載することが大切です。
例えば不動産を相続する相続人の場合には名前の横に「相続」と、不動産を相続するわけではない相続人の場合には名前の横に「遺産分割」と記載する必要があります。

兄弟・養子・離婚した場合の相続人関係図の書き方は?


相続人の中には、兄弟、養子などが含まれることもあります。
例えば、兄弟姉妹は亡くなった人に配偶者がいれば、4分の1の遺留分があり、相続人となります。
養子の場合には、亡くなった人との親子関係が成立しているので、実子と同じ扱いです。
では、このように兄弟や養子が相続人になる場合、相続人関係図の書き方はどのようになるのでしょうか。
また、離婚した人には相続権がありませんが、その子供には相続権があります。
このように離婚した場合の相続人関係図の書き方はどのようになるのでしょうか。
ここでは、兄弟、養子、離婚した場合の相続人関係図の書き方を解説します。

兄弟姉妹が相続人の場合は関係図に兄弟が相続することを記載する


相続をする場合、 相続の権利がある人は配偶者、子、直系尊属(父母や祖父母)、兄弟姉妹です。
ただ、兄弟姉妹は亡くなった人の子供や直系尊属がいれば、相続には至りません。
しかし、子供がおらず、直系尊属全てが他界している際には相続人第3順位となるので、相続する権利があります。
つまり、兄弟姉妹も相続人関係図に記載されることになるのです。
相続人関係図への兄弟姉妹の書き方としては、亡くなった人の子や直系尊属が死亡している旨を記載することになります。
子や直系尊属の出生日と死亡日、死亡日の横に「死亡」と記すことが必要です。
こうして第1順位、第2順位といった相続人が亡くなっていることが明確に記載されている際には、第3順位は兄弟姉妹となりますので相続人関係図に書き込んでいきます。
亡くなった人に配偶者がいれば、亡くなった人と婚姻関係にあり関連性が強いということから、その配偶者との間を二重線でつなぎます。
さらに亡くなった人の父母とも、たとえ父母が亡くなっていたとしてもほかの相続人よりも特に関連性が強いということで、二重線でつなぎます。
兄弟姉妹と亡くなった人の間の線は一本です。また、現住所、出生日を書き込み、名前の横に「相続」または「遺産分割」と記載します。

養子の場合は関係図に養子と記載する


相続をする場合には、亡くなった人の子は相続の第2順位として決められていますが、例えば実子でなく、養子の場合にも相続権はあります。
つまり、養子は実子同様の相続権を持つのです。そして養子は何人いたとしても、相続人になり得ます。
相続分は亡くなった人の配偶者が2分の1,実子や養子は残りの2分の1を頭数で分配します。
相続人関係図への養子の書き方は、親や実子とのつながりがあるという関係性を表すために線で結びます。
このときには線は一本です。
その後、現住所、出生日、養子縁組をした日(横に養子縁組と記載)、名前を記載。名前の横には養子と書き「相続」または「遺産分割」と記載します。

離婚した場合には関係図に離婚と記載する


亡くなった人と離婚していた場合、その配偶者の子供には相続権がありますが、配偶者自身は親族関係がなく、相続権がありません。
ただし、離婚していても一度は婚姻関係にあったということから、相続人関係図への記載は必要です。
書き方は、亡くなった人と婚姻関係が壊れていることを表すために、いったん二重線で結び、その後二重線の上には破綻していることを表す×印をつけます。
そして離婚した元配偶者の出生日と名前を書き、離婚日と【離婚】という文字を記載します。
この際、元配偶者に子がいる場合には子には相続権がありますので、亡くなった人と元配偶者の間に一本線を引き、現住所と出生日、続柄を書き、「相続」または「遺産分割」と記載します。

相続人関係図を利用してスムーズな相続をしましょう


相続では、相続人が明確でないと問題に発展することもありますが、亡くなった方と相続人の関係性がはっきりしていれば、困惑するような問題を避けることができます。
相続人関係図は、相続において必ずしも作らなければならないということはありません。
しかし、相続人の関係性を明確に記載することになっていますので、スムーズな相続につながるでしょう。
相続人関係図は作っておくとのちのち便利です。ぜひしっかりと作ってスムーズな相続に役立ててください。




はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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