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■お役立ちコラム特集

2021/07/07

相続があった年の確定申告のやり方と期限

何かと面倒な印象がある確定申告ですが、実は相続の場合も確定申告が全くないというわけではありません。
相続した財産の中に賃貸収入のある不動産や、保険料を受け取った場合、さらに相続した財産を売却した場合には相続人の確定申告が必要です。

今回は、確定申告が必要な場合と発生した場合に必要な書類などについて詳しく解説します。
期限内に書類を提出する必要があるので、重要な情報を事前に抑えておきましょう。

相続は所得に該当する?準確定申告って?


相続とは、ある人が死亡した時に財産を受け継ぐことです。
貯金や不動産といった財産以外にも、借金や未納の税金を支払わなければならない負債なども基本的には相続の対象です。
相続した財産が基礎控除額を超えている場合には、超えた分に対して相続税が課せられます。

相続は所得にはならないが相続税は発生する


相続に加算されるのは所得税ではなく相続税なので、基本的に所得税はかかりません。
相続財産が基礎控除額以下なら、課税されることはないのです。
亡くなったことに所得税の申告義務がある場合に関しては、確定申告をする必要があり、これを準確定申告と呼びます。
必要な場合は申告漏れが無いようにあらかじめ準備しておきましょう。

準確定申告とは


被相続人が亡くなってから、その年のうちに亡くなった日までの間に一定の所得がある場合、確定申告が必要です。被相続人の代わりに行うのが準確定申告となります。
準確定申告は、原則4ヶ月以内という期限が設けられていますので注意が必要です。

亡くなった人も確定申告が必要、申告期限は?


相続をすると自身の確定申告も気になるところではありますが、亡くなった方の申告も必要となると、準確定申告という形で行うことが必要です。
準確定申告は相続人が行うので、相続人は自身の確定申告と、被相続人の準確定申告、2つの申告をする必要が出てきます。
期限も決められているので後回しにしないように気をつけましょう。

準確定申告が必要な場合、不要な場合



準確定申告が必要なケースは、亡くなった被相続人の方が、以下の状態のどれかひとつに該当する場合です。

・事業所得や不動産所得がある
・複数から給与収入がある場合
・公的年金などの収入が400万円を超えている
・収入が2,000万円を超えている

準確定申告が不要なのは、亡くなった方が年金所得者の場合で公的年金等の収入が400万円以下、公的年金などに関係する雑所得以外が20万円以下の場合です。
年金収入のみで源泉徴収されている際も不要であり、申告を行うことで税金が還付されるケースもあります。

さらに各種控除を受ける場合や、高額の医療費を支払っていた場合も、準確定申告を行うことにより税金が戻る場合も少なくありません。

相続人の確定申告


本来、財産の相続の場合は所得の扱いにならないので確定申告は不要なはずです。
しかし、相続した財産が所得とみなされる場合は確定申告が必要となるので注意しましょう。

まず、死亡保険を受け取った場合です。
所得税の対象となるのは、保険の契約者と受取人が同一の場合となります。
夫が妻の万が一に備えて契約し、保険料を支払い、妻が亡くなった際に夫が保険料を受け取った場合の保険料に所得税がかかります。

死亡保険は契約者、被保険者、受取人がそれぞれ誰になっているのかで相続税、贈与税、所得税と税金が変化します。
契約者と被保険者が同一人物なら相続税になるので確定申告の対象ではありません。
死亡保険は契約内容によって税金が異なり、確定申告が必要になる可能性があるものと認識しておきましょう。

賃貸用の不動産を相続した場合も確定申告が必要です。
アパート、マンション以外にも駐車場なども該当します。
この賃貸用の不動産から得られた収入は相続人の物なので、当然ながら賃貸収入分の所得税が発生します。

他にも、相続した財産を売却した際に譲渡益が発生した場合も所得とみなされるので確定申告が必要です。
相続人も確定申告が必要なものはいくつかありますが、どれも「所得税とみなされるもの」です。

亡くなった日が年始1月1日から3月15日の場合



確定申告をすべき人が年始から3月15日までの期間中に確定申告書を提出せずに死亡した場合、故人の前年分の所得と死亡した年の1月1日から死亡日までの所得を計算します。
相続の開始を知った日の翌日から、4か月以内に準確定申告として、納税が必要です。3月15日が土、日曜日だった場合は次の月曜日が期限となります。

亡くなった日が3月16日から12月31日の場合


死亡した日にちが3月16日から年末までの間の場合は、相続の開始が始まったことを知った日の翌日から計算して、4ヶ月以内に準確定申告が必要です。
基本的に前年の確定申告は3月15日までに終わっています。

申告期限は4か月


提出期限は基本的に相続人の方が、被相続人の死亡を知った日の翌日から4ヶ月以内とされています。
提出期限までに準確定申告が提出できなかった場合は、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されてしまいますので、必ず行う必要があるのです。

申告を行うまでの4ヶ月間は期間としては、長く感じるようで非常に短いので、申告が必要とした段階で、必要書類は準備することが非常に重要になります。

準確定申告の存在を知らないために、必要書類の収集に時間が掛かってしまっては、あっという間に4か月を超過してしまいます。
必要な場合と、その場合に必要な書類については、生前から事前に把握しておくことが大切です。

準確定申告の手続きに必要な書類と所得控除の基準


準確定申告の際に必要な書類についての紹介をしていきたいと思います。
さらに所得控除は死亡日が基準となっておりますので医療控除や社会保険控除などについても紹介していきたいと思います。

準確定申告に必要な書類



まずは準確定申告書に必要な書類について紹介します。
当然ながら確定申告書は必要となります。
続いて被相続人、死亡した方の源泉徴収票や被相続人の控除証明書所得税、復興特別所得税の確定申告書付表、被相続人の医療領収書や委任状が必要となります。
この3つが揃っているだけで書類の作成をスムーズに行うことができます。4ヶ月以内の期限があるので早めに準備をしておきましょう。

所得空所の基準について


所得控除については原則死亡日が基準となります。
医療費控除の場合は死亡日までに亡くなった方が支払った医療費となり、死亡後に相続人が支払ったものは対象外です。
続いて社会保険料生命保険料地震保険料控除の対象となるのは、死亡日までに支払った保険料の額となります。
配偶者控除や扶養控除について該当するかの判断については親族関係や生計を一にしているか、死亡した日の現況により行います。

相続後も確定申告は忘れずに


必要な人には、毎年大変な確定申告ですがそれは相続後も例外ではありません。
特に準確定申告が必要な場合には、準確定申告をしないことによって無申告加算税や延滞税と言ったペナルティの対象となってしまうので、必要かどうかの確認も真っ先に行うようにしましょう。

相続の際には、特に期限が決まっているものを優先的に行っていかないと、のちのち負担になるケースもあります。
相続人全員で協力して、トラブルにならないように対処していくことが大切です。

相続する前に準確定申告という存在を知っておくことで、その状況に直言した際に、情報収集も楽に行うことが可能となります。
準確定申告そして相続をした場合の自身の確定申告の仕方について、あらかじめ確認しておきましょう。

個人でそれらを全て解決させることが難しいと判断した場合は、専門家に依頼する事も手段のひとつとしておすすめです。




はじめての相続編集部


情報提供と専門家マッチングで円滑な相続税の手続きをサポートすることをミッションに掲げた、マッチングWebメディア「はじめての相続」の編集部です。
出版社が運営していることが強みで、「利用者目線」と「わかりやすさ」を心掛けて相続に関する記事を発信しております。
子育て中のママや学生など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。

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